↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/8

4.スラーレン法国とロワール城

 ビーストである守はマルケドーラ帝国の宮殿の玉座に座っていた。

「世界征服を掲げて近隣の国を制圧しはじめて2年。小国だったマルケドーラも今や全長100キロメートルにまで拡げた大国となった。まあ、守護者であるイヴァンの進言によるものだが・・世界征服を口走ってしまったために、こんなことになってしまった。しかし今さら後には引けないしなぁ」

 守は、玉座に座りながら、高い天井を見上げた。

 守護者の一人でもあるペレニスから

「ビースト様、どうなさいました?」

と聞かれた。

「いや、なんでもない」

「また元の世界のことを考えていたのですか?」

「今さら考えてもどうなるものでもない。元の世界に戻る方法が見つからないのだからな。それに・・」

 ペレニスが寂しげな顔をしたので

「おまえたちも居るしな」

と言うと、ペレニスは明るい顔になった。

「ビースト様、お邪魔をして申し訳ありませんが、そろそろスラーレン法国に進攻してはどうかと・・」

 イヴァンが玉座の間に入ってきてビーストに言った。

「イヴァン、私がビースト様と大事な話をしているところに、土足で入ってくるようなことはしないで」

とペレニスが不満顔でイヴァンに言った。

「ペレニスがビースト様に大事な話とは、いつものごとく、ただ傍に居たいだけだろう?」

 イヴァンに指摘されて

「嫉妬しているの?」

 ペレニスは興奮気味に言い返した。

「いいかげんにしておけ、おまえたちは顔をあわせるといつも喧嘩をはじめるな」

 ビーストがペレニスとイヴァンをいましめた。そうこの二人は顔を合わせると、何か言い争っている。それは仲がいいことなのかも知れないが。

「申し訳ありません。スラーレン法国を前にして、進攻が鈍り始めたと思いまして」

 そう、ビーストである守は、ロワール城に居るらしい魔王らしき者を警戒していた。

「でも、カシール村に向かった2000人もの人族を僅かな時間で全滅させた魔術師がスラーレン法国にも居るとすれば迂闊に進軍するのはどうかと・・」

 ペレニスも同じ考えのようだった。だからペレニスはビーストをせきたてなかったのか。

「しかし、スラーレン法国からは、それ以来何もしてこない。このまま手をこまねいていても何もすすまない。ビースト様の世界征服が遅れてしまう」

 世界征服を勧めているのはお前だろう、と守は思いながら、忠義を尽くしてくれる守護者たちの思いを無碍には出来ないとも思っている。

「では私がスラーレン法国に出向いて探ってきましょうか?」

「ペレニスが自ら出向いてくると?」

「あなたは血気に逸りすぎるから」

 イヴァンはペレニスに言われて拳を握った。

「守護者同士でよさないか」

「お見苦しいところを見せて失礼しました」

「イヴァンの言うことも一理ある。ペレニス、行ってきてくれるか」

「はい。喜んで」

「ただし、ペレニスのほうから先に手を出すなよ。いずれスラーレン法国は従属国にするか潰すからな」

「承知しました」

 ◇

 ペレニスは十数騎の悪魔兵を従えてスラーレン法国に向かった。そしてスラーレン法国の国王が女王であることを知った。

 ペレニスはプロティナに謁見し

「マルケドーラ帝国、ビースト帝王に仕えるペレニスと申します」

と挨拶した。

「スラーレン法国の女王、プロティナです」

「女王の国は初めてなので驚きました。ビースト帝王は世界征服を目指しています。従属してくれる国を潰す気はありません」

「私は戦いを好みません。でも従属するつもりもありません。話し合いで解決したいと思っています」

「話し合いでねぇ・・ところでカシール村に向かった2000もの兵が全滅させられました。スラーレン法国には、そのような上位魔術師が居るのでしょうか」

「存じません。それに、カシール村はスラーレン法国の領土ではありません」

「そうですか」

 ペレニスはスラーレン法国に来て何も得られず落胆した。

「なら、直接ロワール城に寄ってみようかしら」


 ペレニスは帰り道にロワール城に寄った。

「今度はどこのお客さんかな?」

 人族にしては強面の顔をした者が現れた。

「ロワール城は廃墟になったと聞いていましたが・・」

「空いていたので住まわせてもらっている」

「そういうこと。・・一緒にいるのは人族ではないようですね。あなたも、私の知る人族には見えないけど。私はマルケドーラ帝国のビースト帝王に仕えるペレニス。スラーレン法国の帰りに寄ってみました」

「マルケドーラ帝国には、きみのような美女がいるんだ。きみも人族には見えないが。マルケドーラ帝国については私も情報を得ている。近隣の国を襲っては支配し、領地を増やしているそうだな。挨拶が遅れた。私は魔王ヒュンケルという」

「魔王などと言うものを私は知らないけど。それに・・人族でなくても私たちは歓迎するわ。私たちの臣下になることを勧めるわ」

「ごらんの通り、ここには人族は居ない。魔族たちと暮らしている。きみも人族ではないなら、帝王も人族ではないということか」

 ペレニスは悪魔だが、人族の女を装って、その容姿は美貌を醸し出している。しかし自分のことより敬愛するビーストのことを口にされると不快に思った。

 ヒュンケルに

「臣下になる件は断る」

とはっきり言われると

「そう・・後悔しないことを祈るわ」

と言ってペレニスはロワール城を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。