136. リカオン・アフライ(5世)
「お待たせしました。どうぞこちらへ、王がお待ちです」
案内の人が来て門を通り、目の前には巨大な宮殿が見えてきた。中に入るかと思っていたが、逸れて右側の石畳を行く。
「王の間じゃないんだな」
「王が、固っ苦しいのは嫌だと言われましたので」
「はぁ、相変わらずだな……リックも大変だな」
「はい。ですがやる時にはやる御方なので。それに相手がバダト様なら致し方ないと」
2人は前で話し合っていた。しばらく進むと、一軒家ぐらいの大きさで、椅子とテーブルが中央に置いてあり、外壁はなく、柱と屋根だけの建物が見えてきた。周囲には溝に沿って水が流れている。
椅子には人が座っていた。大きな体格で、上品な白を基調とした服を着崩していた。髪は白髪で、ライオンの鬣を思い浮かべるようであった。
「よう、久しぶりだなバダト」
「ようじゃねぇ、国の王がだらけやがって」
「まぁそう言うな、王にも幼なじみと会う時ぐらいだらけてても良いじゃないか」
「はぁ……仕方ねぇな。リックにあまり心配かけるんじゃねぇぞ」
「私は大丈夫です」
「ほら、リックもこう言ってるし。それより、そいつらかテジ村の使いは?」
「そうだ」
3人で話し合っていたが、僕たちの方に視線が集まった。
「世が、この国の王。リカオン・アフライ5世である」
立ち上がって、僕達に向かって名乗りを上げるリカオン王。座って話していた時と違い、その眼差しには迫力がある。
「初めまして、僕たちはテジ村からの使いで来た。僕がカンです」
「俺がドラだ」
「ドラ!」
「よいよい、今は固っ苦しいのは無しだ。俺の倅に近い年頃だしな。元気があればこの国はさらに良くなる。」
そう言って、ドラの言葉遣いも笑って許してくれた。




