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42.戦技について教えていただきたくて

2日間の休みを満喫した俺達は、再び訓練機関へと入っていた。

この後のスケジュールもイリアナ、レイラと共有済みだ。

3日活動して1日休むサイクルで、4サイクルはこれまでと同じ午前訓練の午後依頼受注。

次の2サイクルは依頼受注優先でお金を貯める。

出来ればここで泊りがけの依頼もこなしてサバイバル経験も積む。

そして次のサイクルで迷宮攻略、10階層突破を目指す。


立てた予定通りに進むことはないとは思うが、こうやってしっかりとした目標を立てることは重要だ。

何せ進む先がはっきり分かっているのとそうでないのとでは訓練への打ち込み方も変わってくるのだから。


実際、今訓練を行っている2人からはしっかりとした気迫が伝わってくる。


「はぁぁぁあああ!!」


イリアナがショートソードを横薙ぎに振るう。

その速度は以前と比べて早く、鋭い。

本人曰く、グレゴリオの剣の扱いや体の使い方をイメージしているらしい。


こう言う所でも対人経験を積ませたことがプラスに働いているようだ。

相手が格上で敗北を経験したのも大きい。


俺はイリアナの剣の腹に自身の持つ木剣を当ててその軌道をずらし、イリアナの剣を払った勢いを殺さぬように剣の軌道を変えて足払いを仕掛ける。

横薙ぎの攻撃をするために体重の乗っていた左足に木剣が直撃した。


「いっぎゃー!!」


痛みにイリアナが悶絶する。

木剣とは言え直撃すればただでは済まない。

庭をごろごろと転がる彼女に【治癒(ヒール)】を放つ。


「体重を乗せた一撃は確かに鋭く、重くなってはいるがその分隙も大きい。展開をしっかり考えて、使うのは反撃の無いタイミングか、仕留め切れるタイミングに限定した方が無難ではあるな。あと、足元への攻撃は盾でも対処がしにくいから防御の方法も考えておこう。体重を乗せ過ぎないようにして、すぐにバックスッテプに移れるようにするのが基本だが、イリアナの場合は【石壁(ストーンウォール)】で護るのも有効だ。発動イメージをしっかり持てば大きさなんかも制御できるはずだ。」


地面にうつぶせになったままのイリアナが頷く。


「【石壁(ストーンウォール)】。 おお!!確かに!!」


魔術発動と共に、彼女の目の前にコンクリートブロック1個分くらいの石壁が出来上がる。

……ほんと魔術師目指した方が良いのではないかと思う。


「オルカさん、お話があります。」


俺がイリアナの魔術に舌を巻いていると、真剣な表情のレイラが話しかけてきた。


「どうした?」


俺はレイラに向き合い、話を促す。


「実は、戦技について教えていただきたくて……」


その後レイラの想いを聞くに、彼女は自身の戦闘能力に焦りを覚えているとの事だった。


イリアナがメキメキと成長しているのに対し、自分はあまり成長出来ていない。

先日の模擬戦では戦術を考えてバーンさんと対峙したが、通用しなかった。

弓手と言う後衛職なので奇襲・狙撃が通じない相手や戦況では力が半減することは分かっているが、それでも戦力になりたい。

イリアナは魔術を使い始め、自身の弱点である攻撃力の低さを補う事に成功している。

自分に魔術の才能がそんなに無いのであれば、戦技はどうだろうか。


要約するとこんなところだろうか。


気持ちはわからんでもない。

確かにイリアナの成長速度は凄まじいものがある。

隣に立つレイラがプレッシャーを感じるのも無理はない。


だが、俺はレイラの戦力を低く見積もっているという事はない。

そう言ったところを説明すべきか、否か。

本人が、力が足りないと思いながらもそれを補うために何が出来るかと考える。

そう言った前を向いている状況なら言わない方が良いのかもしれない。

まだ彼女らは色んなことを試していい期間だ。


そう判断した俺は戦技について説明することにした。


「戦技は魔術に比べてマイナーな特技だが、養成所では習わなかったか?」


「養成所ではあまり…… 身体能力を向上させる効果の物が多いが、さして大きな効果が得られるものではない。と言うようなことを教わりました。」


何だその説明は?

表面的なことしか捉えられていないじゃないか。


俺はため息をつきそうになりながら口を開く。


「戦技と言うのは魔力を使う技術の事だ。魔術が魔力を現象に変換させるものであることは話したが、戦技は魔力をそのまま(・・・・)使う。働きは機能の補助だ。」


「機能の補助……ですか。」


レイラのつぶやきに俺は頷く。


「具体的な所だが、例えばグレゴリオの【絶叫鼓舞(ウォークライ)】なんかだと、筋肉の働きを補助するような形で魔力を使っている。力を入れると魔力が筋肉と同じ働きをする分、普段より力が出るみたいな感じだな。」


ここで一旦俺は言葉を区切る。

俺はここで謝らなければならない。


「実は、俺がはっきり言えるのはここまでなんだ。戦技……つまり魔力を直接操作するというのは魔術を使う以上に才能が必要でな……俺は使えないんだ。基本は自身の体内の魔力を使う技術だから身体能力向上系にしか使えないと思うんだが、以前、武具の機能向上にも使えるという話も聞いたことがある。だが、詳しくは分からない。」


「そう、ですか。」


気落ちしている様子のレイラ。

だが、勘違いしないでほしい。

俺が謝らなければいけないのはあくまで俺が教えられない(・・・・・・・・)と言う点についてのみだ。


この技術を教えることが出来る人を俺は知っている。

……正直、気は進まないが今晩頼みに行くとしよう。

手土産、何にしようか……

作者は好きですよ?【絶叫鼓舞(ウォークライ)】。

この後の展開を見ても良いと思われましたら是非、評価・ブックマークをお願いいたします。


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