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兄上に辺境に追放されました〜行政が滞っているから戻って来いと、知らんがなー頑張ってね〜  作者: トシボー


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10/19

王都ではⅡ

 辺境の王領でひたすらエリーゼ嬢に謝っている頃、王都では食料不足や人口の減少、一部ではスラム街の様になって来た。

 店も閉まった所が以前よりも多くなった。


 王城の軍部では魔物の出現が頻繁にあり、休む間もなく出動していて、貴族家出身の兵士は疲弊していた。

「出動の指令が来たぞ。直ぐに出ろ」

「帰って来たばかりだぞ。少しは休ませろー」

「今まで散々休んでいたのだから、今までの分を取り戻してると思えば良いだろう。

 大丈夫だ、怪我をしてもポーションが有るから直ぐに治るぞ。それと鍛冶工房がまた1軒閉店したから剣は折るなよ」

 貴族のみの体制になった最初の頃は怪我人の続出となったが、とある貴族が魔物退治してくれている軍部に差し入れをしていた。

 これにより体制は継続出来る様になり、順次討伐に行ける様になった。

「何でこんな事になっているんだよ、スタリオン殿下がいなくなってから散々だよ」


 王城の文官はと言うと、王太子と第2王子からの書類が返って来ない為、事業や王城内の事が止まっていた。

 そして灯りの魔導具や空調の魔導具が壊れ始めていて、城内は暗く、暑くなっていてメイドも多数退職したので汚れが多くなって来た。

 魔導具は修理に出そうとしても第2王子の所で書類が止まっており、尚且つ王都内の工房は移転していた為に他所の領地迄送らなければならない。


 王太子や第2王子はと言うと、執務室で書類を裁いていたが、全く減らずどんどんと増えていっていた。

「殿下方、書類はまだですか? 王城の機能が止まっています。早くして下さい」

 宰相が来て書類を催促している。

 宰相もスタリオンを追放しただけでこの様になるとは思っていなかった。だが今更どうしようもないので、王太子と第2王子をせっついている。

「宰相、食料の方はどうなっているのだ? 王宮の方に入れぬのか」

「小さな商会がやっていますが、高値での奪い合いになっています。現状の予算ではとてもとても」

「だったら予算を増やせ!!」

「その書類は提出しておりますが一行に返って来ません。早く決裁してもらえませんか? 王城の食事はパンのみなので困っているのですよ。王宮はまだしなびていますが野菜が出るだけマシですよ」

「くー」

「それと各貴族当主が自分達の領地に戻っています。現在残っているのは家とバイオレット嬢の公爵家のみです」

「何故その様な事になっているんだ」

「書類の決裁がされないので会議が開けないのです。スタリオン殿下お一人でやっていた時はこの様な事は全く無かったのに。お2人でやられてどうして終わらないのですか?」

「もう良い、下がれ」

「わかりました。決裁してある分はいただいていきます」

 宰相は王太子の執務室から退出をした。

 王太子は一旦執務を止めて第2王子の所に行ったのだが、第2王子の執務室のドアを開けると中に積んであった書類が崩れ落ち、王太子を飲み込んだ。

 どうにか書類の山から這い出た王太子は中で執務をしている第2王子の所に行ったのだが書類の1つの山が天井迄とどきそうになっており、それが部屋いっぱいになっていた。

「おいラムダいるか?」

「兄上ですか? いますよ」

 声のした方に書類を掻き分けながら進むと第2王子のラムダがいた。

 ラムダの顔は痩せコケて目の下にクマを作っていた。

「おい大丈夫か?」

「全然大丈夫じゃないですよ。毎日睡眠が2時間で、やってもやっても終わらないです」

「このままでは不味いな。父上が帰って来るまでのどれ位有る?」

「4ヶ月程ですね」

「4ヶ月か、一度スタリオンをこっちにこさせてやってもらうか。急いで呼びに行かせれば1月半程で来れるはずだ」

「そうして下さい。俺はもう限界です」

「直ぐにこさせるから、それまでは踏ん張れ」

「無理」

 第2王子は王太子と話しながらも書類を決裁していた。

 王太子は第2王子の執務室を出ると直ぐに軍部に行くと将軍が1人いただけだった。

「将軍、早馬を出してくれ。スタリオンに戻って来る様に伝えろ」

「無理です。全員出払って魔獣退治に行っています。   

 ここには私1人ですので近衛にでも頼んで下さい近衛なら5人程いますから」

「はあ? どう言う事だ? 10部隊以上あっただろう」

「平民は全員退職しました。その後に募集をかけましたが1人も入って来ませんので統合したら近衛5人の1部隊で残りは貴族の3部隊しかありません」

「わかった近衛に行く」

 近衛の所に行き、どうにか早馬を出す事が出来た。

「これでどうにかなるな。後は食料だな。バイオレットを頼ってみるか」


       ー・ー・ー・ー・ー

 翌日王太子はバイオレットを王城に呼び、食料調達の事を公爵に伝える様に言った。

 バイオレットは渋々ながらも公爵に伝えたら、手紙を王太子に持って行けと言われた。


       ー・ー・ー・ー・ー

 バイオレットが公爵からの手紙を王太子に渡すと直ぐに中身を確認した。

 その手紙に書いてあった事は。

○ 食料購入の予算書。

○ 食料種類別の数量表。

○ 貴族会議の承認書。

○ 予算で全て購入できるかは保証出来ない。

  食料品の値段が暴騰している為。

○ 購入費は前払いのみ受け付ける。

  後払いでは購入出来ない為。

○ 全ての書類が揃わないとこの話は無効とする。


「何だこの条件は、絶対無理だ」

 王太子は嘆いた。

「お父様は「スタリオン殿下を追放する位だからこれくらい軽いだろう。やってもらわなければ国として困る」とおっしゃっていましたわ。それよりも宝石は何時買ってくださるの? 取り敢えずお渡ししましたので帰りますね」

 バイオレットは王太子の執務室を出て、帰って行ったのだが馬車の中でボソッと言った。

「これだったらスタリオンの方がマシでしたわ。本当に口ばかりですね」


        ー・ー・ー・ー・ー

 半月後、早馬が帰って来て報告をした。

「王太子殿下、たいへんな事がおきました。東の王領に行く道が無くなっています。

 スタリオン殿下が通った後に地殻変動が起こり、山脈が繋がったそうです。

 我々も馬では途中迄しか行けませんでした。

 1名は山脈の南端経由で向っておりますが、行くだけで3ヶ月以上かかると思われます」

「何だとー、そんな事はあり得ん。そんな報告は信じられん」

「事実でございます。山脈に近い所の住人によれば、地揺れが起きた後に街道が有った所は隆起して約3000m迄になったそうです。抜け道もありません」

「なんて事だ、これでは間に合わん。下がって良いぞ」

 報告に来た近衛は退出して行った。

 王太子は第2王子の所に行き、先程の事を話した。

「兄上、それでは間に合わないですよ。どうするおつもりですか」

「それは・・・・・」

 2人が話していると宰相が入って来た。

「殿下方宜しいですか?殿下方が管理している王領から報告がありませんがどうなっておられますか?

 至急いただきたいのですが」

「スタリオンがやっていたのではないか?」

「スタリオン殿下が辺境王領に行く前迄のものはいただいております。スタリオン殿下が東の王領を管理する事になったので両殿下の王領を見る事は法律に違反します。もしさせていたなら両殿下は法律違反として独房入りとなりますが宜しいのですか?」

「「良い訳有るか!!」」

「なら至急提出して下さい。出来れば3日以内でお願いします。来年の予算に関係しますのでお願いしますね。それと書類を早く決裁して下さい。後が使えています」

「わかった、王領を確認したら直ぐにやる」

 王太子の言葉を聞いて宰相は退出した。


「こんな事になるなら王太子の後ろ盾にならなければ良かった。法律も満足に知らないのか。

 私も皆の様に領地に戻りたいですね。

 今頃あの公爵はお腹を抱えて笑っているでしょうね。スタリオン殿下推しでしたから」


        ー・ー・ー・ー・ー

 王太子と第2王子は近衛に兵を1名ずつ借りて管理している王領に行くと誰もいなかった。

 役所に行っても誰もいなくて、代官の机の上には受理された退職届が山となっていた。

 周辺の畑や民家に行ったがやはり誰もいなかった。

「いったいどうなっているのだ、誰もいなくて、畑は何も手入れがしていない。小麦の刈り取りさえしていない」

 頭を抱え込んだ後に王太子は叫んだ。

「いったい何なんだーーー」

 

 第2王子の方も同じ状況であった。

ご覧いただきありがとう御座いました。

お星様、リアクションありがとうございます。

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