クリスタリウムの魔法
「お前は?」
ギソクがたすくに問いかける。
「え?」
言葉の意味をあまり理解できずに聞き返す。
「どうして冒険者になろうと思ったんだ?」
「あー…人探しだよ。」
はぐらかす意味を感じなかった。
本当のことを言っても別に問題は無いだろう。
「人探し?それに冒険者としてのライセンスが必要なのか?」
人を探すだけなら冒険者にならなくてもできる。
そう言いたげだった。
「冒険者として有名になったら向こうからもコンタクトを取ってくれるでしょ?」
「それってランクAとかSにならないとキツイだろ、受かったとして何年かかるんだよ」
確かに普通に考えればギソクの言っていることは正しかった。
だがそれは一般的な話であって、たすくの強さを考えると不可能ではなかった。
「大丈夫だよ、自分強いから。」
あまりの自信にギソクは目を丸くした。
「次、ギソクだよ」
雑談をしてる間にギソクの番が回ってきた。
それに気付いてギソクは前を向いた。
「(調子狂うな…)」
ギソクは息を整え、精神統一する。
「(水と火の魔法が得意って言ってたな…。)」
遠目から見ているが、魔力で空気が揺らいでるのを感じる。
今から使おうとしている魔法は他の受験者なんか比べ物にならない魔法だろう。
「オーバーヒート」
「エンチャントオブイグニッション」
「(それにバフの魔法まで使うのか…、ちょっとまずいか?)」
たすくは何があってもいいように防御魔法の準備を始めた。
「…。」
ギソクの精神統一が終わった。
両手には圧縮された水と火の玉があった。
その二つをギソクは鎧へ向けて投げた。
「エクスプロージョン」
投げた玉が着弾する。
その瞬間、体が吹き飛ぶほどの爆風が受験者を襲った。
あまりの爆風だが、ギソクは慣れているのかよろけすらしなかった。
「えっ。」
だが何かがギソクの方へ飛んできた。
ギソクは気付いたが魔法を行使する時間は無かった。
目を瞑った瞬間たすくが前に出てきていた。
「…、なんだこれ。」
飛んできたのは鎧の破片だった。
だがギソクはそんな事を気にしていなかった。
これ程精巧な防御魔法を見たのは初めてだったのだろう。
あの速度で飛来したミスリルの破片を弾く程の防御魔法。
およそ第六難度以上は確実にあった。
「大丈夫?」
たすくが確認をとる。
「、あぁ。」
あれ程の防御魔法があれば怪我なんてしないだろう。
それと同時にギソクはたすくへの興味が湧いた。
「53番、終わったら向こうの待機所へ向かえ。」
試験官からそう告げられた。
「…、次の見たいんだけど。」
ギソクは試験官に頼んだ。
「…まぁいいだろう。」
試験官はギソクが気になる気持ちを理解していた。
ギソクが魔法を打つ時からたすくは防御態勢を整えていた。
ギソクからは見えなくても、試験官からは見えていた。
事前にこの魔法はヤバいと理解できるのは魔力量が多く、魔力に敏感である証拠だ。
そして二人は鎧から少し離れた所に移動し、たすくの番を告げた。




