挨拶
「え?いいよ。」
「…え、いいんですか?」
断られるのを覚悟していたアークはあっさり許諾を得て拍子抜けしてしまった。
「?」
たすくは疑問を浮かべた。
「昔、フレンド申請を飛ばしたことがあったんですけど断られてしまって。」
「あー…そうだったんだ。」
「フレンド申請はいつも見ずに蹴っちゃうから。」
「一声掛けてくれたら受けたのに。」
距離感を感じたのは、以前に拒否されたと言う事実があったからだった。
「ちょっと日和ってました。」
アークは苦笑いを浮かべた。
「そりゃ無理だ。」
たすくは笑って返した。
「他に二人いるけど平気?」
「知ってますよ、二人とも有名人ですから。」
「二年も居たら流石にわかりますよ。」
「そりゃそっか。」
「じゃあいきましょう。」
アークは扉へ歩き始めた。
たすくはアークが前に出るまで動こうとはしなかった。
「ここの運営はどうするの?」
「それはシンクに任せます。」
「え、そんないきなりでいいの?」
「伝えてはあるんで。」
アークは扉を開けた。
扉の近くにはシンクが居た。
「お疲れ様です。」
「じゃあここはよろしくね。」
「わかりました。」
「ちょっと借りていきますね。」
「だいぶ困るが、いいぞ。」
シンクは苦笑いを浮かべて言った。
「おいおい、たすくさんにそんな態度取るんじゃない。」
アークが割って入った。
「え?」
「…お前、オーナーとどういう関係なんだよ。」
シンクはたすくに耳打ちした。
「え?…うーん…友達?」
「じゃあ敬語じゃなくてもいいですか?」
アークは嬉しそうに聞いてきた。
「むしろなんで敬語なの?」
「流石におこがましいかなって。」
「なにそれ。」
「ま、まぁここの管理はしっかりしておくので。」
明らかに立場が下なアークを見て、シンクは動揺を隠しきれていなかった。
「よろしく。」
「…あ、帰ってきた。」
「隣の誰だ?」
アリスが駆け寄って来て、ギソクは歩いて来た。
「お待たせ。」
「おー…凄い顔面偏差値。」
「いや、アークも大して変わらないでしょ。」
「随分と仲がいいな。」
「ここのオーナーだったアークだ。」
アークは二人に挨拶をした。
「え、かなり偉い人じゃない?」
「そんな奴がなんでここに居るんだ?」
「アークとは同郷なんだ。」
説明をしたら、二人の顔が少し真剣になった。
どうしてそうなったのかはたすくには分からなかったが、ギソクが口を開いた。
「それはつまり、パーティーを抜けるってことか?」
「え、なんで?」
「たすくの探してる人がアークなら目標は達成してるもんね。」
「いや、探してる人はまだ沢山居るから当分はやめないよ。」
たすくの言葉を聞いて、二人は安心した。
「よかったー。」
「続けてくれるなら助かるが…そっちのは?」
「パーティーに入りたいんだって。」
「なるほどな。位置は?」
「前衛だよ!」
「アークに前衛任せちゃうから、自分はサポートに入るよ。」
「たすくより強いのか?」
「いや、たすくより強い人間なんて存在しないから。」
アークは笑いながら答えた。
「まぁ、強さは保証するよ。」
「そういう事。」
アークはたすくに認めて貰っている事が少し嬉しそうだ。
「まぁたすくが認めてるなら平気か。」
「よろしくな。」
「よろしく〜。」
「あぁ、よろしく。」
「そうだ、討伐の依頼持ってきてるけどやってくか?」
「お前の実力も見れるし。」
「お、やろやろ。」
「ハァッ!」
アークが大剣を振ると、巨大な魔物は真っ二つになった。
「おー、すごーい。」
「おい。」
ドスドスと鈍い音を鳴らしながらギソクはアークに近づいてきた。
「なんだあの化け物は。」
「すごいね〜。」
「凄いねってなんだよ凄いねって。」
「でも二人の訓練にはならないか。」
「全部あいつが倒しちまうからな。」
会話を終え、たすくはアークへ歩いて行った。
「アーク。」
「?」
アークは振り向いた。
「やりすぎ。」
「…?あー!ごめん。」
意図を理解し、反省しながら後ろに下がってきた。
「天然かよ。」
「私たちもう負けないよね。」
アリスは規格外のパーティーだと自覚をしていた。




