聖騎士
「なるほど…こっちに来た経由は同じですね。」
アークは顎に手を添え思考を巡らせている。
「アークは自分以外のプレイヤーとは会ってないの?」
「会ってないですね、味方の保証がないので。」
「そっか…。」
プレイヤーには出会えたが進展があまりなく、たすくは落ち込んでしまった。
「…たすくさんが冒険者になったのは周りのプレイヤーに見つけてもらうためですよね?」
「そうだね、お陰でアークに会えたし。」
「見つけてどうしようと思ったんですか?」
アークはじっとたすくの目を見て言った。
「え?…帰る方法、とか?」
いざ理由を聞かれると、どうしてプレイヤーを探していたのか少し考えさせられた。
突発的に考え無しの様な返答をしてしまった。
「そうですか…生憎ですが、私もそこは分からないんですよね。」
「それに二年を通してこの世界の居心地の良さに慣れてしまったので。」
「正直帰りたいという気持ちはないんです。」
アークはこの世界で二年も生活していた。
彼にはもう、この世界へ越してきた感覚になってしまったのだろう。
「…そっか、そうだよね。」
「ゲーマーな自分たちにとって理想の世界だもんね。」
アークに同調する。
これはたすくの本心でもあった。
「現実に少なからず思うところがあるからゲームにハマる人って多いと思うんですよね。」
「それわかるかも。」
「ですよね。」
「そういえばアークはなんのジョブやってたの?」
「恥ずかしながらタンクの聖騎士をやってました。」
アークは少し照れながら言った。
ゲーム時代、たすくの前でジョブを宣言するのは余程自信があるプレイヤーしか出来なかったからだ。
「聖騎士かぁ、大変だよね。」
「敵の攻撃で死なないように回避して、なのにダメージも出さないと勝てないし。」
たすくも聖騎士を修めている為、アークの苦悩が理解できた。
「そうなんですよ〜…負けると戦犯扱いされますし。」
「こっちからしたらお前らのDPSが低いからだろ!って毎回思ってました。」
苦笑いしながらアークは話す。
「盗賊のEXパッシブに、回避上昇と初撃は絶対回避があるから結構聖騎士と相性いいよ。」
「えっうわー、それプレイヤーの時知りたかったです。」
「聖騎士メインでやってた自分より硬いのおかしいですよ本当に。」
アークが話終わると、真面目な顔をした。
その顔を見て、たすくも少し身構えた。
「あの、急で申し訳無いんですけど…。」
「私をたすくさんのパーティーに入れて欲しいです!」
頭を下げてまで頼んだきたアークを見て、たすくは少し驚いた。




