2人の婚約と王都への帰還命令
(SIDE 国王)
国王は周辺諸国の集まりで隣国での交渉と視察及び若干のバカンスを終えて帰国の途中であった。
「予定よりも1月も早く終わった。もっと荒れるかと思っていたが、思いのほかスムーズに行った。
何処かで1月半程バカンスの続きをするか。
これで当分は国外に対しては安泰だな。
問題は内政の方だな。あ奴らが余分な事をしておらなければよいが」
「あ奴らとは誰でしょうか? まさか王太子とラムダの事ですか?」
国王が言った後に王妃が聞き返した。
「そうだ、あ奴らは今まで何の実績を残しておらね。今回の事で余がいなかった間にどの様な実績を上げたのか見ものだな。酷ければ減点もありうる」
「まさか王太子を剥奪してスタリオンにと言うのですか?」
「スタリオンにとは今の所は考えておらぬが、一度剥奪してからの実績積みは考えておるが余りにも酷ければ色々と考え無ければならん。取り敢えずは帰国後のパーティーの後だな」
「もう少しご自分の息子を信じくださいませ」
「そうしたいのは山々なのだがな」
国王は腕を組んで考え始めた。
帰国して王都があの様になっているとは思うはずがない。
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東の辺境の王領ではスタリオンが1月かけて領内の視察に出かけて新しい産業の創設や問題点の解決を行っていて、ある所では塩の生産が始まったり、山崩れ防止の為に伐採方法の変更や植林等も始まった。
それにはエリーゼ嬢も一緒に付いて行った。
本人は内政の勉強の為なのだが、周りはそう思っていなかった。
視察中の2人の様子は仲の良い恋人同士に見えており、2人が結婚をして領地を治めてくれれば良いと思っていた。
領都に戻り半月程経つと王都からの早馬が来たので執務室で対応した。
「王太子殿下の命により参上致しました。至急王都にお戻り下さいとの事です」
「王都に戻る理由は何だ」
「私共ではわかりません」
「書状や命令書は?」
「ありません」
「命令書が無ければ移動できないから至急命令書を持って来い。そうしなければ法律違反で王太子が連行されて独房入りになるぞ。
命令書が来次第出発する」
「王都に戻ってまた来なければならないのですか?」
「そうだ、国の秩序を守る為に法律があるのだから、これを破れば国は乱れる。もしかして貴殿は平民か? 貴族家の者であれば知っていなければならない事だぞ。学院で習っているはずだ」
早馬で来た使者が苦虫を潰した様な顔になっていた。この使者はどうやら貴族家の者らしい。
「それと貴殿には頼みがある側妃殿下の実家の伯爵家の当主と元婚約者の公爵家当主に持って行ってもらいたい物があるが、頼めるか?」
「はっ、大丈夫でございます」
「そうか、ありがたい。此処までの遠かったであろう、せめて今晩は此処でゆっくりと休むが良い。
貴殿に預ける物は明日の朝に渡す」
「はっ、お気持ちありがたく受け取ります」
執事に案内され使者は退出した。
スタリオンは別の執事を呼び、今日来た使者に食事に何か美味いものを出す事と帰りの道中用の食料を渡す様に指示した。
「王都で僕を急いで呼ぶと言う事は相当混乱をしているのか? まぁ取り敢えずは静観かな。
お祖父様と公爵に手紙を書くか。それと男性用のサファイヤの飾りと夫人用のネックレスとイヤリング、カメオを入れておこう」
手紙を書いていると母である側妃殿下が部屋に入って来たのでどうしたのかを聞いて来たので、使者からの話しをした。
話を聞いた側妃殿下は少し考えてこう言って来た。
「貴方はエリーゼ嬢と婚約をしなさい。多分ですがバイオレット嬢はまた此方に乗り換えて来る可能性があります。公爵にサファイヤを送りそれを見たバイオレット嬢はきっとそうなります」
母上はメイドを呼び、エリーゼ嬢を呼んで来る様に指示をした。
暫くするとメイドと一緒にエリーゼ嬢が来たがミラージュも一緒だった。
「お呼びでしょうか?」
「ええ、エリーゼ嬢貴方はスタリオンと婚約する気はありますか? スタリオンはどうなの?」
「僕はエリーゼ嬢と一緒にいるのは楽しいですから、そうであれば婚約したいですね。外見もストライクですから」
「私もお受けしたいのですが、家の方が何と言うかわかりません」
エリーゼ嬢が言うと側妃殿下が答えた。
「そっちは大丈夫よ。以前からその様な話はしていたの」
「いつの間にそんな事に」
僕とエリーゼ嬢は驚いていた。
「エリーゼ嬢が魔法を習いに来た時からよ」
後日、伯爵家家族が全員来て無事婚約が整った訳だが、王城が受理してくれるか微妙な所だ。
側妃殿下は「大丈夫大丈夫」と言っているけど国王がな〜。
それから早馬の使者は翌朝に僕の託した荷物を持って王都に戻りました。
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早馬はスタリオンの領地を出発した後に行きよりも早いスピードで走り、途中で馬を交換しながら走り続け、側妃殿下の実家の伯爵家に寄り、王都に入ってからは公爵家に寄ってから王城に入り王太子に報告をした。
「それでスタリオンは此方に出発したのか?」
「いえ、命令書が無ければ法律違反になり命令を出した王太子殿下が連行され独房入りになってしまうので先に命令書をとの事で、来次第出発するそうです」
「また法律か!! クソー!! これでは間に合わん」
「それで命令書の方はどうなさいますか?」
「いや、もういい。どちらにしても間に合わん。
それでスタリオンの領地はどうだった」
「はっ、スタリオン殿下の領地ですが、先ず領都は南北に10km、東西に8kmの外壁に囲まれており、役所を中心として整然としており、人口も以前の王都並みに人が多かったです。
新しい産業も増えており活気が出始めています。
領都外の農村地区でも畑等が綺麗に整備されて農作業がやり易い仕組みになっております。
食料品は鮮度も良く、海も近い為に海産物も豊富で美味しかったです」
「お前は1人で美味いものを食ったのか?」
「遠いところまで行ったのでスタリオン殿下に労っていただき、帰りも数日分の食料をいただきました」
「ならスタリオンのところから食料を運ばせればいいのだな」
「スタリオン殿下のところからでは荷馬車ですと5ヶ月程かかりますので麦等の穀物類ならば可能かと」
「そんなにもかかるのか?」
「南北に連なる山脈の端を回って行くのでどうしてもそうなります」
「わかった、下がって良い」
早馬でスタリオンのところに行った近衛は退出した。
「クッソー、何で上手くいかないのだ」
そう叫んでからラムダの所に向った。
(SIDE 公爵家)
スタリオン殿下から手紙が来た。バイオレットの事があったから切り捨てられたと思っていたがそうでもないらしい。私との個人的な繋がりと言う事だろう。
手紙には近況の事が書いて有り、読んでいくと向こうで楽しんでいて、宝石や鉄鉱石等も産出していると言う事でこれからが楽しみと書いてあった。
それに南隣の令嬢との婚約、温泉ができたことも書いて有り、此方に来たら温泉に入って海を眺めながら癒されてほしいとも書いてあった。
行く楽しみができたな。
手紙と一緒に来ていた箱を開けると綺麗なサファイヤのジュエリーが入っていて、男性用も作っていた。
相変わらず面白い事をすると思った。
すぐに妻を呼びネックレスやイヤリングを付けさせた。妻によく似合うデザインだ。
私もつけてみた。先ずはシャツの襟の先端につけてから、次に左胸につけ、最後に袖口のカフスをつけた。
宝石の大きさは絶妙な大きさでつけていても嫌味にならない。絶対これは流行るぞ。
妻が私を見て言って来た。
「男性がつけても良いわね〜。流石スタリオンちゃんね」
「お前もよく似合うよ。ジュエリーのデザインがつけた人を引き立て、魅力的にする」
「このサファイヤはとても良い物だわ。深い青だけど黒くないわ。それにカットによる輝きも良いわね。
普通に買ったら結構な値段になる最高級品よ」
その時にドアが開き、バイオレットが入って来た。
「お父様実は・・・・・どうしたのですかその綺麗な宝石は?」
「友人から私達夫婦にいただいた物だ」
「えー私の分は?」
「ある訳ないだろう。お前は王太子に買って貰うと言っていたではないか」
「あの人は口だけですから、これだったらスタリオンの方が良かったですわ。もう一度婚約をやり直そうかしら」
「それは無理だ。殿下は別の方と婚約なされたからな。それに公爵家として殿下との婚約の結び直しはしない。お前では地方の行政は出来まい。かと言って王太子妃になっても恥をかくだけだな」
「そんな事より私にもその宝石を下さい。お母様〜」
「駄目です。夫婦でお揃いで陛下の帰還パーティーに行くのですから、あげません」
「むー」
ー・ー・ー・ー・ー
(SIDE 国王)
「もう少しで王都だな。少しゆっくりしすぎたな」
「良いじゃありませんか、王太子達がちゃんとやっていますわよ」
「・・・・・嫌な予感がする」
国王達はもう直ぐ王都に入る、現在の王都を見てどう思うのか。
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