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42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


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第89話 彼女達の日常


★双子のスカート破れ騒動★


 大邸宅での新生活が始まって数日。

 桜子の提案で双子――サリーシャとマリーシャ――は、正式に日本の学園へ編入することになった。


「ニホンの学校、ドキドキします!」「わたしたち、頑張ります!」


 張り切る二人は、朝から新しい制服に袖を通していた。ブレザー姿にチェック柄のスカート、胸元にはリボン。金髪碧眼の双子が並んで着ると、それだけで絵画のように映える。


「……やっぱり目立つな」

 俺は玄関先で腕を組んでため息を漏らす。

 普通の生徒なら「かわいい子が転校してきた」くらいで済むだろうが、この双子は美貌に加えてテンションも高い。トラブルが起きないわけがない。


 案の定、学園に着いてから一時間もせずに事件は起きた。


「キャアァァァ!」

「お、おい! スカートが!」


 体育の授業中、全力で走った拍子にサリーシャの制服スカートがビリッと裂けたのだ。

 予想以上の脚力に布地がついていけなかったらしい。


「わあぁぁ!? サリーシャのスカート、裂けちゃいましたぁ!」

「きゃーっ、見えてる見えてるっ!」

 マリーシャが慌てて覆い隠そうとするも、周囲の生徒たちの視線は釘付け。男子は赤面、女子は悲鳴と笑い声の入り混じった大騒ぎに。


 そこへ担任が駆けつけてくる。

「サ、サリーシャさん! すぐ保健室へ行きなさい!」


 だが当の本人は、スカートが裂けても全く動じていない。

「ダイジョーブ! サリーシャ、強いですから!」

 満面の笑みで親指を立てているのだから、逆にみんなのツボに入ってしまった。


 翌日には、今度はマリーシャが美術の時間にやらかした。

 石膏像を「カッコイイ!」と抱きついた拍子に、制服の袖がベリッと破けたのだ。

「いたた……あれ? また服が?」

「マリーシャさんまで!?」「双子そろって破れキャラじゃん!」


 こうして「破れ双子伝説」が校内で一気に広まることとなった。


◇◇◇


 放課後。

 屋敷に帰ってきた双子は、破れた制服を抱えてしょんぼりしていた。


「たかゆきサン……わたしたち、また失敗しました……」

「サリーシャ達、普通にしたいのに……」


 肩を落とす二人に、俺は苦笑をこぼす。

「いや、むしろ大成功だな。お前たち、もう学園の人気者だぞ」


「ホントですか!?」

 ぱあっと表情を輝かせる双子。


 そこへ紗綾がやってきて、柔らかく笑った。

「ええ、心配しなくてもいいの。多少ドタバタしても、皆さんはあなた達を面白がって受け入れてくれるわ」


 深雪も「それに、注目を集めるのは悪いことではありません」と続ける。

「ただし今後は、生地の丈夫な制服に仕立て直した方がいいでしょうね」


「なるほどです!」

「サリーシャ達、強化制服ほしいです!」


 桜子が胸を張って宣言した。

「お任せあれ! 奉龍院が誇る最高級の仕立て屋に依頼いたしますわ! もう破けても安心ですの!」


「いや、破けない方がいいんだけどな……」

 俺が呟く横で、双子は「やったー!」と手を取り合って跳ね回っている。


 こうして、双子の学園生活は波乱の幕開けを迎えた。

 だが、破れた制服と共に残った笑顔は、確かにクラスの皆に新しい風を運んでいたのだった。


◇◇◇


★激濃お弁当で平和なお昼★


 その日。

 屋敷の大広間に集まった俺たちは、ちょっとした「お弁当持ち寄り大会」を開いていた。

 きっかけは七菜香の一言。


「七菜香、おじさんのためにお弁当作りたいんだぞっ!」


 その勢いに真理恵も乗って、「じゃあ私も一緒に作るわね」と母娘で腕を振るうことになった。


◇◇◇


 出来上がった弁当を広げると……。

 二段重ねの大きな弁当箱に、色鮮やかなおかずがぎっしり。


「わぁ、豪華だね……!」

 紗綾が目を輝かせる。


「彩りも綺麗だし、栄養バランスも考えてありますわ」

 桜子も感心している。


 だが、肝心の味は――。


「じゃあ、いただきます」

 一口頬張った瞬間、俺は思わず吹き出しそうになった。


「……う、うん? なんだ、この……妙に濃い……」


 横を見ると、深雪も小さく咳き込んでいる。

「塩加減が……随分しっかりしていますね」


「わぁ! 七菜香も食べてみるぞっ!」

 自分で作った卵焼きを頬張った七菜香は、目を丸くした。

「……しょっぱぁぁぁい! お水くださーいっ!」


「ちょっと、七菜香! 自分で作っておいて何言ってるの!」

 真理恵がたしなめるものの、彼女が口にしたおにぎりもまた……。

「……っ!? こ、これは……ちょっと塩、効かせすぎたかしら……」


 そう、母娘そろって味付けが“激濃い”のだ。


「なるほど……親子ってこういうところまで似るんだな」

 俺が呟くと、玲緒奈が堪えきれず吹き出した。

「ぷっ……ごめん、でもほんとに同じ味だよ! 母娘コピーって感じ!」


 フィルまで「フィルは濃い味、好き。問題無い」と真顔でつまみ食いをして場が和む。


◇◇◇


「うぅ……七菜香、失敗しちゃったんだぞ……」

「ごめんなさい隆行君、張り切ったのに……」


 二人が肩を落としていると、紗綾が優しく声をかけた。

「でもね、味より大事なのは気持ちなのよ。隆行さんのために作りたいって、その想いが一番のご馳走だから」


 深雪も続ける。

「ええ。少し濃いくらい、皆で笑い合えたらそれは素敵な思い出になります」


「……二人とも、ありがとう」

 真理恵は目を細め、七菜香もぱあっと笑顔を取り戻した。


「おじさん! 次は絶対おいしいの作るから、また食べて欲しいんだぞ!」

「ああ。楽しみにしてるよ」


 そんな母娘の姿を見て、俺の胸も自然と温かくなっていた。

 味付けはともかく――彼女たちが一生懸命に作ってくれた弁当は、確かに俺にとって最高のご馳走だったのだから。


◇◇◇


★甘えん坊フィルのリモートワーク★


 水無月&奉龍院グループのトップに立った俺は、社長室で山積みの書類と格闘していた。

 窓の外には摩天楼の夜景。机の上には湯気の立つコーヒー。

 その静寂を破ったのは、扉をノックもせずにスルリと入ってきた小柄な影だった。


「隆行。フィル、来た」


「おいおい、また勝手に……」


 現れたのはロシア支社長のフィル。金髪を揺らしながら、すたすたと机に近づいてくる。

 そして、ためらうことなく俺の膝の上に腰を下ろした。


「問題無い。フィルはリモート勤務。ここが拠点」


「いやいやいや……リモートの意味わかってるか?」


 俺の抗議など意に介さず、フィルはタブレットを取り出し、次々と画面をスワイプ。

 どうやら本当に会議やメール対応を進めているらしい。


「ほら見て。会議も進行中」

「いや、確かにちゃんとやってるけど……なぜ俺の膝の上で?」


「隆行の膝は安定する。居心地、最高。椅子より上質」


 至極真剣な顔でそんなことを言うものだから、反論の余地もない。


◇◇◇


 そこへタイミング悪く、紗綾が秘書として資料を届けに来た。

「社長、次の会議資料を……って、えっ!?」


 扉を開けた彼女の目に映ったのは、俺の膝に鎮座するフィルの姿。


「こ、これはその……」

「問題無い。フィルは仕事してる」


 すました顔でタブレットを掲げるフィル。

 しかし紗綾は額に手を当てて小さくため息をついた。


「もう……社員に見られたら大騒ぎになりますよ?」

「大丈夫。フィルは透明。誰にも見えない」

「そんなわけあるか!」


 思わず俺が突っ込むと、紗綾はぷっと吹き出して笑った。

「……ふふ、でも。そうやってリラックスできるのも、隆行さんの人徳かもしれませんね」


 彼女の微笑みにつられて、俺も苦笑するしかなかった。



 フィルは小さな体で俺の胸に寄りかかりながら、ぽつりと呟いた。

「ここにいると、安心。ロシア支社よりも、ずっと」


 その言葉に、俺は自然と彼女の頭を撫でていた。

 彼女は不思議な存在だ。支社長という立場を持ちながら、こうして甘える姿はまるで子ども。

 けれど、その観察眼と判断力は経営陣の中でも随一。


「……ありがとうな、フィル。お前のおかげで助かってる」

「うん。もっと褒めて。褒めると、フィル伸びる」


 にやりと笑ったフィルは、タブレットを操作しつつ、さらにぎゅっと抱きついてきた。


 ――社員に見られたら誤解しか生まないだろう。

 だが俺の胸の奥は、不思議と温かく満たされていた。




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