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兄上に辺境に追放されました〜行政が滞っているから戻って来いと、知らんがなー頑張ってね〜  作者: トシボー


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国王の帰還

「門が見えてきたな、やっと戻って来れた。

 馬車に乗っているだけでも疲れるな。

 それにしても街道に人がおらんが以前からこんな感じだったか?」

 国王は同乗していた王妃に聞いた。

「そんな事はないわ。王都に入る門の所は何時も行列が出来ていると聞いていますわよ」

「そうか、今回も王都を出る時は人が大勢いたと思うがどう言う事だ?」

 国王が頭をひねった。

 王都に入る門に来ると警備隊の兵士が1名いたのだが、通常なら2名の配置になっているはずだ。

 馬車が門の前に止まり、確認の為に警備隊の兵士が此方に来た。

 王族でも必ず門で確認をとる事になっており、王家の紋章入りのカードを見せれば通れる。

 荷物の検査は無いのでカードを見せて直ぐに出発となるのだが、王妃が言った通りなら門の所では行列が出来ているはずが、閑散としていたので警備隊に聞いてみた。

「警備兵、人がおらんがどう言う事だ?」

 兵士は陛下から声をかけてもらえると思って見なかったので驚いたが直ぐに答えた。

「はっ、数ヶ月前に王太子殿下がスタリオン殿下を東の辺境王領に追放した後に王都から大商会が撤退しました。その事が始まりで王都から人が出て行っております。そのため王都には物が入って来ず大暴騰になっています。商会や商店、工房等は閉店しております」

「何だとー。他に何か知っているか?」

「はっ、軍部、警備の兵士や王城の文官、メイド等が大量退職したと聞いております。そして王都では一部スラム街が出来ていると噂されています」

「スタリオンを追放だとー。王妃は知っておったのか?」

「いえ、知りませね」

 王妃が答えた後は兵士に労いの言葉を言って、門を開け出発したのだが、門をくぐり王都内を見ると閑散としていて商店等は全て閉まっており、風吹いても砂埃が舞うだけだった。

「何て事だ」

 そう言って黙ってしまった。

 国王が門に到着した事は王城に報告された。王太子と第2王子元にも連絡が入った。

「ラムダ聞いたか、父上が帰って来た」

「聞きました。それでどうするつもりですか?」

「此処まで来たらどうにもならん。取り敢えず誤魔化すしかない」

「わかりましたよ」

 王太子と第2王子は逃げる道を探し始め、全てを誤魔化そうとしていた。

 宰相は国王の帰還を報告されて、どう報告するか考えていた。

「誤魔化した所で陛下には通用しませんから、全てを話すしかありませんね」

 執務室で頭を抱えてしまった。

 公爵の元にも国王の帰還の連絡が来た。

 公爵は夫人と共にお茶を飲んでいたが、その場にはバイオレットもいた。

「陛下が帰ってきたか。これからどうなるか楽しみだ」

「そうねスタリオンちゃんが抜けてこの在り様ですからね。どうなるのかしら? 王妃殿下もどう思うのか楽しみですわ」

「そうだな。バイオレット、王太子との婚姻が整ったら直ぐに行くのだぞ。離婚は認めんし、此処に戻って来る事も認めん」

「嫌になったらスタリオンの所にいきますわ」

「何を言っているんだ? 殿下の所まで5ヶ月以上かかるぞ。1人で行くのか?」

「そんなにかかるのですか? 確か1月で行けると聞いていましたよ」

「その道は使えなくなった何か変動があって山脈が繋がったそうだ。山脈を迂回しなければならない。

 それに王家と結婚するなら此方からは人手は必要ない。全て王家が手配するからな」

「そんな〜」

「自分で選んだのだろう。それなら責任を持ちなさい。此方の事は気にしなくても良い」

「むー」

 バイオレットはむくれた。

 国王は王城へ帰る間外をずっと見ていた。王妃も同じく外を見ていた。

 王都を出る時はこの様な風景ではなかった。王都中は活気が有り、人の往来も多かった。

 しかし外の風景はまるで廃墟の様になっており人は全然見かける事がない。

 国王はずっと黙って、何かを考えていた。

 王妃は自分が懇意にしていた店が閉まっているのを見てため息をついていた。


 馬車が王城に入り、玄関前に止まり馬車から降りると王城の荒れた様子が目に入った。

 大声で「何だこれはー」と叫びそうになったのだが我慢をした。

 王妃は愕然として尚且つ小刻みに震えていて、今にも持っている扇子を折ってしまいそうになっている。

 玄関に迎えに来たのは宰相と近衛5人、王妃の此方に残っていた侍女数名だった。

 何時もなら軍部の将軍や兵士、高位の文官、メイド等が並んでいたがたった10人程しかいなかった。

「陛下、無事の帰還に安堵しております」

 宰相が陛下に言うと返答した。

「宰相これはどう言う事だ?」

「それは・・・・・」

「今此処で言う事ではないな。今から言う者を集めよ。宰相、将軍、公爵だ。直ぐにこさせろ」

「はっ」

 宰相が返事をして2人を呼びに行った。

 暫くして王城の応接間に陛下、王妃、宰相、将軍、公爵が集まった。

「何故こうなったのかを説明してもらおうか。宰相、事実のみを時系列で話せ」

「事の始まりはパーティーで王太子殿下がスタリオン殿下を東の辺境王領に追放したのが始まりです。

 そしてスタリオン殿下に婚約破棄をさせてバイオレット嬢を自分婚約者にしました。

 その後は・・・・・」

○ パーティーの翌日、王領への命令書、婚約破棄書等の書類にサインして3日後に辺境に出発。

○ パーティーの翌日から文官を始め王城で働く者達の大量退職。

○ 軍部も大量の辞職により10以上あった部隊は現在近衛を入れて4部隊でほぼ魔獣退治で出払っている。

 募集をしても今まで0人。

○ 王都内では大商会の撤退において系列の商会、商店や下請け等も撤退して行った。

 これにより王都の商工業の約60%以上が無くなり、それにより王都に入って来る物が無くなり、少ない量の奪い合いにより、価格は大暴騰となり、そのあおりを受けて王都から出て行く人が続出。

 王都内では1部スラム化。

○ 王城内は文官、執事、侍従、メイドや下働き、料理人等が退職の為王城内が回っていない。

 王城内にいるのは中位貴族家の文官等やどうしても王都にいなければならない下位貴族家、平民。

○ 書類等の決裁が滞っており行政が止まっている。

 最終の決裁がスタリオン殿下の時にはこの様な事は一度もなかったが、王太子、ラムダ殿下に変わってからは止まってしまい、貴族会議が開けないので当主達は領地に帰って行った。

「大まかですが以上です」

「書類等は以前よりも減っているのだったな」

「はい、スタリオン殿下が試行錯誤中して1/3迄に減りました」

「スタリオンでは何ともなくて、2人に変わってから滞るとはおかしな話だな。2人の能力が低いと言うことか?」

「それはわかりませんが、法律に関してはそう言わざるを得ないです」

 今の話を聞いていて公爵は笑いを堪えていた。

「公爵、どうした?」

「行政に携わる物が法律の能力が低いとか、何の冗談かと思いまして、本当にたちの悪い冗談だ。

 それに1人で回せて、2人になったら出来無いとか可笑しくて」

 公爵の言葉で王妃がプルプル震えている。それは自分の子が馬鹿にされているからだ。

「確かにそうだな。それに関しては公爵に同意だな。公爵、それならどうしたらいい」

「どうしたもこうしたもお2人にやらせるしかないでしょう。スタリオン殿下を呼んでも5ヶ月はかかりますから」

「はあ、東の王領迄は1ヶ月あれば行けるはずだぞ」

「まだご存じなかったのですか? あの街道があった所は地殻変動があって山脈が繋がったのですよ。なので山脈の端を回ることになります。

 後もう1つ王太子殿下とラムダ殿下が治めている王領ですが誰もいなくなりましたよ。役所も住民も1人残らずどこかにいきましたよ」

「公爵本当ですか? 本当なら両殿下は嘘の報告書を提出したことになる」

 宰相が言って頭を抱えた。

「本当ですよ。噂を聞いて面白そうなので見に行かせました。役所の代官の机の上には辞表やら退職届が山になっていたと」

「将軍直ぐに見に行かせろよ」

 国王が指示を出したのだが返事はYESではなかった。

「全部隊魔獣退治に出払っていますので近衛にお願いします」

「何て事だ。公爵何故こうなったか分かるか?」

「私の推測ですが、スタリオン殿下が見る前は最大税率以上を取っていてスタリオン殿下が標準迄にしての農民達を食べて行ける様にしたのにまた前の様になるなので、それが嫌でいなくなったのでしょう。

 役所には裏帳簿あって国には標準税率で報告して残りは自分達の懐に入れていたみたいですね」

「あ奴らめ」

 国王が言おうとしたら王妃が入って来た。

「嘘よね。そんな事をするはずがないわ」

「王妃殿下、事実です。目を背けないで下さい。裏帳簿は代官の机の引き出しに入っていますよ」

 国王は侍従に近衛へ行かせ2王領の確認に行かせた。

「情報量が多すぎる。一旦休憩にする」

 国王は頭を抱えて項垂れた。


 

 

 

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