第十二話 都市改革開始!
「おーい、起きろー。朝だぞー」
シエンが私のほっぺをぺしぺしと叩いてくる。
「うーん」
伸びをしながら外に出て朝の日を浴びているとダイドさんがやってきた。
「今日はいかがなさいますか。ステラ様」
「とりあえず、街の中心から鉱山に向かって北西側の土地に畑を作りたいかな」
「なるほど。では人を集めておきましょう」
ダイドさんはそのまま私が作った家の方へ歩いていった。
「さて、私も準備しよーっと」
さあ、今日もやることが山積みである。
シエンにも説明するため、紙に私の中の理想の完成図を書いておくことにした。
「ほーん。これがあんたの理想の都市ってわけね。いいんじゃない?」
あれ、否定しなかった。ダメだしをくらうと思ったのに。
「否定しないの?」
「あたしがそんなひどいやつに見えるか?」
確かに見えないね、と笑いながらもう一度紙もとい地図を見る。
入り口を南側として、中央になにか街のシンボルとなるものを、その周りを居住区とする。
北西側を畑と牧場。
北東側にはさらに居住区を広げたり、ゆくゆくは学校なんかを作りたい。
南東側は、探索者とかの宿屋、武器屋なんかの商業区的なものに。
そして最後の南西側は私の家や作業スペースにする予定。
正直こんなに広くする必要はないからもう少し狭める予定だけど。
「今はまださら地ばっかりだからな。とりあえず人を呼ぶためにも食料の安定供給、あと鉱山の整備だろ。あと警備隊的なものも作らないとな」
シエンが私の書いた紙をみてやるべきことを提案してくれる。
「まあまずは畑だよね」
着替えて北西側へと向かう。十分ほど歩くと人だかりが見えてきた。
手には鍬を持っている。
「ステラ様、とりあえず農作業が出来る者を三十人ほど集めました」
「ありがとう。じゃあねー」
私はその辺で拾った棒きれで地面に線を引いていく。直径百メートル×百メートルの正方形を二つ。
種は村から持ってきたのがあるらしい。
「この範囲を耕してほしいです」
「分かりました。おい、作業に取りかかってくれ」
「了解っす。村長」
屈強な男たちが作業に取り掛かり始めた、
「耕耘機でもあればなあ」
「いまなにか?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
私は次の作業に取り掛かることにした。
「畑作ったら、簡単に牧場も作っておかないとね」
いま、この村にいる牛や馬はみんな半分放し飼いみたいなものなので、畑に併設して作ることにした。
いわゆる、混合農業というやつである
「奥の方がいいかな」
計画では中心から東西南北に道を真っすぐ伸ばすつもりなので、道側に牧場と畜舎があるのは邪魔かと思い、奥に作ることにした。
「あ、でも畜舎の形わかんないや」
その辺にいた村の人を捕まえて話を聞くことにした。
「牛の小屋ってどんな形?」
「そ、そうですねえ。横に長くて中に仕切り用の木の板があるくらいですかね」
村人もといダイドさんの息子、バルドさんは子供の私にもわかるように丁寧に教えてくれた。
「ふむふむ」
試しに作ってみようかと思ったら、次は材料がなかった。
生産技術といえど、0から一は作れない。
「材料を、取りにいかないと」
すると、切られたであろう丸太がふわふわこちらに飛んできた。
多分、シエンかな?
すると、予想通り丸太からシエンがひょっこり顔を出した。
「ほら、どうせいるだろうから持ってきてやったぞ。村の若い衆に感謝するんだな」
置かれた木の奥を見てみると、肩で息をしている若い男性が六人くらいいた。
皆様、お疲れ様です。
「さて、じゃあつくろ」
「あー、待った待った」
魔術を発動しようとしたら、シエンに止められた。
「どったの?」
「あんた、昨日あれだけ魔力使ったんだから魔力の使い過ぎには注意しろよ。ゆっくりとな。ここには村の連中もいるんだから少しはそいつらにやらせればいい」
「は、はあ」
シエンの言うことはごもっともなので、村に人達に建築は任せて、私は材料の加工をすることにした。
作業すること三時間。流石に疲れてきた。
しかも、もうお昼時である。
「みなさーん。休憩しましょー!」
わたしとて、ブラック企業の社長ではない。
適度な休憩が大事だと分かっている。
手を振りながらみんなに聞こえるように言っていると、一人の女性が丁度よく私たちを呼びに来た。
髪は長く、目は日本人のように黒色で垂れ目、きれいな顔つきの名前は確か、イベル。
バルドさんの妻だっけ。
「ステラ様、僭越ながら村の皆さんの食事を用意いたしましたので、ご一緒にどうですか?」
「そ、それはもしかして、いつもと違うものが食べれる?」
「はい!」
やった!これで同じお肉と薬草を焼いて食べるだけの生活が終わる!
みんな一旦手を止めて、広場の方へ向かった。
もうすでに準備が出来ているようで、炊き出し形式でお昼を貰えるらしい。
私も貰い、水の出ない噴水に腰かける。
井戸は何個かあったから断水とかの心配はないだろうけど、どっかから水を引いてきたいなあ。
そんなことを思いながら、渡された豚汁っぽいものを一口。
「お、おいひ~い」
なんだか、懐かしくなる味だ。
本当に前世の豚汁に似ている。
そして、この「メゴ」というものも気になった。
これも、おにぎりに似ている。
食べてみると、前世の麦ごはんに似ていた。
まさか、ここでもこんなものが食べられるとは。
「いいなあ、あたしにもくれよ」
シエンがうらやましそうに豚汁とおにぎりを眺めていた。
「いいよー。あげる~」
スプーンですくい、シエンに向けるとそれを勢いよく頬張った。
やけどするぞ。
「熱い!けどうまいなこれ!」
「でしょー!」
「なぜ、お前がどやる」
ぽかっと頭を叩かれ、我に戻った私は残りを食べて昼の作業を始めた。
「今日の進捗はっと」
夜、未だにつぎはぎだらけの家で、私は今日の進捗を木材で頑張って加工して作ったノートに、鉱山の入り口で見つけた黒鉛と粘土で加工して作った鉛筆で書いていた。
「仮の畜舎も出来て、畑も出来た。明日には種まきが出来るかな」
明日するべきことを考えていると、シエンが窓から私のことを呼んだ。
「おーい。風呂沸いたぞー」
他のみんなは風呂に入れないのに、自分だけはいるのはなんだか気が引けるが、お風呂を沸かしてくれたシエンの気持ちを無下にするわけにもいかないので入ることにした。
「はあ~。いつ入っても気持ちいい」
前世で温泉に入れなかったことを悔やみながら使っていると、シエンが服を脱いで入ってきた。
二人は入れないが、妖精一匹ぐらいなら入るだろう。
「おお!これって、こんなにいいものなんだな」
まあ、シエンは元々本だから知る由もないか、と考えながら上を見上げると、きれいな満天の星空が広がっていた。
「きれいだなぁ」
「ああ、そうだな」
小さな贅沢を堪能して、明日に備えて寝ることにした。
「おやすみぃ~。シエン」
「ああ、おやすみ、ステラ」
今回の話はいかがでしたか?
面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。
今後ともよろしくお願いします。




