魔導師ルーナへの近況報告:使い魔視点
「……以上がコムギとトージさんの動きですニャン」
「ご苦労さま。ところであなた、人の姿だというのにその語尾は直すつもりはないの?」
「そ、そうでした。いつものクセで使ってました~」
わたしの名前はルル。猫たちだけのミネット村で宿屋を営んでいるニャン。でも実は、わたしは使い魔なのニャン。
主人の名前は魔導師ルーナ。猫を使い魔として活動する魔導師だけど、猫使いの荒い女性だったりする。
魔導師ルーナのおかげでわたしは猫であり、人間の姿にもなることが出来るニャン。
「……それで、魔導師レイモンは変わらなかった?」
猫遣いの荒いルーナは優秀なコムギをトージさんに任せたことで、他の使い魔たちを忙しくさせてしまった。わたしもその中の一匹。
ルーナのそばに仕えてる使い魔はいつも忙しくて、なかなか話をするのが難しい。そしてわたしのように世界各地の村や町で仕事をしながら近況報告をする猫たちも結構忙しい。
ルーナは閉ざされたミネット村には入ることを許されていない魔導師。許されているのはエルフ族の魔導師だけ。
だからルーナに近況報告をすることなんてほとんどなかった。それなのに、手放したはずのコムギのことが気になって仕方がないルーナは、コムギを村で見かけることがあった時は報告する義務をわたしに下していた。
報告するのは趣味じゃないけど、ルーナの使い魔として活動しているから仕方がない話。だけど、この近況報告って猫念力を使ううえ、人の姿にならないと出来ないから誰かがいる時は絶対に出来ないのが難点。
「はい。相変わらずお綺麗なエルフでしたよ。ただ、外に出てきたのは相当久しぶりみたいで、感覚がまだ戻っていない様子でした」
「どんな風に?」
「ええと、トージさんを気にかけているのに一緒に行動しないで自由に動いてたりしてますね~」
「……彼女はそれが普通なの。そうではなくて、力は?」
魔導師レイモンの力は報告出来るほど確かめることが出来なかった。だから報告しようがないけど、強いて言えば――
「――力と言えば、宝石を使いこなすくらいですかね~」
「宝石! あぁ、そうだったわね。彼女の力の源は宝石だったのを思い出したわ」
もっとも、ミネット村で力を使った感じは全くなかったけど。
「も、もういいですかニャン? そろそろ猫のお客さまが来る時間ですニャン」
「……あぁ、そうだったわね。それじゃ、今まで通り真面目にお仕事に励みなさいね、ルル」
「お任せくださいニャン!」
はぁぁ、猫遣いの荒い人だったニャン。
コムギもよくもまああんな猫遣いの荒い魔導師のために働いてたものだニャン~。でも今はとても幸せそうにしてるし、ルーナとやり取りをすることもなくなったから、トージさんと頑張ってほしいニャン~。




