130. カボレジュース
「さぁ飲んでくれ」
デザさんが注いでくれた飲み物が、目の前のテーブルに置かれる。周りの人達はニヤニヤしながら僕達に注目していた。
「「いただきます」」
一口飲んでみると、爽やかな柑橘系の匂いとさっぱりしつつ、甘味がある美味しい飲み物だった。
「ブハッーーー」
そう思ったその時、隣から盛大に吹き出す音がした。
「ゲホッ、ゲホッ、ゴホッ……ギャーーー!喉が!鼻が!」
「「「ウヒャヒャヒャヒャ」」」
ドラの様子に、皆一斉に笑いだした。いったい何が起こっているのか分からない。毒でも盛られたのか?しかし、一緒に飲んだ僕は何ともない。
「ハハハッ、やっぱり面白いな。なぁデザ?」
「私は何も伝えないのは、悪趣味だと思いますが。プッ」
「お前だって、笑いをこらえてるじゃねぇか」
「え~と、ドラはどうなってるんですか?」
「すまねぇ、これはカボレジュースと言うんだが。別名一番槍の勇気とも言われている。こいつ自体は普通に美味しいんだが、最初に汲んだ時のこいつは、飛びっきり酸っぱい。こうなるほどにな」
ドラを見ながら説明してくれる。
「まぁタルの一番底に、重さの違いか、酸味を含んだ液体が沈んでるから、最初に飲む奴は勇者と称えられる。今回はドラが勇者だ。皆称えよー」
「「「ドーラ、ドーラ、ドーラ」」」
そう言って、先ほどから涙と鼻水が止まらないドラの背中を皆がバンバン叩いている。皆から勇者と称えられるが、この称え方は違う気がする。




