32話(鹵獲)
前半は前回のあらすじをまとめて書いてあります。
俺はフォンさんたち率いるF型機部隊と敵のリーダー機らしきものとの交戦の様子を観戦していたのだが、その戦いのレベルの高さに驚かされた。
F型機部隊の連携力も素晴らしいものがあるのだが、それより敵機に動きに感心した。いや、敵に感心している場合ではないのだが、この動きを見たものは感心せざるを得ないだろう。
語彙力が足りていないとは自分でも思うのだが、それほど隙のない動きであった。
そう見ているうちに状況は動いた。
フォンさんがビームナイフを持ち出して何をするのかと思うと、それを投げた後、器用に空中で破壊させ、そのナイフに残っていた熱エネルギーを攻撃に転換させたのである。
流石の敵もこれには対応できておらず、腕にダメージを受けていた。
フォンさんがそのチャンスを見逃すはずもなく、3機のF型機は決着を決めようとするのだが、敵機とF型機の間に、視界の端からビーム砲が2門飛んできた。
これのせいでトドメを刺すことはできなかった。
どうやら敵は撤退するらしく、発煙弾を焚いていた。だが、俺のいる場所からは敵の姿が丸見えであった。
『バレットライフルでは決定な効果は期待できないな・・・ だが、このナイフなら・・・!』
俺は西洋映画のシーンで出てきた、ナイフの刃の部分を持ち相手に投げるシーンを思い出した。できるかはわからないが、やってみる価値はあるだろう。と自分の中で結論付けて、ナイフを取り出し、刃の部分を持ち、敵を目掛けて投げる体制をとる。
「当たってくれよ!!」
その西洋映画に出てきたナイフを投げるシーンをイメージして投げてみた。
すると、なかなか良い軌跡を描き、敵に飛んでいった。
結果は・・・
見事命中!
リーダー機ではないが先ほどビーム砲を放った、もう一方の機体のコックピット部分に近い場所に刺さったのだった。
「どんなもんだ!簡単に逃げられてたまるかよって」
そう浮かれている俺であったが、突然、敵のリーダー機がこっちに迫ってきた。
味方がやられて頭に来たのだろう。凄まじい速度でこっちに来る。
俺はさっきナイフを投げたから近接武器がないのである。
まずい、調子に乗りすぎた・・・と思いつつ、拳で戦う構えをとる。
だが、相手の武器は大きなヒートソードだ。敵が振り翳してきて、やられると思った瞬間、鈍い金属音が鳴り響いた。
そこにいたのはマリーであった。
どうやら軍港の端の方に隠れていたようだ。
マリーもどこから持ってきたかわからないが、大きなヒートソードを携えており、さっきの金属音は敵機の剣とマリーの剣がぶつかった音であった。
そのまま交戦するかと思ったが、敵は破損した味方の機体を少し見て、海の中へ去っていった。
『間一髪だったぜ。ありがとう』
『ふん、あなた危なっかしいところがあるからよ。見守っておいて正解だったわ』
『まぁお前の言うとおりだな。調子に乗るのは程々にするよ』
『どうやらね・・・ まぁ、とりあえず一件落着ね』
『ああ、そうだな』
ーーー
俺のナイフで破損した機体のパイロットは生きており、現在取り調べ中である。
機体の方は現場検証を終えたのち、一旦戦機格納庫で保管されるらしい。どうやら水陸両用の機体というのは珍しいらしく、今後の研究材料になるとのこと。
現在、俺はマリーとノアノフの休憩室にて休んでいる。これからのことについて話していたのだが、
部屋のドアにノックがなった。
「こちらUnity台湾支部局のものだ。マリー・ローゼスがここにいるのはわかっている。出てこい、話がある」
「お、おい。どうするんだ?」
「どうって・・・ 行かなきゃならないようだし、少し行ってくるわ」
そう言い、マリーは部屋を出ていった。
今日の戦機の無断での戦闘に関わることであろう。少し彼女が心配であったが、ここは彼女のことを信じるとしよう。
部屋には俺だけになってしまい、静寂が訪れた。
今後のことを考えると憂鬱になって、ため息しか出ない。
今日は敵が引いてくれたから良かったものの、また襲撃は続くであろう。
「また今日みたいな戦闘があるんだろうな・・・流石に疲れてくる・・・」
そう呟き、近くのベットに横がると、今日の疲れが一気に襲ってきた。
そうして俺は目を閉じた。




