起床
「んーッ!…夢じゃないのか。」
随分疲れていたのだろう、昼まで寝ていたようだ。
今自分の身に起きている事を受け止め、立ち上がる。
「風呂、入ろ。」
そう言い、ギルドホームの風呂場へ向かった─
「…、よし!行くか。」
身支度が終わり、この世界を調べる事にしたらしい。
ドアに手をかけ、開ける。
光が差し、眩しくなり目を細める。
「(街並みも分からないなぁ…。)」
「(けど、NPCが普段より多いな。)」
人とぶつかりかけた。ここには屋台が並んでいるが、いつもはNPCが数人いる程度だ。
「お兄さん」
屋台を開いてるNPCが声をかけてきた。
今までにない事で動揺している。
「…はい」
「リンゴはどうだい?安くしておくよ」
「(リンゴか、アイテムボックスの中に入ってるけど…)」
「いくら?」
興味本位。それに相場も知るいい機会と捉えたようだ。
「100ギルだよ」
「(100ギル…ゲームなら90ギル位で買えたけど。)」
「(相場なんてその日で変動するか。)」
NPCも儲けを出さなければ生きていけない。
彼らも生きていると感じるのに時間はかからなかった。
「まいど〜!」
気分の良さそうな声がした。
シャク!
「お、美味いな」
リンゴを齧りながら歩く。
「さてと…。」
「他のプレイヤーが居ないか探してみるか。」
足早にある所へ向かった。
人気の無い路地、けど不思議と治安は悪くない。
ただ、ここにだけ誰も住んでないようだった。
「たしか…ここはルイセーヌのギルドホームがあったはず」
記憶を頼りにドアをノックする。
しかし帰ってくるのは静寂だけだった。
「反応なし、か…。」
「次は…」
足早に次の場所へ向かった。
「全部だめか…。」
一時間くらい経っただろうか。
思い当たるギルドホームを尋ねたが、一度も反応は無かった。
「プレイヤーは居ないのか…?」
不安になる。自分だけがこの世界に来てしまったのか?
そう感じるだけで心が苦しくなる。
そんな感情のまま、大通りへ出る。
「あれは…。」
ふと、冒険者組合が目に入る。
初心者の時にチュートリアルで必ず入る事になる施設だ。
「(この世界で冒険者になって高ランクになれば名前が広がるかも。)」
「(俺は良くも悪くも有名だったから、プレイヤーネームを出せば相手からアクションを掛けてくるかも。)」
一縷の望みに掛けて、冒険者組合のドアに手を伸ばした。




