表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

第12話 なでなでがうまいのだとさ

11話を加筆したため、12話は、ほぼほぼ前回と同じ内容です。そのため、昨日お読みになった方は、同じ内容じゃんと感じるかもしれません。すみません。13話をなるべく早めに更新するので、許してください_(._.)_

 猫になった気分です。絶妙な力加減と言い、気持ちいいですね。なんで、この人こんなに、撫でるのがうまいのでしょうか?


「その通りだ。自前の魔力で起動させるタイプの魔道具は使えないかもしれないが、その翻訳魔道具のようにあらかじめ魔力を込めておいたものなら彩月でも十分に使えるはずだ。そして、俺の専門は後者だ」


 レイさんは、私でも使える魔道具を作るのが得意だと自慢げに言います。今私が付けている魔道具もどうやら、レイさんお手製の品なのだとか。これは、神様がチートナ能力をくれなくてもレイさんがチートナ魔道具をくれるという展開でしょうか。


「召喚された人間は、地球からこっちの世界に来るとき、英雄になるための素質、言葉、知識等の情報を追加させられるから、何の不便もなく物語通りにちゃんと勇者になれるってわけだ。彩月の場合は、原因は不明だが時空を超えてしまったイレギュラーだ」

「イレギュラー」


 レギュラーで、この世界に来たらそれはそれで厄介な。お姫様とか王様とかそういうのに対する礼儀作法とかととことん縁がない生活を送っていたし、堅苦しいのは嫌いだ。敬語とかなるべく使いたくありません。

 私は私の利益のため以外に労力を使うのとか基本面倒なのでごめんです。あ、レイさんは別ですよ。なんせ、命の恩人でもあり、貞操の危機を救ってくれた人でもあり、異世界人の私をかくまってくれる上に、この世界の常識とかいろいろ教えてくれる人のために、労力は惜しみません。


 恩を仇で返すような教育は受けていないはずです。


「ああ。世界を渡る時の英雄の素質を追加させるのさ、魔力とか、加護とかそういう向こうにはなかったものをね」

「つまり、だれでもいいの?」

「まぁ、そうだな。俺も、そんな感じで前世は英雄になったぞ。だが、おまえは別に召喚されたわけではない。世界と世界をつなぐ回廊に、あんたは何の因果か堕ちたわけだ。まったく、五体満足で別の世界に来れたのはすごいことだ。次元のはざまにのまれてしまってもおかしくはないんだ。ふぅ、まぁ、そんなわけでお前は、本来ここに存在するのがおかしい異端な存在なんだ」

「異端……」


 今さらりと、レイさん前世で英雄だったとかおっしゃりませんでしたか? え、異端って私じゃなくてレイさんみたいなひとのことをいうんじゃありません? 普通。


「安心しな。俺がこの世界におっまえをなじませてやるから。同郷のよしみだ。なんせ、お互い奇妙な身の上だ、分かり合えるような人間は一人でも多いい方がいいだろう?」


 確かにその通りです。その通りですよ。まぁ、これ以上ないというほどの好物件ですよ。この広大な世界の中で独りぼっちだったら、私は気がくるっていたかもしれませんしね。なでなでは、続行中でレイさんの体温が、生きているってことを教えてくれます。人のぬくもりってほっとしますよね? え、私だけですか?


「お前は、生きたいか」

「生きたいですよ。死にたくありません。こんなわけのわからない出来事で、死ぬなんて嫌です」


 いきなり聞かれたのでびっくりしましたが、レイさんの真剣なまなざしに気圧されて、ちょっとだけたじろいでしまいました。ですが、私の中でとっくの昔にその答えは決まっています。だから、まっすぐとレイさんの眼をみて答えます。

 私は、誰かを犠牲にしてまで自分は生き延びようと思わないなんて聖人君主のようなきれいごとは、考えていません。ですが、なるべくこの世界で人を殺したくはありません。この世界が日本とは違い治安のあまりいい場所ではないのは鎖をつながれたことでよくわかりました。これから先、この世界で私が生きていくうえで、誰かを殺さなければ自分が生きられない局面に遭遇することだってあると思います。私は、その局面に立った時、殺してしまうでしょう。私は生きぎたない女です。

 そんなにあがいて、この世界で何を成し遂げたいのかすらよくわかってはいません。ただ、私はどうしようもなく死を恐れています。


「そうか。彩月、人造人間―――ホムンクルスになるつもりはないか」


 ほへ。私はもうすでに、生を受け肉体をもって立派かどうかは謎ですが人間です。人造人間人るつもりはないかとはどういう意味なのでしょう。その言葉に裏があるのでしょうか。


「彩月が、カーヤから与えられた祝福は≪強化≫だ。この言葉をどうとらえるかは祝福を与えられたお前の自由だ。祝福は与えられた人の考えに左右され形を変えていくといわれている。過去に≪鍛錬≫の祝福を与えられた男は、己の体を鍛錬するのではなく武器を鍛錬することにその祝福の効果があると考えていたのか、彼の作る武器はかなり素晴らしい出来だったといわれている。もし、彼が体を≪鍛錬≫することだと考えていたら、彼が武器を作っても彼の武器は本来の彼の実力以上の者にけっしてなりえなかっただろうとな。まぁ、その言葉に複数の意味を当てて考えてもいいしな」


 カーヤ様からもらった祝福は≪強化≫なのですね。あまりなじみがない単語です。

 強化……身体強化とか、学習強化とか、記憶力強化とか?

 ラノベの影響か私の中では、UPみたいなイメージが、強い言葉です。

 まぁ、祝福のことは焦らずのんびりと考えることにしましょう。


「なぜ、レイさんは私にホムンクルスにならないかと尋ねたのですか?」

「あぁ、ホムンクルスってことになってくれないかという意味なんだ。言った通り、お前と全く同じ種族はこの世界にはいないと今のところ俺は思っている。こっちの人間は魔力を持っているからな。これからのことを考えて、もしお前が魔力のない人間だとか、詳しく調べられてこっちの人間とか生物には存在しない塩基とかがあるなんて騒ぎになってもごまかせるように、賢者が作った人造人間という設定にしないかという意味だ」


 なるほど。納得の言う理由ですね。まぁ、納得がいくだけであって私がレイさんの言葉の真偽を判別する術なんて持っていないのですが……信用してます、レイさん。

 こっちの世界では、ホムンクルスが実在しているのでしょうか? あれ、そういえばホムンクルスってフラスコの中から出られないんじゃありません? 



「なるほど。私を護るための設定ですね。ですが、その逆に、解剖されたりしません?」

「その心配はないよ。賢者の名は伊達じゃないからね。まぁ、キミのスペックをアップするためと魔道具を使いやすくするためにもしかしたら少し、身体改造とかするかもね」

「えっ」

「? だって、生きたいんでしょう。この世界向こうより過酷だから、それくらいは、保険のためにもしといたほうがいいよ。大丈夫、俺こういうの慣れてるから」


 あれ、私とんでもない人にOKだしちゃいましたか。にこやかな笑顔がこんなにも怖いものだとは知りませんでした。



「ふぅ、もう日が遅いから夕飯にして寝ようか。詳しい話は明日またね」


 とりあえず、ここで今日はいったん難しい話はおしまいのようです。なんだか、最後はぐらかされた気がしてなんか釈然としません。


「わかりました。私もかなり疲れましたし、そうしていただけると非常にありがたいです。でも、そのことは、後日詳しく話し合いましょうね」


 ふぅ、私はどうやら身体改造されることも視野に入れてこの先人生設計をものすごい勢いで、書き直す必要があるようです。もう、何とでもなれって気分になりますよ。こんだけ、わけのわからないことが立て続けに起きると頭が沸騰してしまいます。


 今日半日で今までの人生の半分くらいの時が、過ぎていった気がします。それくらい濃厚な時間でした。



 そんなこんなで、地球の日常的な話―――私の家族とか友達とか学校生活とかをものすごく楽しそうに、レイさんは聞いてくれました。レイさんって、聞き上手なので、ついつい話過ぎてしまいました。


 妙に力の入った湯船でゆっくりと疲れを落とし、なにやら面白い魔道具を私との会話の中で思いついたのでそのアイディアをまとめて今夜は、徹夜するかもとあっけからんといったレイさんにお休みの挨拶をして、買いたてのもふもふの布団に飛び込みました。



「はふぅ、おやすみなさい」







彩月は、だいぶ動揺が収まって本来の口調に戻ってき始めました。時話は、明日の午前7時に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ