王城ではⅡと公爵邸
陛下より帰還パーティーを請け負った王太子と第2王子は直ぐにスタリオンの残した資料を見に行ったのだが、内容を見てもさっぱり分からず頭を抱えてしまった。
「全然わからん。何から始めれば良いのだ?」
「本当ですね兄上。宰相に分かるか奴を付けてもらいましょう」
◆
2人は宰相の所に行き、スタリオンの書いた資料の事を聞いた。
「宰相、この資料を見てもさっぱりわからん。わかる奴を付けて欲しい」
「は? この資料は新人の文官が見ても丁寧に分かり易く書いてありますよ。後ろのフローシートを見ればどの様に進めるのか一目で分かりますよ」
「何だそのフローシートと言うのは?」
「は? それは学院で習っているはずですけど、本当にお分かりでないのですか? 物事を順番に進めて行く表ですよ。それを見れば誰でも進めていけます」
「それでどれがフローシート何だ!!」
「へっ? 殿下方本気で言っているのですか? 冗談ですよね? 本当に学院を卒業されているのですか?」
宰相は資料の後ろにあったフローシートのページにした。
「これです。これを見て必要な事をやれば新人でも出来ますので、先ずやって下さい。要件が終わりなら私はこれで」
宰相はこれではらちがあかないと思い、話しを終わらせ自分の仕事に戻った。
「お、おい」
王太子が声を上げたが宰相は見向きもしなかった。
◆
王太子の執務室に戻った2人は先程の宰相の態度の話をしていた。
「何なんだ王族に対して不敬だぞ」
「何時もあの様な感じなのですか?」
「スタリオンが辺境に行って2ヶ月位経ってからずっとあんな感じだ」
「もしかしてスタリオン側に行ったとか?」
「それは無いだろう。あいつは辺境にいるのだから」
「兄上、それよりもこっちを先にやらないと」
「そうだったな」
・
・
「パーティーの規模がこれだから、予算がこれで、人員がこれだけ必要で、呼ぶ貴族は全員に招待状を送付・・・・・だーー、何だこのやる事の多さは」
「兄上、2人ではやり切れないですよ、俺達のお付を巻き込みましょう」
王太子は執事にお付を呼ぶ様に指示した。
◆
宰相は国王に書類を持って行った。
「陛下、今日の分です」
「ああ〜置いといてくれ。それであ奴らの様子はどうだ」
「資料も満足に読めません。本当に学院を卒業しているのかを疑いたくなります。それとお付を巻き込み始めました。頭になってやるならまだ良いのですが、丸投げの可能性もありますよ」
「自分達でやろうが丸投げだろうが結果次第だな」
「ちゃんと出来るのでしょうか?」
「出来てもらわなければ、この先は無いぞ」
この後も話しを続けるのであった。
ー・ー・ー・ー・ー
王太子達が帰還パーティーの準備を始めて1ヶ月が経ち公爵邸ではセレガが訪れていた。
「公爵閣下ご無沙汰しております。この度はご迷惑をおかけ申し訳ありません」
「いや良い。スタリオン殿下に付いて行ったのだろう」
「はい、系列や下請けを含めて付いていきました。
それと王太子殿下と第2王子殿下の管理王領から全員、スタリオン殿下の王領に移りました。
以前の様になりたくないと申しております」
「アハハハやっぱりそうか、まぁ面白い事になりそうだな。それでだが東の王領からは5ヶ月はかかるのではないのか?」
「はい山脈が繋がってしまったので普通ならそうなのですが、此処からは閣下の心の中に御仕舞下さい。
実はスタリオン殿下が山脈にトンネルを掘り、以前と同じ様に行く事が出来ますが、現在入口を魔法を使って分からなくしています。現状通れるのは家の商会を含めて少数です。魔法を使って隠しているのでトンネルの入口部分は山肌にしか見えません」
「殿下も面白い事をするな。もし解放するなら帰還パーティーが終わり全てが終わってからだな。
その時期はコチラから言うよ。その後はスタリオン殿下と相談してくれれば良い」
「かしこまりました」
「その話だけではないのだろう?」
「はい、先日サファイヤが届けられたと思いますが、本日は見本として1つ希少なサファイヤとミスリルのナイフ、ミスリルと魔石を使った実用性の有る指輪と腕輪、サファイヤのジュエリーを数点、最後に奥様用のドレスを持って来ました。
最初に希少なサファイヤです」
「ちょっと待ってくれ妻を呼ぶ」
公爵はメイドに妻を呼ぶ様に言った。
少しすると公爵の妻が入って来た。
「あらセレガじゃないの。久し振りね。ドレスでも持って来てくれたのかしら?」
「奥様ご無沙汰しております。ドレスも勿論持って来ております」
「そう、楽しみにしておくわ」
「それでは希少のサファイヤがコチラです。まだ台座には乗せておりませんが見本と言う事でお渡ししておきます。尚ご婚約者様の名前を付けてエリーゼ・サファイヤと名付けられました」
セレガは公爵の妻に渡した。
「色が変わっていて綺麗ね。婚約者の名前を付ける何て粋な事をするわね」
「お2人はとても仲が良く、視察にも御一緒されております。領民達も早く御結婚されて領地を治めて欲しいと言っております。今は内政と魔法、学院では習わない計算を勉強されています
ミラージュ殿下にはお姉ちゃんと呼ばれています」
「そうなのね。スタリオンちゃんと楽しんでいるのね。それにミラージュちゃんにも慕われているのは良い事だわ。家の娘はその様な事は1度もなかったからね」
その後はミスリルと魔石を使った指輪や腕輪、サファイヤの追加ジュエリー、奥様用のドレスを数点を公爵夫妻に見せ、説明した。
「ミスリル迄発掘するとは、それに指輪と腕輪に魔石を付けて魔力タンクとストレージと言う収納迄付けるとは。軍部や冒険者は欲しがるな。それに魔石が綺麗にカットされていて台座を変えれば平民の方でも流行りそうだな」
「一応他の金属でも魔法が通りますが、ミスリル程反応が良くないので少し時間が遅れますね」
「まぁ平民用ならそれでも良いだろう」
「ねぇセレガ、ジュエリーとドレスは全部もらうわよ。特にこのジュエリーが気に入ったわ」
「そのジュエリーは殿下の御婚約者のエリーゼ様がデザインしたものです」
「まぁスタリオンちゃんの婚約者はこの様な才能もあるのね。素敵だわ〜、一度話してみたいわ」
「そうだな。帰還パーティーが終わったら一度行こうかな。温泉で癒やされ様かな?」
「そうね偶には良いわね」
3人が話しているとバイオレットが入って来た。
「お父様よろしい・・・あっ商会。何を持って来たの!!」
「今は商談中だ。下がっていなさい」
「え〜私も何か買って下さい」
「お前は王太子殿下に買って貰うと言っていたではないか」
「あの人は本当に口ばっかりですわ。スタリオンが行ったら直ぐに買ってくれると言ったのに今だに買ってくれないのよ。
あっそうでした。王太子から手紙を預かってきましたわ。お渡ししますね」
公爵はその場で受け取り、中身を読んだ。
「帰還パーティーでのメイドの派遣要請だと? 今更何を言っているんだ。開催迄半月も無いではないか。
それに招待状も来ておらぬ。1ヶ月前には各家に着いていないといけないはずだ。このままでは参加は王家だけだぞ。それも面白いか、まあ良い。返事を書くから待っていなさい」
公爵は執事に手紙のセットを持って来てもらい、その場で書き始め、書き終わるとバイオレットに持って行かせた。
セレガとの話も無事終わり、セレガは日持ちをする野菜を荷馬車1台分、公爵に預け、自由に使って下さいと言った。これもスタリオンからだった。
◆
公爵からの手紙を受け取った王太子は直ぐに中身を読んでから叫んだ。
「何なんだー、これは!!」
公爵からの内容は簡単に書くとこの様な感じだ。
○ メイドの派遣期間、人数、日当。
○ 派遣元への支払い予算書。
○ 貴族会議の承認書
「バイオレット、これはどう言う事だー!!」
「知りませんわよ。私はただ手紙を持って行き、返事を持って来ただけですから」
「くー」
「それに面白い事を言ってましたよ。招待状が来てないと。普通なら1ヶ月以上前に届いていなければならないと。このままでは出席者は王家だけだなと」
「へっ、何の事だ? 何を言っているのだ? ラムダ招待状は出したのだよな」
「私は出してはいませんよ。兄上の王太子名義で出すのですから、此方で勝手にはできません」
「嘘だろ〜。これではどうにもならん。今から書くぞ。全員手伝え!!」
パーティーをやる直前に招待状を書き始めた。
貴族会議の面々は領地に帰っているので、今から招待状を発送しても間に合わない事も考えず、書き始める王太子だった。
さてどうなるのやら。
ご覧いただきありがとうございます。
お星様、リアクションありがとうございます。




