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21.あたしは魔剣士だ!!

俺が取り出した魔道具は【魔力測定器(マジックスキャナ)】だ。

見た目はただの透明な水晶だが、触れた者の魔力を読み取り、その魔力の質と量に応じた輝きを放つという特性を持つ。

わりと希少なものだが、俺の場合はちょっとした伝手で入手できたものだ。


俺はその魔道具をイリアナに手渡す。


「これは何ですか?」


まじまじと水晶を観察するイリアナ。

その水晶はやがて緑色に輝きだした。


「……流石に予想外だな。だが、これはいい方にだ。……イリアナには魔術を扱う才能がある。」


俺はその水晶の輝きを見て確信した。

正確にはその輝きの強さを。


この水晶を使うと、その輝きの色で適応する属性を、輝きの強さで魔力量を可視化することが出来る。

赤く光れば火属性。

青く光れば水属性。

黄色く光れば風属性。

緑に光れば地属性。

白く光れば光属性。

黒く濁れば闇属性。


つまり、今イリアナの手の中にある水晶はイリアナに地属性魔術の適性がある事を告げているのだ。

しかも、この輝きは魔術師を目指してもいいレベルの輝きだ。


「あたしに、魔術の才能ですか?」


一方のイリアナは俺が何を言っているかピンと来ていないようだ。


俺はイリアナとレイラにこの【魔力測定器(マジックスキャナ)】の説明を行う。


「つまりあたしは魔剣士だ!!」


イリアナが剣を掲げて声高らかに宣言する。

完全に調子に乗っているようだ。


「私は…魔術は少し厳しいですかね。」


一方のレイラは手にしている魔道具の輝きを見て難しい顔をしている。

その魔道具は白色に淡く発光していた。


「そんなことはないぞ?魔力量の問題があるからすぐに高位階魔術は使えないが、訓練すれば魔力量は伸びるし、それに光属性魔術は回復や状態異常治癒なんかも出来るから専門にしなくても適性があれば訓練しておくに越したことはない。」


実際、【治癒(ヒール)】の使える剣士や斥候がいると、ぐっとパーティの安定感が増すのだ。

基本4属性のどれかに適合する者は多いが、光闇属性に適合する者は少ない。

例え魔力量が少なくともこれはこれで有用なのだ。


「ちなみにオルカさんはどんな風に光るんですか?」


そう言ってレイラが俺に魔道具を渡してくる。

俺はそれを受け取ると、過去何度も繰り返してきたようにその魔道具を凝視する。


魔力測定器(マジックスキャナ)】には一切変化は見られなかった。


俺は苦笑いしながらそれをかざす。


「見ての通り、俺は属性魔術には無適正なんだ。」


まぁあの人(・・・)から魔力量にはお墨付きをもらっていたから補助魔術師を目指すことにしたんだよな。

属性魔術に適性がない魔術師の生きる道はそこにしかなかったのだ。


「……でもこれだと魔力量はわからないんですね。」


「そうなんだよな。この【魔力測定器(マジックスキャナ)】の難点は属性魔術に適性がないと魔力量の測定ができないことなんだよ。だから俺も俺の魔力量がどの程度なのかは客観的に見たことがないんだ。」


「それで!!魔剣士イリアナはどんな魔術を使って戦っていけばいいんですか!!」


俺が属性魔術に無適性だという話など聞こえていなかったかのようにイリアナが会話に割り込んでくる。

自分が剣士として大成はしないのではないかと言う不安もあった所に、弱点の火力を補う方法を提示されたのだから希望を持っているのだろう。

……単に魔剣士というワードの輝きに浮かれているだけの可能性も否定できないが。


「イリアナにはまず第一階位の魔術を無詠唱で発動できるようになってもらう。」


「へ?むえーしょー?」


「そうだ。後衛とは違い前衛で魔術を行使する場合、詠唱をする暇なんてない。それに、防御系の魔術なんかは相手の動きに合わせて即発動させれなければ効果は半減以下だ。」


「た、確かに!!」


「でも、無詠唱なんで一朝一夕で出来るようにはならないのではないですか?」


レイラの指摘も最もだ。

碌に魔術の練度の無い者が無詠唱なんてしたら魔力の無駄遣いでしかない。

だが、前提(・・)が違う。


「前衛職はさっきも言ったように詠唱する暇なんてない。だから、最初から(・・・・)無詠唱しか訓練しない。まずは相手の攻撃に一瞬でも抵抗できる防御魔術と相手に一瞬のスキを作れる攻撃魔術。この2つを覚えてもらう。」


「おー!!やるぞー!!」


「そして最終的には魔剣を編み出してもらう。」


魔剣は魔術を武器に付与して発動する魔術だ。

普通の魔術で射程や手元を離れた魔術の制御に割いているリソースを効果に全振りできるので、かなり威力が高くなる。


『紅蓮の剣』のリーダーのトーラスも魔剣士で、炎獄火炎剣(インフェルノソード)という炎魔術を付与した魔剣を使う。

その威力は鉄であれば触れる前に溶解させてしまうほどだ。


魔剣が使えるようになればイリアナの火力不足という弱点は克服できるだろう。

当然、すぐに使えるものではないが。


「魔剣!!ふぉー!!!!」


イリアナのテンションがおかしくなっている。

これはあれだな。

どうやら魔剣士、魔剣と言うワードの輝きに浮かれているだけのようだ。


「浮かれるのはいいが、訓練は明日からだ。今日はまずヘルハウンドの討伐。それを忘れるんじゃないぞ?下手したら明日は来ない可能性もあるんだ。しっかり気を引き締めて行こう。」


俺は2人に言い含めた。

やはりパーティにハイテンションで頭の弱めの人が居ると傍目には楽しそうに見えますね。

中に居るといろいろ大変らしいですが……

担当この後の展開を見ても良いと思われましたら是非評価・ブックマークをお願いいたします。

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[気になる点] イメージ的には黄色が地で緑が風かなちょっと他の作品と混同勘違いしそう
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