116. モフサギ
「モフサギだ!ライ伏せ!」
ウロさんがそう叫ぶ。ライは伏せの姿勢になり、ウロさん自身もしゃがむ。
「ユウ!ゆっくりモフサギに近づいてモフモフするんだ」
「もふもふ?」
「体全体を撫で回すんだ。そうしないと……危険だ」
「わ、わかりました」
モフサギはその大きな体に反して、つぶらな瞳でこちらを見ている。ゆっくりモフサギに近づくにつれて、顔が近づいてくる。どうやら僕の匂いを嗅いでいるようだ。そーっとモフサギの毛に触れた瞬間、意識が飛んだ。
「おい、ユウ!ユウ、大丈夫か?」
僕の体を揺する動きと声に覚醒する。
「う~ん?」
「気がついたか……どうなるかと思ったぞ」
「あれっ?ここは?」
「ブルカウを狩るために来た平原だ」
少しずつ今までの事を思い出していく。
「僕、モフサギの毛に触れて、それから……」
「もう凄かったぞ!意識がなかったのか?モフサギの頭からは尻尾の先まで、モフモフしてたぞ」
「全然記憶にないです」
「まぁ、それくらいの触り心地だったのだろう。ユウが居てくれて助かった。モフサギは、大人が相手の場合は、あの頭にある角で串刺しにしてくる。子供が相手の場合は、モフモフされれば気持ち良いらしく、満足すると、尻尾を千切って置いてゆく。いきなり音もなく現れるから、対応が難しい」
どうやら、僕が居たから助かったようだ。
「ほら、あそこにあるのが置いていった尻尾だ」
ウロさんが指す方向を見ると、僕の顔ぐらいの大きさの白と茶色のマーブル模様の尻尾があった。近づいて、手を伸ばし触れた瞬間。顔が尻尾に埋もれていた。
「ユウ!ユウ!」
またウロさんに揺さぶられて意識が覚醒する。
「はっ!危険ですっ、あれは!」
「ほらっ、袋を渡すから触らないように入れろ」
「は、はい」
触らないように、慎重に尻尾を袋を被せ入れていく。5分ほどかかったが、なんとか意識を飛ばさずに袋に入れる事が出来た。




