2日目 過去。10
-- 船が爆発した頃、コテージ --
(窓は全部閉まっているはずなのに、家の前で花火大会でもしてるのかと思うくらいの爆音が聞こえてきたわ。)
(確認するまでもなくボートには死の罠が仕掛けられていたのね。)
(もっとも"皆殺し"という言葉を助野くんから聞いていなかったら、わたしも無警戒にボートに乗っていたかもしれないけど。助野くんには感謝しなくちゃね。)
(みんなが出ていったあとにあらためてコテージの中を見回ったけど、少なくとも廊下とリビングにはアレがあったわね。わたしの個室にはなかったし、女子側のお風呂やトイレにもなかった。男子側は見てないけれど、恐らくなさそうね。)
(そして当然、あっちもあると考えて間違いないわね。特にこのリビングには…。)
わたしはソファー席に座りスマホスタンドにスマホを立てかけ録画状態にすると、一人でスマホに向けて語りだした。
「わたし達は全員死にます。だけどその前に、この映像を残しておくことにしました。」
「このコテージに集められたメンバーは、小学校のとき同じクラスだった同級生です。本当は当時もう1人クラスにいて、加藤功実くんという男の子もいました。だけど彼は参加できません…死んでいるからです。」
「警察などの関係者が来た時のために、わたしが知る限りの時系列で完結に記録しておきます。まず2日目の今日、朝から雨風が強く海で遊ぶのは断念しました。みんなでビデオ鑑賞していましたが昼頃に吉川くんがいなくなっていることに気づきました。彼は未だに見つかっていません。それから夕方頃、中梅千佳が亡くなっているのが発見されました。南側の坂の中腹で千佳が地面にしゃがみ込みなにかを調べているところめがけて、坂の上から重量物を後頭部を狙って落とされたのだということでした。それから今さっきボートで脱出しようとした渡辺のぞみと、それに便乗して乗った誰かも死んだでしょう。ものすごい音がしました…わたしの予想ではきっとボートに罠が仕掛けられていたのだと思います。」
「藤井美優もすさまじい爆音があったのに一向に姿を表しません、個室をノックしても返事はないし彼女も恐らく…。」
「でもわたしは怖くありません。もしこれが加藤くんの復讐だとするなら、わたしは死を受け入れるのが筋だと思うからです。」
「何が筋なのか?と思うでしょう。順を追って話します。」
「彼は小学校の頃、わたし達がイジメたことで自殺してしまいました。わたし達は全員そのときの当事者です。なのに皆、その暗い記憶をいつの間にか封印しており話題にも出ませんでした。」
「彼をイジメて自殺に追い込んだわたし達が、彼の復讐によって殺される。皮肉なものですね。」
「加藤くんにあだ名をつけたのは他ならぬわたし。イジメられていつもうつむいていることと、加藤という文字から連想しそのとき読んでいた小説からカトブレパスという名前をわたしがつぶやいてしまった。当然他の人達はおもしろがり、そのまま彼はカトブレパスと呼ばれるようになった。」
いつも閲覧・評価ありがとうございます。感想・誤字の指摘などありましたらよろしくお願いいたします。
※この話はすべてフィクションであり、実在の人物・地名・事件・建物その他とは一切関係ありません。




