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第四話 ちょっとはやい一人暮らし


「ここだ。さっさと降りろ」


馬車で揺られること二日、私は鉱山都市ソリトゥスに着いた。


「じゃあ、せいぜい生き延びることだな」


馬車は私をおろすと早々に去ってしまった。


「はあ、こんなの前世と変わらないよお」


 一人になったことにより、弱音を吐きながら街の中に入っていく。人の気配は全くせず、廃墟ばかりだった。

そして、奥には大きな山、さらにその奥にちらっと見えるのは山脈だろう、周りは森。


「そういえば、生産技術ってどんな魔術なんだろう」


母が昔見せてくれたのを真似して、手のひらに魔力とやらを集めてみる。


「この、あったかいのかな」


だけど、なにも起きなかった。

どうしたもんかと、プロフィールを開いてなにか書かれていないか調べてみる。


――――――――――――――――――――

生産技術 自身のレベル及び魔術レベルを上げることで、生産に関する道具や工具、自身が想像する物を生み出すことが出来る。


レベル1 簡単な工具の生成

――――――――――――――――――――



「どういうことだろう?とりあえずやって見よう。まず、何がいるかな」


こんなところに八歳児が一人でいて安全なわけがない。

なにか、作業も出来て武器にもなりそうなものが欲しかった。


「うーん。せいさんぎじゅつ こうぐせいせい!」


すごく恥ずかしそうにしながら、魔力を解き放つと、石でできた斧がでてきた。


「おお!すごーい!」


手を叩いて喜んでいると、そばの家で何かが動いた気がした。

すぐに斧を握りしめる。


「だ、だれかいるの?」


そーっと家の中を覗いたとき、窓ガラスが割れる音と共に何かが飛び出してきた。


「なにこいつ、異世界物でよくある「すらいむ」ってやつ?」


私は、初めて見る魔物に目を輝かせ、近づこうとする。


「うん?でも、まものってことは……」


ステラはゆっくりと後ずさりをする。

当たり前だ、前世でも虫一匹も殺せないほどに、ビビりなのだから。

いまでも、なぜ工業高校に入ったのだろうと不思議に思っている。


「で、でもここで倒さないと生きていけないよね?」


よしっ!やるしかない

覚悟を決め、斧を握りなおす。


「せえーい!」


黄色いスライムに向かって斧を一振り、脳天をかち割るかのように振り下ろしたのに、サッとよけられてしまった。

その後、スライムと格闘すること20分。

やっと、倒すことが出来た。


「ふう、やっと倒せたよお。こんなので大丈夫かな」


先のことを心配しながら、スライムの後を見ると、ふっと消えて、謎の本だけが残った。


【レベルが上がりました。レベル1→レベル10。生産技術レベルが2に上がりました。工具及び道具の錬成が可能になりました】


いきなり、脳内に声が響いたことに驚きつつ、レベルが上がったと告げられプロフィール画面を確認する。


――――――――――――――――――――

ステラ・インベリウス 八歳 女 人族

レベル10 魔法容力量 600/600

称号 インベリウス侯爵家の元三女

適性魔術 生産技術 レベル2

工具及び道具の錬成

――――――――――――――――――――


確かに、レベルが上がっている。

なぜか9レベルも

そして、最も気になったのはスライムが落としたこの本だ。

「なにこれぇ。辞書に見えるけど」

開いてみると、一ページ目にはこう書かれていた。


「汝の魔力を流せ」


「流す?こうかな」


本に向かって、魔力を集中させていく。

すると、本が光り次々と文字が書き込まれていく。

ページをめくることに、私の中の好奇心が抑えられなくなっているのが分かる。


「これ、前世の工業、生産に関する知識がすべて書いてある!」


どうやら、魔力を流した者が今欲しい知識をすべて記してくれるマジックアイテム(魔術道具)のようだ。


「そういえば、あのスライム一匹倒しただけでこんなにレベル上がるものなのかな?」


不思議に思い、本のページをめくると、魔物について書かれている箇所があった。


「ええっと。ゴールドスライム。ほとんど現れることがない希少な魔物。倒すと、「すべてを記す書」を確定で落とす。なお、経験値がとても多い」


だからかあ、と答えが出たことですっきりした私は、次はスキルを試してみることにした。


「よるまでに、寝る場所は欲しいよねえ」


非力な体で斧を振り、木を取ろうとする。

何十回と振ったところでようやく木が倒れた。


「これを、生産技術 錬成!」


木がぐにゃぐにゃと形を変え、二本の短剣へと形を変えた。


「母から貰った短剣を使うわけにはいかないからね。どのぐらいの切れ味かなあ」


木に傷がつくかなあ、と呑気に叩いたとき、木を切った全く感触がなかった。

そんなに切れ味が悪いのかな、と思っていた時。

少しして、ドスーンという大きな音を立てて木がずれ落ちた。


「ええ…。なんで?」


意味が分からず、本を出してみると、とんでもないことが書いてあった。


「錬成で作った刃物は作成者の想像で切れ味が変わる」


さっき、木を伐りたいと本能的に思っていたからこんなに鋭くなったのか、と合点がいった。


「それにしても、木が出していい切れ味じゃないでしょ」


ともかく、これで家の補修に使う木を取るのが楽になった。


「わーい!これたのしい!」


短剣を振り回すとなんでもないように木が倒れていく。

楽しすぎて、少し木を伐りすぎてしまった。


「これ、どうやって持っていこう」


試しに持ってみるが、もちろんびくともしない。


「そういえば、丸い棒を使えば少ない力で大きなものを運べるんだっけ」


切った木を一本丸い形の棒にかえ、それを十本ほど作る。


「まあ、これも生産に必要な「道具」だもんね」


棒を並べ、その上にでかい木を乗せなければならないのだが、


「どうやって乗せよう?」


もちろん何をするにも一人なので、一人で出来る方法を考えなければならない。

模索した結果、「てこの原理」を使って頑張ることにした。


「ふーー!!」


木と格闘すること三時間、棒を使って頑張ることで、何とか乗せることが出来た。

あとは、棒を使って転がしていくだけである。


「ふう、やっと終わったー」


めぼしいボロ屋の家の前に木を運んでいると、辺りはすっかり暗くなっていた。


「夜ご飯は、貰ったものを少し食べるかあ」


なけなしの食料を少し頬張り、持ってきた布を体に包み丸太に寄りかかるようにして、眠りについた。

(明日から食料もどうにかしないとね)


今回の話はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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