予選
待機所に入ってしばらく経った。
時々会場から大きな歓声が聞こえる。
「最初は…弓で行こうかな。」
扉が叩かれ、運営の男が入ってきた。
「準備が出来ましたら着いてきてください。」
どうやらたすくの番が回ってきたらしい。
「はい。」
たすくは立ち上がり、案内に従う。
「…あ、出てきた!」
アリスが指さす方からたすくが出てきた。
「おぉ、やっとか。」
「弓なんて使えるのか。」
ギソクはたすくが持っている武器に気が付いた。
「…」
たすくの対戦相手は少し小柄の男性だった。
黒いローブで身を包み、顔を隠している。
「(筋力があるようには見えないな。)」
「(格好から見ても暗殺系統のジョブか。)」
「(敗北条件は場外に足を付けること、気絶または戦闘不能になること。)」
審判の男が手を振りかざす。
「初め!」
「ッ!」
開始と同時にローブの男がたすく目掛けて走り始めた。
「(流石に戦い慣れてるな。)」
「(俺が弓を持ってるのを見て距離を縮めて来た。)」
「フライ」
たすくが唱えると、宙へ浮いた。
「、なんだと!」
ローブの男は距離を詰められなくなり、動揺している。
「おーっ、すげぇ。」
「便利な魔法ね。」
「ッ!」
矢を一つ放つ。
アーチャーのジョブの装備を纏ったたすくのステータスは器用、俊敏、攻撃力に特化している。
超速のスピードで飛んで行った矢をローブの男は間一髪避けた。
「クソっ、」
ローブの男は距離を詰められないと悟ると、逆に距離を取った。
「(なるほど、いい反射神経だ…。)」
「なら…。」
「インビジブルアロー」
透明な矢を放つ。
先程より速度は無いものの、透明なため避けるのは難しいだろう。
「ダークウォール」
ローブの男の上を黒い壁が覆う。
インビジブルアローは壁を諸共せずに、貫通した。
ローブの男は穴の空いた場所を瞬時に確認して回避した。
「…奇妙な技を。」
「(これも避けるか…。)」
「(そろそろ終わらせるか。)」
「じゃあ、さようなら。」
たすくは上空に向けて弓を構える。
「なにを…。」
「メテオシャワー」
上空に魔法陣が現れ、放たれた矢が魔法陣に飲まれた。
「消えた…?」
直後ローブの男の上空に巨大な魔法陣が現れた。
「なっ!」
ローブの男は回避行動を取ろうとしたが、遅かった。
巨大な魔法陣から無数の矢が降り注ぎ、ローブの男を襲った。
「っと…ふう。」
たすくはローブの男が動かない事を確認して地面に降りる。
「勝者、Cの7、たすく!」
「なんだアイツ、見たことあるか?」
「この前の冒険者組合の試験を一位で合格した奴らしいぞ?」
「って事はまだ新人ってことか?ヤバすぎるだろ。」
観客席がどよめいていた。
マッチアップ的にもローブの男の方が優位だったからだろう。
他の弓使いなら距離をつめられて詰んでいた。
「なんだあれ、一本だった矢が沢山出てきたぞ。」
「弓にも面白い使い方があるんだね。」
「空間系統の魔法を学んでないと再現は出来ないだろうな。」
ギソクはたすくのスキルを分析していた。
「他にはどんな武器使うんだろう。」
アリスは応援するのではなく、観客として楽しんでいるようだった。




