34話(作戦会議1)
「それではこれから今後についての会議を始める。皆、席につけ」
ラムダ艦長が重々しく口をひらく。
「それでは、今回の作戦立案者、ヨシダ索敵班長。現在の状況を」
「はっ、はい!まず、敵母艦の位置についてなのですが、ステルス機能搭載船と言うことでまだ場所の特定には時間がかかりそうです。どうやら敵船は攻撃をかける360秒だけステルス機能を使っているようで、今のような非攻撃時には、おおよそでありますがここから30キロ程度離れた場所に停滞しているものと見られます」
敵は潜水艦である。まだこの世界では長距離を攻撃出るような魚雷は開発されておらず、海の中というのは地上戦で一番安全な場所であった。
ヨシダが次に敵の行動パターンについて語る。
「え〜っと、次に敵の行動パターンについてなのですが、軍の固定砲や対空砲を集中的に攻撃していますね。戦機は主にB型機、G型機の汎用機が特に攻撃を受けている模様です。それに対して、R型機やF型機といった特殊機体にはまるで時間稼ぎのような戦い方をしているのが見られましたね」
「なるほど。それで、敵の目的とは何かわかったのか?」
「いやぁ、確証を持ってはいえませんが、敵は何か大きな攻撃を仕掛けようとしているのでは何のかと」
「その、大きな攻撃というのは?」
「たとえば、”核”など」
ここにいる各員が固唾を飲んだ。
現在この世界における非核条約は主にWPC加盟国にしか適用されていない。過去にはCOCが核をいつか使うのではないのかと議論があったが、この数年の間は使ってくることはなかった。誰もかも核は脅しの道具にしかならないと考えていたのだが・・・
「ここで核の使用を許せば、今後奴らは核を主戦力にしてくるだろうな」
「確かにそうですが、ここで使用されると街の被害が尋常じゃないことになる。どうにかして防がなければ」
皆が核が使われるのを恐れていた。だが、まだ確証には至らない。
そんな時、マリーが手をあげた。
「発言宜しいでしょうか?」
「ん? 君は・・・」
「初めましてになりますね。私は今日ここUnity軍に任命した、マリー・ローゼスと申します。まだ信用ならざる身ですが、私の意見を聞いてもらえないでしょうか?」
先ほどまで固い顔をしていたラムダであったが、少し表情を崩して口をひらく。
「いや、経歴なく発言してもらって構わない」
「ありがとうございます。え〜っと・・・先ほどのヨシダさんがおっしゃられた、敵の核攻撃についてなのですが、私の戦機ならば敵の作戦がわかるかもしれません」
「どういうことだ?」
皆の視線が一斉にマリーに向く。
「隠す気はありませんが、私はCOCの亡命兵です。それと同時に戦機を持ってきたのですが、その戦機の回線がまだ敵の回線チャンネルに繋がっているのです。そこで・・・」
一度マリーは口を閉ざした。少し周りの反応を確認しているようだ。
「いい。続けろ」
ラムダがマリーに話を促す。
「はい。昨晩の敵の通信回線の内容が私の戦機に記録されておりまして・・・ これがその記録です」
マリーはそう言い、手から小型のメモリーチップを差し出した。
早速ヨシダがそのチップをコンピューターに読み込ませる。カチッという音を立ててコンピューターに吸い込まれていく。少し型が古いやつのようだ。
「音声データですね・・・ これでいいですか?」
「ええ。それでお願いします」
すると会議室に敵の回線音声が流れる。どうやらその場の責任者と技術者同士の会話のようだ。
『ザザッ!! ・・・はできているんだろうな!』
『もう少しです。ですが・・・後の調整がまだでして』
『チッ!早く仕上げろよ。明日には実行するんだからな!』
『は、はい! ・・・ですが、本当に核を使って宜しいのですか?もう少し考え・・・』
『口答えをするな!何を今更。私がやると決めたのだからもう後には引けんよ。しっかり本部からも許可を・・・ザザッ・・・』
「ふむ・・・ どうやら予想は当たっていたようだな」
「これは・・・ 予想通りですが、やはり驚きがありますね」
実際に敵の声を聞いて、ここにいる人は全員焦っていた。だがそこでラムダ船長が声を上げる。
「敵の目的ははっきりした。いつ撃ってくるかもわからんが、全員いつなんどきでも対応できるよう準備しておけ!」
「まぁ、いいか悪いかはわかりませんが、予想が当たっていたので、このままの作戦で実行してもいいですね」
「ああ。それでは作戦概要を頼む」
そうしてヨシダが作戦概要について話し始める。




