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指名依頼

「んで、話を戻すが。」

「まぁ組合云々は適当にはぐらかして勧誘するからいいとして。」

「これが組合からの報酬だ。」

マスターが合図するとナタリーがトレーで袋を運んできた。


「あ、そうだ。」

「たすくに渡さないと。」

そういい、アークは指輪を取り出した。


「あ、真実の指輪。」


「これが噂の…。」

マスターも初めて見たのか、指輪を眺めている。


「俺は二つあるから。」

アークは敬語を使わなくなって、段々と逞しい口調になっていた。


「そうだね、自分も二つ持ってる。」


「だよね。」

ランキング報酬なのだから、たすくが持っているのは分かっていたようだ。


「いやなんでお前も持ってるんだ。」


「まぁまぁ。」

たすくはマスターをいなした。


「じゃあ二人にあげるよ。」

そういい、たすくはギソクとアリスに手渡した。


「え、いいのか?貴重なものだろ。」


「確かに、私も見たことないけど。」


「二つ持ってても意味ないからね。」

「何かと重宝すると思うよ。」


「悪いな。」

そういい、ギソクは指にはめた。


「試しになにか言ってみろよ。」


「えー、私は男です。」

そうアリスが言うと、指輪は赤く光った。


「おー!凄ーい!」


「お前もっと分かりづらい嘘とか言えねぇのか。」


「じゃあギソクが言ってみてよ。」

アリスは指輪をはめてギソクに突きつける。


「俺は今朝早起きをした。」

アリスの指輪は赤く光った。


「すごーい!本物だよこれ!」


「もういいか。」

盛り上がる二人をマスターが止める。

本題があるようだ。


「その袋には200万ギルが入ってる。」


「…」

アークが不満そうな顔をした。


「なんだその顔は。」


「思ったより少ないと思っただけ。」


「組合からだからな。出しすぎると怒られちまうからな。」

「んで、これが俺からだ。」

マスターはある筒状になった紙を手渡してきた。

たすくが受け取り、開くと地形が描かれていた。


「地図か。」


「あぁ、お前たちには必要になるだろう。」


「地図って凄い高いよね。」

アリスでも理解していると言うことは、本当に出回ってないのだろう。


「あぁ、それだけで1000万ギルはするな。」


「えっ。」

たすくは思わず声を上げた。


「ここでは一つ一つ手作業で作ってるからね、それ相応の値段になってるんだよ。」

「それに受注生産だからね。」

アークが説明してくれた。


「そんな貴重な物をくれるって事は地図が必要な事をやらせようとしてるんじゃないか?」


「あぁ、少し遠い場所になるが依頼を受けて欲しい。」


「それは構いませんが…。」


「依頼はAランク、バジリスクの討伐だ。」

マスターが真剣な顔をした。


「自分たちはまだEランクなんですけど…。」


「指名依頼に制限はないんだよ。」

「お前達の実力を見込んで頼んでる。」


「まぁ、バジリスクくらいなら平気ですよ。」

「どこですか?」


「ちょっと地図貸してくれ。」

マスターはたすくから地図を受け取ると、とある場所を指さした。


「この山に居るらしい。」


「…。」

たすくは指された場所をみて、違和感を覚えた。


「おかしいですね。」

「バジリスクの生息地はこっちのはずですが…。」

たすくは別の場所を指さす。


「お前意外と詳しいんだな。」

「あぁ、本来はこの辺りに生息しているが、どうやら突然変異のバジリスクのようでな。」

「群れから追い出されて、この辺りまで来たんだろう。」


「なるほど…。」


「少し酷ではあるが、近隣の村はもう被害が出ている。」

「討伐をお願いしたい。」

マスターは膝に置いていた手を握りしめた。

被害と言うのは恐らく人も出ているのだろう。


「わかりました。」

「先に村へ行きます、なんて村ですか。」

たすくは机に広がった地図に視線を落とした。


「助かる…。」

「北峰近くにある、キャバリエ村だ。」

マスターが刺した所を見ると、キャバリエ村と書かれた集落があった。


「頼んでおいてこんな事を言うのもあれだが、相当危険だぞ。」

「正直Sランク冒険者でも勝てるか分からないぞ。」

マスターは申し訳なさそうに視線を落とす。


「任せてください。」

「出発しますね。」


「報酬は期待してくれ。」

「長旅になるだろうが、アイツ…、あの村を頼む。」

マスターは自分が直接向かえない事を悔やみながらも、四人に任せるしか無かった。

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