神童
「ねぇ」
近くにいた人が声をかけてきた。
金髪ストレートの綺麗な女の子だった。
「さっき試験官と何話してたの?」
不思議そうな顔をして聞いていた。
「あー…ちょっとね。」
説明はめんどくさいと感じ、適当に濁しておく。
「私はアリス」
「自分はたすく。よろしく。」
軽く挨拶を済ませた。
今の時間は暇だし、雑談くらいは支障はないだろう。
「たすくは…魔法系?どんなスキルが使えるの?」
装備を見たのだろう。
どうやら彼女も魔法系統の人のようだ。
「いろいろ使えるよ。」
「器用なんだね、私は光と聖属性こ魔法が得意だよ。」
「あと回復魔法も使えるよ。」
どうやら彼女は神官系のジョブらしい。
「へぇ、回復魔法ってやっぱ使える人って少ないの?」
軽く質問してみた。
たすく自身も使えるが、一旦この世界の常識を聞いてみることにした。
「私くらいの回復魔法なら五年くらい練習したら使えるようになるんじゃないかな?」
「五年かぁ、そうなんだ。」
案外回復魔法が使えるのは普通なのかもしれない。
なら使っても問題は無さそうだな。
「いやいや、使えるわけないからな。」
後ろにいた男の人が声をかけてきた。
赤毛のマッシュの髪をした、たすくのキャラと歳の近い男の人だった。
「あんた誰よ。」
突然否定され、アリスは少し不機嫌そうだった。
「俺はギソクだ。よろしくな。」
ギソクはたすくの方を見て言った。
「よろしく。」
「回復魔法は適性がないとほとんど使えないぞ。」
「そうなの?」
アリスは不思議そうに言った。
どうやら彼女は上位系統のジョブを持って生まれたようだ。
「俺も昔、魔法の練習の過程に回復魔法が入ってたけど、使えなかったしな。」
「どのくらい練習したの?」
アリスが問いかけた。
「魔法自体は14年、回復魔法はその内の5年くらいか?」
記憶を辿りながら、ギソクは答えた。
「それは適性というより、貴方が魔法の才能が無いだけなんじゃないの?」
アリスは悪気がないのだろうが、あまりの発言にたすくは動揺した。
「お前、クリスタリウムの神童って聞いたことあるか?」
「あるに決まってるでしょ、火、水魔法に長けたクリスタリウム家の次男でしょ。」
アリスは答えた。
「(クリスタリウム家の神童…クエストで何度か耳にした事があるけど…、)」
「(もしかして。)」
たすくは顔を上げた。
「そう、つまり俺の事。」
ギソクは少し呆れながら答えた。
しかし、それはアリスに対してでは無かった。
雰囲気から見るに、クリスタリウム家に対しての様だった。




