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第十三話 謎のメイドとドラゴン再び

「おお、ステラ様は神様だ!」


「崇め称えろ!」


村のみんなが私を見て祈り始める。


なんで、どうしてこうなった~~!!



遡ること3時間前



「お、ステラ。新しい客のようだ」


「この前も思ったけど、なんでわかるの?」


「まあまあ、そんなことをいいから。ささ、どんな奴か見に行こうぜ」


とことこ歩いていくと、入り口に女性らしき人が一人立っていた。

しかし、彼女が来ている服には見覚えがある。


「め、メイド服?」


よく見る服のようだが、一般的な黒の服に白のエプロンではなく、白のエプロンに水色の服でとても綺麗だった。


「こ、こんにちは。ここにどのような御用でしょうか」


間近で見ると、どことなく母に似ていた。

綺麗な銀髪だが、母のように髪は長くなく、目も青かった。

体も全体的にスタイルがいい。

いろんな意味で。


「探索者組合の募集を見てまいりました。アモニアと申します。此度は貴方様のメイドとしてお仕えするべく参りました」


え?


丁寧なあいさつをしてくれるアモニアを見ながら、私は開いた口が塞がらなかった。

本当に来てくれるとは思わなかったからだ。

あの時、私はルベルさんにこう書かれた紙を渡して探索者組合にこっそり張っておいてほしいと頼んだ。


「住民募集。鉱山都市ソリトゥスで働いてくれる、すんでくれる人を募集します!」


あんなので、人が来るとは思っていなかったけど、まさかメイドが一番最初に来るとは。

確かに職業は指定していないけど。


「け、けど、本当にいいんですか?一応領主は私で館と呼べるものもないのに」


アモニアは周りを見渡して、そして、笑顔で答えた。


「あなた様がこれから発展させていってくれるのでしょう?私はそのお手伝いをしたいと思い、この場所に来たのです」


どうやら、本当に住んでくれるようだ。

嬉しいことこの上ない。

だが、


「もう一個家建てないとね」


「そうだが……あんた魔力大丈夫か?」


「多分……」


不安そうにシエンと話していると、アモニアが不思議そうに首をかしげながら言ってきた。


「何を言っておるのですか?私はメイドですから、あなた様の家で暮らしますよ?身の回りのお世話も致しますので」

「ふぇ?」


だけど、さすがにあのボロ屋にメイドはなんか合わないというか、アモニアに失礼というか。

第一、大人の女性がトイレできる場所があの家にはない。


「これは、早急に改築が必要そうだね」


「だな」


新しい人が増えたという嬉しさと、やることが増えたという悲しさが同時にやってきた。

でもとりあえずすることが一つある。


「材料を取りにいかないと」

せっかくなので、アモニアも連れて森に木を取りに行くことにした。

運ぶのはシエンがいるので問題ない。

家の裏の城壁に穴が開いている場所があり、そこから裏の森に入ることが出来る。

また、埋めないといけないかなあ、と思いながらくぐって森に入る


手ごろな木、手ごろな木……


探していると懐かしい場所に出た。


「懐かしい場所だなあ」


きょろきょろと周りを見渡すと手ごろな木が何本かあったので持って帰ることにした。


「生産技術 道具生成 石斧」


ぽんっと、斧が出てきた。

あとはこれで頑張るだけである。

木に向かって斧を振ること十分。メキメキという音と共に木が一本倒れた。


「あと何本くらい?」


「そうだな、2本くらいか?」


「はあーい」


木に突き立てていた斧を取ろうとしたら、ひょいと誰かに取られた。

アモニアである。


「え?」


「私がやります」


「いや、メイドにやらせることじゃないような…」


「いや、領主のすることでもねーだろ」


うっ、そのツッコミはやめてほしい。


「アモニア。出来るの?」


「力には自信がありますので」


アモニアは小さな力こぶをつくって私に見せてきた。ちょっと頼りなさそう。

まあ、わたしより大きそうなので任せてみよう。


「どれがいいですか?」


「んー。これ」


私はさっき倒した木のすぐ横にある木を指さした。

すると


「わかりま、し、た!」


ボキッという音がしそうなくらい勢いよく斧を振り回し、木を叩き折った。

その怪力さにさすがのシエンも驚いている。


「どうです?見ましたか?私の力!」


「あ、うん。見た。すごかった」


語彙力が飛んだ。

一瞬で悟った。この人を怒らせるとやばい。

だが、想像よりも早く木を集めることが出来た。

これは予想外の成果である。

本来なら、もう一時間は覚悟していたからうれしいことこの上ない。

 気分良く帰れると思っていた矢先、森に聞いたことのある雄叫びが響き渡った。

続いて、ドシン、ドシンと近づいてくるその音に私は背筋が凍る。

恐る恐る、後ろを振り返るとそこにはドラゴンがいた。

それも、この前とは比べ物にならないほどに大きく、全身黄金色である。


「ド、ド、ドラゴ、ン…」


やばいやばい、ここにはこの前のような強い人が誰も居ない。

かと言って、武器もないから抵抗のしようがない。

まさに、絶体絶命である。


「どうする?あのでかさじゃ逃げても捕まるぞ」


「んなことは分かってるよ」


考えろ、考えるんだ私。

なにか、何かできることはないのか。

そうだ!


「私に考えがあります」


「どうする気?」


シエンはこの状況でも平然としている。

ここまで来たら、流石にすごい。


「こうするんです!」


私は全速力でドラゴンに向かって走り始めた。

もちろんドラゴンもそれに気づいているわけで、尻尾を振り回してくる。


「生産技術 地形生成! 土壁!」


ボコッと土の壁が私の横に出来上がり、間一髪直撃を免れることが出来た。


「土壇場だけど出来た!これなら!」


目指すはドラゴンの懐。

そこまで行けば。


「うおおお!!生産技術 地形生成! 石槍!」


スライディングしながらドラゴンの懐に入りこみ、石槍を生成した。

が、私はその後のドラゴンの行動に絶望した。

ドラゴンが翼をはためかせ空へと舞っていったのだ。

しまった。ドラゴンに羽根があることを忘れていた。

そして、ドラゴンは私をめがけてブレスを放とうとしてくる。


「まずい!せいさんぎ、ぐわっ!」


ドラコンの羽根の風圧で私は吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。

この八歳の体では、あんなのを食らったらひとたまりもない。


「わたしの行動は最初から間違っていたのかな……」


もはや、死を目前にしてそんなことしか考えられなかった。

ああ、転生しても短い人生だった。

そして、ドラゴンから灼熱のブレスが放たれる。


「水魔術 レベル10 空水壁」


突然、目の前に水の膜が張られドラゴンのブレスを防いだ。


「私のご主人様を傷つけるとはいい度胸ですね。このトカゲ風情が」


誰かと思ったら、アモニアがぶちぎれながら横から出てきて私をかばう様に前に立った。

手には私が作った石斧を持っている。

あれではすぐにおれてしまう。なら、


「生産技術 道具錬成 石剣」


地中の石を引っ張り出し、石の剣を作った。


「これを、つかって、ください」


「ありがとうございます」


アモニアは私から剣を受け取ると、そのままその剣先をドラゴンに向けた。


「さあ、覚悟しろよ?くそトカゲ。水魔術 水球」


空を舞うドラゴンにどう対抗するのかと思ったら、空中に水の玉を作り出しそれに飛び乗っていった。


「うっそお」


私はただただその様子を見ることしか出来なかった。

ドラゴンに剣を振り下ろしながら次々と水球を作り出し飛び乗っていく。

明らかに、メイドが出来る戦い方ではなかった。

それこそ、探索者のように。


「ぬん!」


剣が、ドラゴンに通ったかと思ったが、鱗で弾かれてしまった。

強度が、鋭さが足りないのだ。所詮石の剣なのだから。

そのままアモニアはドラゴン尻尾で地上に落とされた。


「ちい、面倒な」


アモニアも苦虫を嚙み潰したような顔をしている。

すると、私が突撃してからずっと黙っていたシエンがいきなり口を開いた。


「もういいだろ、ウェイトス」


「おや、お前がいたのか、全てを記す書よ」


え、ん?どういうこと?知り合いなの?この二人。

目の前でよく分からないことが連続して起きている。

脳の処理が追い付かない。


「え、えーと。シエン、どゆこと?」


シエンはめんどくさそうに説明を始めた。


「つまり、こいつはあたしが誰かに仕えているのを面白がって見に来たのさ。あと、ステラの見極めか?」


「ほう、よくわかったな」


シエンは今の一言でカチンときたようで、ドラゴンの所まで飛んでいき何か文句を言い合い始めた。


「お怪我はございませんか?ステラ様」


いつの間にかアモニアが目の前に来て、手を差し伸べながら優しく心配してくれる。

その手を取り、やっとのことで立ち上がった。

まだ、シエンは言い合いをしている。


「ドラゴンさんは私たちをもう敵対しないということですか?」


言い合っている二人に問いかけると、ドラゴンは豪快に笑いながら答えてきた。


「そうだな。これほどの者なら心配あるまいて。だからな…」


ドラゴンは、ドラゴンと思えぬほど不気味な笑みを浮かべて私を見てきた。

怖い、腰が抜けそう。


「わしもそなたに仕えようかと思うのだ。どうだ?良いと思わんか?」


「は⁉うちの主人を横取りするつもりか⁉」


あー、シエンの怒りの火にガソリンを注いでしまったようだ。

仕方ないので、シエンを手で押しのけドラゴンの目の前に立つ。

まだ、怪我したところが痛い。


「もう二度と、私たちにあのようなことをしないと誓えるのならいいです」


「ふむ、その年齢でわしを前にしてその堂々たる態度。分かった、その条件でお主につかえるとしよう」


アモニアに続いてとんでもないのが配下に加わった。


私って、運がいい?



さて、ここにいても仕方がないので村に戻ることにした。そして、


「おお、ご無事でしたか!」


「あの雄叫びはまさしくドラゴン!一体どうされたのですか?」


まあ、予想はしていたが案の定、帰ってくるなり村人たちに囲まれた。


「いろいろ、あって、ドラゴンは私の部下になりました……」


そう伝えると、村から喝さいの声が上がる。



そして、今に至る。

なぜ、こんなに崇め称えられるのかはよく分からないけど。

私が嘘をついていたらどうするつもりなんだろう。

と、いうことでちょっとだけ村のみんなを驚かせることにした。


「ウェイトス。出ておいで」


掛け声をかけると、城壁の奥、森からドラゴンもといウェイトスが飛び出してきた。

そして、私たちの頭上まで来るとシエンと同じように姿を変えた。

赤い髪に金髪が少し交じり、誰が見ても分かるそのハンサムな顔はむらの女性を一瞬で虜にしてしまった。


「「「きゃあ~~!!」」」


女性から黄色い声が飛ぶ。

見せたのは失敗だっただろうか。

とりあえず、みんなには解散してもらい通常作業に戻ってもらった。

もうお昼時である。だが、その前に必やるべきことがある。


「ねえ、アモニア。お風呂行こ!」


ドラゴンを前にしても驚かなかったアモニアがびっくりしている。

多分、ここにお風呂というものがないと思っていたのだろう。

まあ、あれもお風呂と呼べるか怪しいけど。


「では、御供致します」


「あたしも~」


なぜか、シエンもついてきた。

あんたは怪我もしてないし汚れても居ないでしょうが。

五右衛門風呂の前の布で囲ったスペースで服を脱いでいると、アモニアが不思議そうに私の顔を見ていた。なんだ、また私の体が小さいといいたいのか。

そう思っていたが、口から出てきたのは予想外の言葉だった。


「あらステラ様、こんなところにあざというか、傷跡が」


えっ?と思い自分の足を見ていると太ももの部分にきれいな横一文字の傷跡があった。

さっきの戦闘で切ったのだろうか。

いや違う、ここと前世では常識が違うといえどこんなに早く傷跡にならない。


ん?前世…?


ああそうだ……この傷は……



今回の話はいかがでしたか?

面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。

今後ともよろしくお願いします。

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