決勝
「トーナメント決勝!」
「Cブロック、たすく!」
審判から名前を呼ばれたたすくは、1歩前へ出た。
観客席から歓声が飛んでくる。
「…さてと、本当にたすくさんなのかな。」
そんな観客席の出口付近で試合を見ている男がいた。
「Aブロック、シルビア!」
対戦相手であるシルビアも1歩前へでてくる。
シルビアにも多くの歓声が飛ぶ。
「(弓…か。)」
たすくはシルビアの持っている武器を確認する。
審判は腕を上げる。
シルビアは弓を構えた。
たすくは少し大きめのハンマーをアイテムボックスから取り出し、構えた。
そのハンマーは帯電している。
「はじめ!」
「疾風の矢」
シルビアは合図と同時に高速の矢を放った。
「おっと。」
たすくはハンマーで矢を打ち落とす。
それを見たシルビアは眉を寄せた。
「人間業じゃないな…。」
「五月雨」
上空に矢を放つと水属性が付与された矢が雨の如く降ってきた。
「(第五難度のスキル…結構飛ばしてきてるな。)」
たすくはハンマーを傘にする。
ハンマーに帯電している雷が矢を弾いた。
「フリーズショット」
雪玉のようなものをハンマーで打ち出す。
シルビアは回避行動を取ったが、間に合わず片足に当たってしまった。
シルビアの足は膝まで凍りついた。
「チッ…。」
「今のって魚に使った魔法に似てるね。」
「多分今使ったスキルの方が射程が長いんじゃないか?」
ギソクは憶測を語った。
「なるほどねぇ、しっかり対策してるんだ。」
アリスは売店で買った物を食べながら試合を楽しんでいるようだ。
「癒しの水」
シルビアは凍り付いた片足に魔法を使い、状態異常を治した。
「(回復魔法まで使えるのか…さすが決勝まで残るだけはある。)」
「疾風」
たすくが考え事をしていた隙を見逃さず、一瞬でたすくの目の前まで辿り着いた。
「(距離のアドバンテージを捨て…。)」
たすくは魔法を構築する時間が無いと悟ると、手を前に出し大量の魔力で壁を作った。
「破魔の矢」
「一点突破」
シルビアの弓から放たれた矢は魔力で出来た壁を貫通した。
矢はたすくの顔に直撃した。
衝撃で煙が立ち込め、シルビアは一歩下がった。
「いいねぇ。」
煙がはれると、たすくは矢を咥えて居た。
口で受け止めたようだ。
「化け物め。」
シルビアは弓を構えた。
「じゃあ次はこっちから行くよ。」
「させるか。」
シルビアが矢放つ。
しかしたすくに当たる前に弾かれてしまった。
たすくの周りを雷が帯びている。
次第にたすくの体が浮き上がる。
「なんだと…。」
「お前、何を─。」
「なんつー魔力濃度…、」
「おい伏せろ!」
ギソクはアリスに声をかける。
「、わかった。」
アリスはギソクの指示に従い伏せる。
たすくは雷に包まれたハンマーをシルビアに振りかざした。
「(ジョブ破壊神の超級難度スキル。)」
「トールハンマー」
「ッアアアァ!!!!!」
神の雷を帯びたハンマーをその身に受け、シルビアは倒れた。
戦闘エリアには結界が貼られてはいたが、流石に超級難度のスキルの衝撃までは殺しきれなかったようだ。
幸い、周りの観客に怪我をした人は居ないようだ。
「…、結界越しに凄い衝撃…。」
「おいおい、こんなの何に対して使う想定のスキルなんだよ。」
「…ふぅ。」
結界の外で見ていた審判が中へ入ってきた。
今回は避難していたようだ。
「勝者、Cブロックたすく!」
「うおおおぉぉぉ!!!!」
「…なるほど、本物みたいだ。」
出口付近で戦いを見ていた男は、試合が終わると会場を後にした。
二日かけて行われた武闘会トーナメントは、たすくの優勝で幕を閉じた。




