冒険者
ドアを開けると、想像より人は居なかった。
時間はまだ15時位で、今の時間帯は冒険真っ最中なんだろう。
受付まではスムーズに行けそうだ。
「あの。」
「はい、なんでしょうか。」
物腰の柔らかいベージュ髪の女性だ。
ゲーム内では数年人と接して無かった為、緊張していたが少し解けたようだった。
「冒険者登録をしたいんですけど…。」
「はい、こちらの紙に必要な情報を記入して下さい。」
引き出しから用紙を取り出し、ペンと一緒に差し出した。
「わかりました。」
二つを受け取り、書き始めた。
「(名前は“たすく”っと。)」
「(年齢かー…現実なら25だけど、10代後半でキャラメイクしたからなぁ)」
「(18歳で行こう。次は〜…、)」
そこでペンが止まる。
「使用できる魔法…?」
思い当たる魔法が多すぎてどうすればいいのか分からなくなった。
ファンタジーオブオンラインにおいてスキルは11段階ある。
第1〜3難度は初級。
第4〜6難度は中級。
第7〜10難度は上級。
そして超級難度の11段階である。
たすくはそのスキル全てを習得してる為、使える魔法全て書いたら紙が足りなくなる。
「すみません。」
「何かありましたか?」
こういう対応には慣れているのだろう、手際がいい。
処理してる仕事を一旦止め、顔を上げた。
「この、使用できる魔法と言うのは使えるものを全部書くんですか?」
「魔法が使えるんですね。属性だけで構いませんし、1番得意なものだけでもいいですよ。」
「虚偽でないならご自由に書いて下さい。」
意外と適当だった。が、今は助かる。
全部書いていたらキリが無い。
「ありがとうございます。」
「何かあればまた聞いてください。」
嫌な顔ひとつしない、仕事上手な人だ。
「(得意な魔法かぁ…。)」
「(対人ならよく雷とか氷を使ってたし、これでいいか。)」
いちばん悩んだ場所以外は簡単に埋めることができた。
あとは提出するだけだ。
「お願いします。」
受付嬢に紙を渡した。
「はい…たすくさん、ですね。」
「18歳…独り立ちには少し遅めですね。」
「そうなんですか?」
18歳という事に驚いたようだ。
「早い人は12歳とかで冒険者になりますよ。」
「(小学生が冒険者?凄いな。)」
「雷と氷の魔法ですか…。」
「雷も氷も魔力の消費が激しい上に制御が難しいので使える人は少ないんですよ。」
受付嬢が驚いているが、元プレイヤーのたすくにとっては難しい事なのか分からなかった。
「冒険者の登録は出来そうですか?」
「2日後に試験があるので、試験に受かれば登録出来ますよ。」
「こちらが案内用紙です。」
受付嬢は紙を手渡した。
「ありがとうございます。」
用紙を手に取り、読んでみた。
どうやら試験の合否は実技と筆記に分かれてるようだ。
「では2日後に案内通りによろしくお願いします。」
「ありがとうございました。」
軽く会釈をし、冒険者組合を後にした。




