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28.ギリギリ理解出来ました!!

その日、朝食をとる前にイリアナとレイラには俺の部屋に集まってもらう。

魔術に関する基礎的な講義をするためだ。

そして朝食を取った後はその訓練をすることになる。


「では魔術に付いてだ。魔術と言うのはどういった原理のものか知っているか?」


「はい!!知りません!!」


うん、イリアナ落第。

元気の良さでカバーは出来ていない。


「魔力を現象に変化させるのが魔術と教わったことがあります。」


「正解。」


レイラは知識も一定以上に有しているようだ。

聞きはしないが、そう言った教育を受けている一定以上の家の出身なのかもしれない。


「今レイラが答えた様に、魔術と言うのは魔力を現象に変化させる術の事を指す。例えばイリアナに覚えてもらう【石弾(ストーンショット)】を例に出すと、『魔力』を『ターゲットに向けて飛ぶ石弾』に変化させることを言う。」


「はい!!質問です!!」


イリアナが勢いよく手を挙げる。

気になることを聞いてもらえるのは講師をしている側としても有り難い。

ちゃんと聞いて理解しようとしてくれているということだからな。


俺はイリアナに質問の内容を話すよう促す。


「魔力を変化させて造った石と普通の石って違うものなんですか?」


「そうだな。似て非なる物というのが正しいかな。いや、物としては同じなんだが、異なる法則に則った物と言うべきか。例えば【石弾(ストーンショット)】の場合はターゲットに向かい飛んでいくという法則に則った物質になる。自然界のものとは違い、重力の影響を受けないんだ。そして、魔力によって作ったものは時間を置くと魔素となり自然に還る。だが、その物質によって引き起こされた自然現象は消えない。」


ボン


見るとイリアナが白目を剥いて昇天しかかっていた。

どうやら脳の許容量を超えてしまったようだ。


おいおい。

まだ最序盤だぞ?


「んーもうちょっとイリアナに覚えてほしいことに絞って例題多めにして説明するか。まず、【石弾(ストーンショット)】で造った石は時間が経つと消えてしまうんだ。」


「なるほど!!ギリギリ理解出来ました!!」


「これでギリギリとか許容量少なすぎるだろ!!」


思わず突っ込んでしまった。

コホンと咳払いをして何事もなかったかのように講義を続ける。


「石自体は消えるんだが、その【石弾(ストーンショット)】で木なんかを傷付けた場合、その傷は消えないんだ。これがさっき説明したとこだな。」


「炎系統の魔術で造った炎自体は時間と共に消えるけど、その炎によって引き起こされた火事は消えないという事ですか?」


「そう、その通り。ざっくり言うとこれが魔術で造った物と自然物のとの違いだ。」


レイラは問題ないし、イリアナもここまでは大丈夫なようだ。


「次に魔術をどう発動させるかだが、普通は魔力を変換させるのに『呪文』か『魔法陣』を使う。この2つは魔力を変換させる法則が詰め込まれた物であり、魔力を込めて唱えたり陣に魔力を流すことで魔術が発動する。」


「呪文か魔法陣ですか。」


「ああ。そして俗に『無詠唱』と呼ばれる魔術についてだが、厳密にはこれはキーとなる言葉(ワード)を使っているので正確には『無詠唱』ではない。『短縮詠唱』とでも言うべきかな?まずイリアナにはこの『短縮詠唱』での魔術発動を目指してもらう。『呪文詠唱』で魔力が変化する仕組みや感覚をつかんでもらい、『短縮詠唱』ではその仕組みを呪文のサポート無しに自分の力で再現する感じだな。」


ボン


イリアナが本日2度目の爆発。

うん、後は実際にやりながら覚えて行ってもらった方が良さそうだな。

魔術師の中にはこう言った理論なんかは良く分からずに感覚だけで高階位魔術まで行使する才能のある奴もいる。

彼女がそうであることを祈るばかりだ。


「質問良いですか?」


今度は控えめにレイラが挙手する。

俺は頷く。


「『呪文詠唱』と『短縮詠唱』では『呪文詠唱』の方が強力になるんですか?」


「ああ。『呪文詠唱』の場合、魔力を現象に変換させるのは呪文に組み込まれた術式がすべてやってくれるから、注ぎ込む魔力全てが現象に変わるんだ。一方の『短縮詠唱』は『魔力を現象に変化させる』工程にも魔力を消費する。結果、注ぎ込む魔力の何割かを消費した残りが現象に変化することになる。」


「なるほど、『魔法陣』による行使もそう言った魔力の損失(ロス)は無いという事ですか?」」


「ああ、そう言う事だ。その分位階が高くなれば高くなるほど呪文は長く、魔法陣は複雑になっていくから戦闘中に行使するのは難しくなるだろう。」


「良く分かりました。もう1つ。『短縮詠唱』でない『無詠唱』というのもあるんですか?」


「ある。」


俺は即答で断言する。

先程も言ったように、世の中一般の『無詠唱』と言うのは『短縮詠唱』の事だ。

つまり、本当の意味での『無詠唱』というのは世の中には無いと認識されているとも言える。

にも拘わらず、俺がそう断言できる理由。

俺がそれ(・・)を行使できるからだ。


「俺も1つの魔術だけだが『無詠唱』で行使できる奴があるんだ。だから世の中にはそれがあると断言できる。」


「……ちなみにそれはどんな種類の魔術なんですか?」


ただの興味と言う雰囲気で尋ねてくるレイラ。

深く聞かれると困るが、これくらいなら正直に答えて問題ないだろう。


そう判断した俺は魔術名を口にする。


「【治癒(ヒール)】だよ。」

魔術解説回でした。

イリアナさんの頭からはキノコ雲が昇る位の爆発をイメージして貰えればと思います。

この後の展開を見ても良いと思われましたら是非評価・ブックマークをお願いいたします。

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