試験開始
「だから魔法の才能がないなんてありえないんだよ。」
自信だけじゃない、努力もして来たのだろう。
ギソクの言葉には説得力があった。
「じゃあ適正ってのは大事なのね。」
アリスはギソクの話を納得した。
ギソクの噂を深く知っているのだろう。
「たすくは何がいちばん得意なの?」
ふとアリスに話を振られた。
「え?どれも同じくらいだけど、よく使うのは雷と氷の魔法かな。」
「そんな難しい魔法が使えるのか?噂も聞いた事ねぇぞ。」
「確かに、その属性の魔法が使えるなら耳に入ってもおかしくないと思うけど。」
二人とも訝しんでいる。
この世界ではそういう人間はかなり噂になるらしい。
「あー、自分は必要な時以外は外に出ないからね。」
嘘をつくにしても適当すぎる。
たすくは二人の顔色を伺った。
「そうなのか、まぁ確かに貴族っぽくはないな。」
「(だがこいつの装備は俺でもわかる、相当にイカれてる。)」
「(何者なんだこいつ。)」
「?」
ギソクがじっと見てくる。
何かあったのかとたすくは疑問に思った。
「おいお前ら。今から試験の内容を話すぞ。」
ようやく試験官が来たようだ。
全員試験官の方を見る。
「お前らが一番自信のある魔法をアレに叩き込め。」
試験官が後ろを親指で指す。
そこにはミスリルでできた鎧が置いてあった。
「撃ったあとの鎧やお前らの状態で評価を付ける。」
「配られた番号で並べ。」
「おっ、後ろか。」
前に居たのはギソクだった。
「あぁ…神童の。」
名前を呼んでなかったからか、パッと思い出せなかった。
「ギソクでいいから。」
苦笑いしながら答える。
「お前本当に雷や氷魔法なんて使うのか?」
「え?うん、使うよ。」
「ガス欠になるなよー。」
使えるかどうかではなく、魔力の心配をしてるようだった。
ギソクは案外良い奴なのかもしれない。
「うん。」
「(ライトニングは威力が高くて発動が早いから使いやすいんだけどなぁ。)」
10人くらいはやっただろうか?
受験者が魔法を撃ち、試験官が評価をつけ別室に案内をしている。
そこそこ時間が経った頃、見覚えのある人が試験を受けるようだ。
「あ、あの子。」
「ん?…あぁ、アリスか。」
アリスが聖魔法で作った四本の槍が鎧目掛けて飛んで行った。
四本全て命中し、鎧は砕けた。
「おぉ、今まで壊した人居なかったのに凄い。」
実際に凄い。今までの受験者は第二難度くらいのスキルしか使ってなかった。
しかしアリスが使った魔法は第五難度のホーリージャベリンだった。
レベルが他の受験者と違いすぎる。
「アイツも結構有名人だからな。」
雷や氷で噂になってもおかしくないなら、光や聖属性はもっと話題になるんだろうな。
「どんな?」
「聖女の生まれ変わり、だとさ。」
「聖女?」
聖女のジョブも一応存在はしている。女性キャラしかなれない上位ジョブだ。
「元々そういう家系の長女が飛び抜けて優秀だったらそうなるのも当然だな。」
「そういう環境に耐えかねて冒険者をやるんだろう。」
きっとギソクも同じ感じなのだろう。
アリスを憂いてる様子だった。




