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遅れてきた王子  作者: 神崎みこ
おまけ
9/9

43. endless wish

 そこそこ及第点をあげられる王と王弟が仲良く王宮を治めていく、というのがささやかな国民の願いである。

完全にお飾りであり、誇れるものはその歴史だけ、という王室の役割を彼ら二人は完全に理解し振舞っている。

威厳があり、かつ高慢ではない。

舵取りが難しそうな王室のそれを、のらりくらりとこなしているのだから、その割とぼんやりとした外見からはうかがい知れないほど中身は優秀なのかもしれない。

だが、彼らの唯一最大の欠点は、跡継ぎである第一王子がたいそうなぼんくらだ、ということであった。




「・・・・・・またですか?」


日々目立とうと考え、ろくでもないことしか思いつかない王子の発案に、世話係がためいきをつきながら返答をする。

あまりにも日常すぎて、護衛騎士などはあくびをかみ殺す素振りを隠そうともしていない。

そこそこの父親から生まれたはずの第一王子は、たいそうかわいらしい頭脳を持ち、困ったほどの行動力をもってして、王室へ実質的な権利を取り戻そうと奮闘している。

そんなことは誰も望んでいない、という何万回も繰り返された諫言にも耳を貸さず、己の信念を邁進中だ。

救いなのは、彼が本当に残念な王子である、ということと、どちらかといえばそれが国民皆の笑い話になる程度に納まっている、ということではある。

生贄にあてがわれた世話係の心労を見なかったことにすれば、ではあるのだが。

生き生きとした王子と、既に余分な肉などないのにやせ細っていく世話係。

そんな彼らを心配して、国王のもとには日々数え切れないほどのお守りが届くのだ。

どうか長生きしてください。

そんな国民のたっての願いを知ってか知らずか、国王とその弟は第一王子を遠ざけながら、日々その役割を果たしている。

ささやかな願い、それが成就されることを願いつつ。

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