王都では
スタリオンが出立して1ヶ月程経ち、王都では活気が無くなり、商店や工房等が少なくなり、王都への流通をしていた商会も撤退しているので物価も高騰しており、若干治安も悪くなっていた。
王都に残った警備隊が頑張っているので若干で済んでいるのだが、軍部の方は混乱をしていた。
今までは魔獣退治などの仕事は下級貴族や平民を中心とする部隊が担当しており、上中級の貴族中心の部隊はほぼ退治に行かず王都にいるだけで、スタリオンが追放されてから退職者が続出となりほぼ貴族のみの構成になった。
最初はまた平民から入隊させれば良いやとしていたが、募集をしても入っては来なかったので、地方に行っている隊員を呼び戻そうとしたが逆に増員を求められた。
下級貴族や平民中心の部隊の部隊長や副官は中級貴族であったのだが統廃合されて1つの部隊となった。
この部隊は統合しても人数が少なかったので近衛からの移動があった。
現在は11あった部隊が近衛を入れても4つになった。
とある日にその上級貴族による部隊に魔獣退治の指令が下った。
「第1部隊に王都西側に出現した魔獣の退治の命令が来た。直ぐに行くように」
「はぁ? 何で俺たちが行かなきゃならないんだよ。
平民の部隊に行かせろよ」
「そうだそうだ」
「何を言っているのだ? 退職が続出して近衛を入れても4部隊しかないんだぞ。他の2部隊は北と南に行っている。直ぐに出ろ」
「じゃぁ俺も退職で」
「俺たちも」
「何を言っているんだ、貴族は入隊から6年は退職はできないぞ。無理にでもやれば敵前逃亡罪で死刑になる」
この言葉を聞き、部隊員達は呆然としてしまった。
退職も出来ず、死刑にはなりたくなかったので魔獣退治に出かけたが、魔獣はどうにか退治できたが、実戦や訓練不足で怪我人が続出した。他の部隊もそうであった。
王城の文官達も似たようなものだった。
スタリオンがいなくなり、大量退職があった為に書類の決裁等が出来なくなり、大変な事になって全ての事業が止まった。
決裁書類は王太子と第2王子の所に持ち込まれる事になった。
「何なんだこの書類の量は、何故俺の所に来るんだー!!」
「今までやっていたスタリオン殿下がいませんから元の決裁者に戻っただけです。第2王子はその3倍は有りますよ。それに比べれば微々たるものですよ。
スタリオン殿下ならこの量なら昼迄に終わっていますよ。それでは昼に伺います。
午後は管理王領の方をお願いします」
「クッソー!!」
◆
同じ時間、第2王子も同じ事になっていた。
「全然終わらないじゃぁないかー。どうなっている」
「スタリオン殿下を追放したので、元の決裁者の所に来ただけです。以前スタリオン殿下が書類を見直して1/3迄減ったのですよ。本当ならこの3倍は有りますよ。それにこの量ならスタリオン殿下は夕方迄には終わらせますよ」
「何なんだー!!」
◆
昼になり王宮に戻った王太子と第2王子は食事をしに来た。
「おい、食事が貧相になってないか?」
「そうだな、野菜もしなびれているぞ」
王太子と第2王子がコックを呼び、文句を言っていた。
「王都の物価が上がりすぎて今の予算では購入量が今までより少ないので。
後商会が王都より撤退をして王都に入って来る量が極端に減りました」
「もうよい!! いったいどうなっているんだ?」
コックの話しを聞き、苛立つ王太子。
「兄上、夜は久し振りに外で飲み食いしませんか?」
「そうだな、此処の所書類とのにらめっこでは持たん。久し振りに行くか!! バイオレットも呼んでおこう。何時もの所だな」
「ええ、彼処ならいい物も飲み食い出来ますよ」
「そうだな、ワッハハハ〜」
ご機嫌な2人だった。
◆
王太子はどうにか仕事を終わらせ、第2王子は翌日に仕事を回して、何時ものレストランにバイオレットを連れて向かうと、その店は閉店をしていた。
「兄上、やってませんよ」
「どう言う事だ。おいちょっと聞いて来い」
王太子は護衛に閉店した理由を聞かせに行かせた。
・
10分程すると護衛が戻った。
「遅いぞ!! でどうなった」
「此の辺りは殆ど人がおらず、住んで居るのも疎らです。それで此のレストランは物価高騰と食料品不足の為に食品の仕入れが出来ず閉店したそうです。
在庫品は生活の為売り払ったと言ってました。
店主家族は別の領に行ったそうです。
王都内の店や工房が至る所で閉店しております」
「何でそうなっているのだ?」
「1ヶ月前程に大きな商会が王都から撤退したそうで、何処へ行ったかは分からないそうです」
「わかった、クッソー何なんだ?? どうなっているんだ」
護衛からの報告に苛立つ王太子。
「ねぇ殿下〜、宝石を買ってくれる約束でしょう〜。宝石店に行く途中に有るレストランにでも寄りましょうよ」
「そうだなバイオレットの言う通りだな。じゃぁ行くか」
王太子一行は宝石店を目指しながらレストランを探した。
しかし宝石店迄何も無く閉まっている店ばかりで開いていても僅かな野菜等を売っている所ばかりだった。
宝石店も閉店していた。
此の宝石店はノーヒ商会の系列店でスタリオンが追放された時に商会と共に移動していた。
此の店は貴族御用達で宝石は此処で購入しなければ流行遅れと言われていた。
まぁ此の流行もスタリオンが作ったものだけど、王太子達はそれを知らない。
王太子は護衛にまた聞きに行かせ、此の辺りの店や工房は1ヶ月前に閉店したと聞かされた。
「バイオレット、此処は閉店したそうだ」
「えー此処じゃないと流行遅れと馬鹿にされます」
王太子はバイオレットの話を聞き、護衛に言って無理やりドアを開けさせて中に入った。
もしかしたら1つや2つ有ると思ったからだ。
しかし中はガランとして何もなかったが、護衛に探させた。
しかし何も出て来なかった。
「バイオレット、何も無い」
「ならドレスでも良いですわ」
「わかった、そうしよう」
宝石店を出てドレスを売っている衣料品店に来たが同じ様に閉店していたので同じ様にこじ開けて中に入るとやはり何もなかった。
「バイオレット、帰るぞ」
「ええー何も無いのですの〜?」
「そうだ、王都はいったいどうなっているんだ?
バイオレットは父親から何か聞いていないか?」
「いえ、婚約者破棄の時から両親とは口を聞いていません。あの日は帰ったら散々怒られましたから」
「俺の婚約者になるのに何故怒られるのだ?」
「何か言っていた様ですけど、良く分からなかったですわ」
「はあ? もういいや王宮に戻るか」
バイオレットを送ってから王宮に戻った王太子達は食べる物を用意しろと言ったらパンが1つ出て来ただけだった。
ご覧いただきありがとうございます。
お星様、リアクションありがとうございます。




