パーティー
静まり返った空気の中、たすくが手を挙げた。
全員の視線はたすくに注がれた。
「お前まじか。」
試験官は顔を引き攣らせて言う。
あれだけの魔法を行使できる人間が前衛も出来ると思えない。
NPCから見たら人生を賭けても到達できない領域にたすくはいるからだ。
「はぁ…まぁいい、何か見せてみろ。」
「お前ら着いてこい。」
試験官はそう言い、部屋を出る。
合格した新人達はそれを見て着いていく。
先程魔法を撃った場所に戻ってきた。
ここでもう一度スキルを見せる事になった。
「武器はなんでもいいんですか?」
「あぁ、好きな物を使ってくれ。」
「…じゃあ剣で。」
「(じゃあ第八難度のアレで行こうかな。)」
たすくはアイテムボックスから剣を取り出した。
「(アイテムボックス持ちか…。)」
「(それにあの剣…、あの形、天叢雲剣か?)」
「(神話級の剣を何故…?)」
それを見た試験官は持っていたバインダーに何かを書き足した。
「今どっから剣出したの?」
アリスが小声でギソクに聞いた。
「しるか。」
集中して見たいのか、ギソクはたすくから目を離そうとはしなかった。
「じゃあ行きますね〜。」
そう言うとたすくは高く飛び跳ねた。
「秘剣ヤマタノオロチ」
天叢雲剣の先から八つの蛇の首が飛び出す。
色彩の異なる八つの首は鎧を粉々に消し飛ばした。
「…イカれてやがるな。」
「(火、水、風、土、雷、闇、聖、光…か。練度はどれも均一だった。)」
「(それに氷は入っていない…普通の人間は得意属性を伸ばす傾向にあるんだがな。)」
「(…どの属性も変わらないほど使える…のか。)」
ギソクは知識の元、推察した。
「何あれ凄〜い。」
アリスは楽観的だった。
「なるほど、お前ら部屋に戻るぞ。」
試験官がそう言い、全員を引き連れる。
部屋に戻り、先程の話を続けるようだ。
「じゃあ前衛はお前ら二人として、残りの配分は…。」
「あの。」
前衛の子が試験官に話をかけた。
「なんだ?」
「俺たち、幼なじみ同士で試験を受けたんで同じパーティーにして欲しいんです!」
どうやら四人は知り合い同士らしい。
四人全員飛び級合格なのは凄い事だ。
「こっちは構わないが…、いいのか?」
「クリスタリウムかたすくのどっちかが割れないと戦力過多になると思うが。」
試験官はたすくを見て言う。
「大丈夫です、な?」
「魅力的ではありますけどね。」
「おい。」
「じゃあお前ら四人はパーティーで構わない。」
「残りの三人、お前らでパーティーな。」
試験官に告げられた。
「(パーティーか…、知らない人と組まされるより、話した事のあるギソクとアリスならまだいいか。)」
「よろしくな。」
ギソクとアリスが寄ってきた。
「よろしく〜、楽できそうで良かった〜。」
「おい。」
話している時に試験官が一枚紙とカードを渡してきた。
「試験はこれで終わりだ。冒険者については配った紙に冒険者としてのあれこれが書いてあるから目を通すように。」
「渡した冒険者カードは無くすなよ。再発行に金がかかるからな。」
「この部屋を出たらお前らはもう冒険者だ。」
「今日は帰ってもよし、これから依頼を受けてもよし。」
試験官は歩き、ドアに手をかけた。
「頑張ってランクを上げ、ギルドに貢献するように。」
「じゃあな。」
そう言い残し、試験官は部屋を出た。




