引退
幸男です。
小説にあまり造形が深くない為、読みにくい点があると思いますがよろしくお願いします。
※「()」←この表記はキャラクターの考えてる事です。かっこにカッコがあって気持ち悪いかと思いますが、よろしくお願いします。
─ドサッ
巨大なモンスターが倒れ、崩れ去って行く。
その広大なエリアに残るのはモンスターを倒した人間だけになった。
「ふぅ…流石に余裕か。」
杖を下ろし、一息つく。
頭の上には“たすく”と表示されている。
「(懐かしいなぁ…昔はみんなと一緒に戦ってやっと倒せたボスモンスターだったな。)」
ボスモンスターの報酬を眺め、このゲームを辞めていった仲間たちへ想いを馳せる。
「…ギルドの中でずっとやってるの、俺くらいだけど。」
顔まで上げた手を少し下げ、メニューを開きランキングを覗く。
「(ランキングも三年前に抜かされかけたっきり、ぶっちぎりで1位だし…。)」
「(もうこのゲームやり尽くした感じ凄いんだよなぁ…)」
─ピロン!
通知が鳴り、フレンドの枠が光る。
どうやらフレンド申請が来たようだ。
「うわ…、また無言申請…。」
「もういいって。」
これが初めてでは無いのだろう。
中身を確認もせず、拒否ボタンを押す。
「…あ、そうだ」
何か思いついたのか、ボスフィールドを後にする。
メニューを操作し、“ギルドホームへ転移する”を押す。
「皆で建てたギルドホーム…久々に来たな。」
ドアを開け、ギルドホームに入る。
入ってすぐの広間に木製の長いテーブルがあり、20人分の椅子が並べられてある。
「みんなが辞めてから来ることは無くなったけど…」
テーブルをなぞり、階段を上り二階の自室へ向かう。
部屋に入り、ベッドに寝転がる。
「(俺ももう辞め時かな)」
そう思いながらメニューを操作し、セーブ、ログアウトボタンを押す。
目を瞑り、視界が真っ暗になる。
頭にダイブ機器の感触が戻る。
現実に帰ってきた、そう実感し憂鬱になる。
「はぁ…風呂入って寝ないと…。」
起き上がり、被っていたダイブ機器を取り外しながら風呂に入る決意をし、ベッドから地面へ足を下ろす。
ログアウト前にベッドに寝るのは現実との体制を同じにするためだった。
そして目を開ける。
「…えっ?」
困惑する。目を開けると自分の部屋では無かった。
ここは先程ログアウトしたはずのギルドホームの自室だったからだ。
「ログアウトしたのに、なんで…。」
「っ、持ってたダイブ機器が無い!」
慌ててメニューを開く。
「セーブもログアウトも無い…、ランキングも。」
確認しつつ鏡の前へ向かう。
「アイテムボックスはある…装備も見た目も、ステータスも変化は無いか。」
いくら引退を決意したからと言って、長年やってきた物が無くなったら嫌なのだろう。隅々と確認する。
「そうだ魔法…、使えるな。」
「ゲームの感覚と同じか。」
手のひらに小さな光の玉が出る。
このゲームにおいて魔法は生活魔法か、そうでないかに分類される。
生活魔法は詠唱を必要としないが、それ以外の魔法は魔法名を唱える必要がある。
「…どうなってるんだ?」
「このステータスなら滅多なことじゃ死なないだろうけど…。」
鏡の前からベッドに近付く。
「とりあえず、一回寝るか。」
眠気の限界が訪れ、そして現実逃避をした。




