お披露目式-2-
お披露目式の朝は、後宮中いや、王宮中が慌ただしかった。朝食もアルフレッドと一緒に食べる事が出来ず、昨日の夜からルナの気持ちは、つのっていくばかりであった。
朝食も終わり、部屋へと戻り支度を始めた。支度をしながらキャシーがいつの日かのように、世界で一番可愛くすると言った。
「うん!世界一可愛くして!普通じゃなくて世界一可愛くなりたいの!」
ルナの珍しい言葉に、きょとーんとしてしまったキャシーだったが、すぐさま喜んで!!と腕まくりをしながら答えてくれた。
「それで、今日はこの髪飾りを使って欲しいの。」
「コーラルの髪飾りですか!とても可愛くてルナ様にぴったりですね。」
その言葉で、ルナはまた気持ちがはずんだ。キャシーがいつもの何倍も力を入れて支度した。そして、出来ましたと言われ姿見の前に立つ。
ルナは、自分の姿を見て世界一この髪飾りの似合っていると自信を持てた。
「キャシー!本当にありがとう!」
「やっと笑って下さいましたね…ルナ様は、笑顔の方が素敵です!」
キャシーは少し涙ぐんでいる。私が最近落ち込んでいた事に気づいていながらも、キャシーは何も聞かずに、明るく寄り添っていてくれたんだ、そう実感し、申し訳ない気持ちより嬉しさが溢れ、キャシーに抱きついた。
「ルナ様!せっかく整えたのに汚くなってしまいますわ!」
そんな風に言葉ではキャシーは叱っているが、ぎゅーっと抱きしめ返してくれた。
抱きしめる手を緩め、顔を合わせて2人は笑った。
「じゃあ、アルフレッド様にこの姿を見てもらいにいってくるわ!」
「いってらしゃいませ!」
キャシーが笑顔で見送ってくれた。ルナは、部屋の扉を開け放ち、駈け出した。式が行われるテラスの付近に着くと、アルフレッドの姿が見えた。
アルフレッドの姿を見て、ルナの心はもう止める事の出来ないほどに騒いだ。
「アルフレッド様!!アルフレッド様がこの髪飾りを選んでくださったというのは本当ですか?」
「なっそれは…まあ、そうなる。」
アルフレッドは、そっぽを向いた。また耳が真っ赤である。
「なんで、コーラルを選んで下さったのですか?」
「好きだと言っていたが…装飾品としては駄目だったか?」
「覚えてて下さったのですね!!本当に本当に嬉しいです!!」
ルナの笑顔にアルフレッドは、もう我慢出来んと、抱きしめようとした。その瞬間、お時間です、とクロードに言われた。アルフレッドは、伸ばした手で、ルナの手を取りエスコートしていった。
もちろん、クロードを睨むのは忘れずに。
2人が、テラスに出ると、ワーっととても大きな歓声が上がった。少し、歓声がおさまるのを待ってからアルフレッドは話始めた。
「まず、報告がある。カータス国とレイルン国の関係改善のため、調査団を創設した。」
その発言にルナは目を丸くした。確かにカロルに頼んだが、まさかもうアルフレッドに伝わっていて実現させてくれたなんて思ってもみなかった。
「その調査団の発案は、ここにいるルナがしてくれた。そして、費用も、後宮の費用を節約して援助してくれた。彼女より王女になるにふさわしい人間はいない。だが、それよりもここで言いたい事がある。」
そう言ったあと、アルフレッドはルナの方に向きかえった。
「両国の和平のためにお前との結婚を考えた。だが今は、ただ一人の男として、アルフレッドとして、お前を愛している。お前が笑ってくれるだけで幸せになれる、頑張ることが出来る。ルナ、一生そばにいてくれ。」
アルフレッドは、ルナの手を掴み真摯に訴えかけた。ルナの瞳から涙があふれでた。
「泣くほど嫌だったか?」
アルフレッドは慌てて手を離したが、その手をルナは掴み返した。
「私も、アルフレッド様をお慕いしております。」
「本当か?演技じゃないのか?」
その言葉を聞いた瞬間、ルナはアルフレッドに抱きついた。
「演技なんかでこんなことしません!」
2人は目と目を合わした。
「ルナ…俺と結婚してくれ。」
「喜んで…」
アルフレッドは、ルナの頬に手を当てキスをした。その瞬間、今日一番の歓声があがった。
「人前でする趣味がないとかいっていたくせに。」
王妃はオペラグラスを片手に、嬉しそうに言った。
最後まで読んで頂きありがとうございました!!
もし、この作品を気にいって頂けたら、「魔法世界における商品開発部の事情」という作品も読んで頂けると嬉しいです。
「魔法世界における商品開発部の事情」が完結致しましたので、この作品をもう少し読みやすいように改稿しようと思います。
その後、番外編として、クロードとかの小話を書いた後、セリーヌの話を書きたいと思っています。
本当に本当に読んで頂きありがとうございました。