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騎士と禁断の魔術

 ベルルがサイアスを追いかけるよりも前ステンノから調査を依頼されたアレクシスはファンタリー領に乗り込み、エルギットを直接叩き伏せて情報を聞き出した。

 

「……」


 だがその直後、死角からアレクシスの命を狙う凶刃が迫る。

 その窮地を救ったのは、蒼き鎧を纏った騎士の一閃だった。


「大丈夫か、アレク」


 そこに立っていたのは、シルヴァ・フォン・シーフォ。

 セウロハ国家騎士団シルヴァ隊を率いる隊長であり、アレクシスの旧友だ。

 アレクシスは「それはこちらの台詞だ」と言いたげな表情を浮かべながら、発火のルーンを起動し、襲いかかってきた暗殺者の一人を焼き払う。


「探したぞ」


……それもこっちの台詞だとアレクシスが文字を書くより速く、シルヴァの剣が鋭く迫った。


「こんな形で君と会いたくはなかったよ、アレクシス」


 アレクシスは魔剣でそれを受け止めるが、シルヴァの追撃は止まらない。


「僕がここへ来たのは、君がこの館を襲撃しているという報せを聞いたからだ!」


 アレクシスはバツの悪そうな顔をした。

 よりにもよって、なぜお前がこのタイミングで来るんだ、と。


「士官学校を出たのは、こんな私闘を演じるためじゃないだろう!」


(俺が何の理由もなくこんなことをすると思うか! 頼む、信じてくれ!)

 アレクシスは必死に目で訴えかける。だが――


「いい加減にしろ!!」


 結局、彼の必死の訴えは届かなかった。

 剣の柄頭つかがしらで思いきり額を殴り飛ばされ、アレクシスの意識は暗転する。

 そうして彼は、旧友の手によって連行されることとなった。




「アレク……君は掴んでいるんだね、だからわざと派手な立ち回りをしたってことだろ」


 アレクシスから渡されたメモを頼りに、シルヴァは複雑な構造の地下水路へと足を踏み入れた。

 富は地下に隠される。そして、魔術師にとっての富とは「工房」に他ならない。

 この地下空間は、隠蔽魔術によって複雑怪奇な迷宮と化していた。


「私の工房に、ノックもせずに入ってくるとは……貴様か」


 そこにいたのは、狡猾な卑しさを全身から漂わせた魔術師だった。

 彼は、隠蔽をあっさりと突破して現れたアレクシスを、まるで「この世ならざる異形」を見るかのような怯えた目で睨みつけている。


「アレク……ここは一体……」


 魔術師を拘束し、気を失った少女を横たえていたアレクシスを見て、シルヴァは絶句した。

 ここで凄惨な何かが行われていたことは、もはや語るまでもなく明白だった。


「戻ろう、アレク」


 アレクシスは無言のまま、指先で虚空に光の文字を綴った。

 ――『殺すか?』


「意味がない。この魔術師も、所詮は末端だろう。製造法を知る者や、君の言っていたファンタリー家の魔術師は、すでにここを去っている」


 もともと違法薬物を扱う組織を追っていたところだ。この状況ではもう逃げられはしない、じきに騎士団の手で摘発されることになるだろう。


 アレクシスは、工房の奥にある研究資料へと視線を走らせた。

 高度な暗号が施されていたが、アレクシスの鋭い直感は、その奥に潜む真実を捉えていた。

 この地の魔術師は、薬物売買で得た膨大な資金を注ぎ込み、ある禁断の領域に触れようとしていたのだ。


(賢者の石の研究か……。必ず、その真相を突き止めてやる)





 

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