表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42歳バツイチ 神様になってイチャLOVEハーレムを作る!  作者: かくろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/100

第88話 世界が俺達を見ている

 水無月コーポレーションと奉龍院の合併。

 CEO就任から数ヶ月が経ち、世間では「新時代の財閥」として連日報道が相次いでいた。


 経済誌には俺の顔写真。

 ワイドショーには「ハーレムCEO」の文字が踊り、ネットでは「恋人達が経営陣」という事実が好奇の目で拡散されている。


 だが、奇妙なことに――批判の声は少なかった。

 むしろ羨望や称賛が多く、世界の人々は“最強のパートナー達”を備えた経営体制に納得していた。


「……どうしてだと思う?」

 オフィスの窓辺で外を見下ろしながら呟くと、背後から紗綾が答えた。


「簡単ですわ。隆行さんが信頼を集めているからです。あなたが女性達を大切にし、彼女達もまたあなたを支えている。その絆が外から見ても分かるからこそ、人は安心するんです」


 彼女の言葉に頷く。

 確かに、俺達はただの男女の関係ではない。

 互いに補い合い、足りない部分を埋め、ひとつの巨大な“家族企業”を築き上げているのだ。


 その証拠に、株価は安定して上昇を続け、国際市場での評価も高まっていた。

 米国やEUの財界人からも「新しいモデルケース」と呼ばれるほどに。


「CEO、記者会見の準備が整いました」

 深雪が静かに告げる。

 今日は国際経済フォーラムでの登壇。世界中のカメラが俺を映す。


「……行ってきます」


 会場に立つと、割れんばかりの拍手が迎えてくれた。

 壇上に立ち、スピーチを始める。


「私達は、ただ利益を追い求める企業ではありません。水無月と奉龍院、そして共に歩む仲間達――その“絆”こそが最大の資産です。

 私は信じています。家族のような信頼があれば、どんな困難も乗り越えられると」


 カメラのフラッシュが一斉に光る。

 その瞬間、俺の背後には紗綾、深雪、桜子、そしてミルフィ達が並び立っていた。


 観客の視線は、俺だけでなく彼女達にも注がれる。

 まるで俺一人の成功ではなく、全員の物語がそこにあると示すかのように。


 ――これでいい。

 これが俺達の形だ。


「世界が見ているんだな……」

 舞台を降りたあと、思わず呟いた俺に、紗綾が微笑んだ。


「ええ。けれど大丈夫です。私達がいますから」


 その言葉に、俺は強く頷いた。

 水無月&奉龍院グループは、いまや確かな社会的認知を得たのだ。


◇◇◇


 豪邸の落成から数日後。


 朝日が差し込む庭園に立ち、俺は思わず深く息を吸い込んだ。

 凛とした竹林を抜ける風の音、池を泳ぐ鯉が立てる波紋、白砂に描かれた枯山水の模様――まるでどこかの名刹を訪れたかのような錯覚を覚える。


「……すごいな、本当に」


 目に入るすべてが和の美に統一されている。正門をくぐれば、両脇に並ぶ石灯籠が昼でも柔らかな陰影を落とし、参道の先には朱塗りの橋。池の中央に渡された橋を進めば、瓦屋根の大玄関が悠然と構えている。

 だが、その内部には最新鋭のセキュリティと快適な居住設備が整い、現代的な利便性を一切犠牲にしていない。まさに伝統と革新の融合――奉龍院だからこそ実現できる建築だった。


「隆行さん」

 隣に立つ紗綾が、細い指で袖を直しながら微笑む。

「何度見ても、ため息が出てしまいますね。桜子さん、本当に……やり遂げてしまった」

「ああ。『おじ様の王国を作りますわ!』って、あの時の冗談みたいな宣言が、こうして形になるなんてな」


 すると、まるで呼ばれたかのように庭園の奥から桜子が現れた。

 今日は振袖をアレンジした和洋折衷のドレス姿だ。裾がひらりと舞い、陽光を受けてその姿は絵巻物から抜け出した姫君のようだった。


「おじ様ーーっ!」

 走り寄ってきた桜子が、勢いよく俺に抱きつく。

 香木のように上品な香りがふわりと鼻腔を満たした。


「ご覧くださいまし! あちらの茶室は京都の名工を呼び寄せて建てさせましたの。池の鯉はわざわざ錦鯉専門の養殖場から取り寄せた極上品。庭の桜並木も、すべて季節ごとに咲く品種を選んでありますのよ!」


「……参ったな。豪華すぎて、どこから感想を言えばいいのか分からない」



 俺が苦笑すると、桜子は勝ち誇ったように胸を張った。

「すべてはおじ様のため! ここはただの邸宅ではありません。わたくし達の、いいえ――おじ様の王国なのですわ!」


 その言葉を合図に、周囲から拍手が巻き起こった。

 深雪は静かに手を打ちながら「見事な采配ですね」と微笑み、紗綾は「本当に……あなたがここまで導いたんですね」と感極まったように瞳を潤ませている。


 さらに、フィルが庭石にちょこんと腰を下ろし、マイペースに言った。

「問題なし。フィルはこの王国で、いっぱい遊ぶ。のんびりする。それがフィルの仕事」

 サリーシャとマリーシャは「スゴイ!」「映画みたい!」と声を揃えて騒ぎ立て、七菜香は目を輝かせて「おじさん! このお屋敷、でっかい秘密基地みたいなんだぞ!」と無邪気にはしゃいでいる。


 その光景に、俺は思わず胸が熱くなった。

 孤独に苛まれていた俺が、いまこうして大勢に支えられ、笑顔を交わしている。


 豪邸はただの建物じゃない。

 ここで俺達が過ごす日々こそが「新しい日常」であり、過去の苦しみを乗り越えて手に入れた未来の象徴なのだ。


「……ありがとう。ここまで導いてくれて」

 俺の呟きに、桜子は嬉しそうに顔を上げる。

「これからは、ここでずっと一緒ですわ! おじ様!」


 彼女の宣言は、確かに俺の心に刻まれた。

 そう――ここは俺達の王国。

 そして、この大きな屋敷を舞台に、新たな物語が始まろうとしていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ