第十一話 ソリトゥスを綺麗に!
人も増えたので、やることは山積みである。
とりあえず、新しい人たちには適当に家を見繕ってもらうことにした。
「まずはやっぱりお家だよねー」
私の家もそうだが、この街にある家のほとんどがボロボロなのである。
「なあ、一つ提案があるんだけど」
シエンが珍しく私に話を持ち掛けてきた。
「なーに?」
「あたしの魔術でこの都市を一回更地にするのはどうだ?城壁とこの家は残しておいてやるから。そこから、お前の魔術フル活用で家を建てていく、これならお前の考えている都市も作りやすくないか?」
シエンがとんでもないことを言い出した。
この街の建物をほぼすべて破壊する?
一体何軒あると思ってんの。
「できるの?」
「ああ、出来るとも」
じゃあ、と私は頭の中で計画を立てていく。
何事も最初の計画が大事なのだ。
「よし!」
とりあえず、村長さんを呼びに行くことにした。
話はそれからである。
「そ、村長さん、いる?」
戸を叩くと、最初に見た男性が出てきた。
「村長なら、あっちの家だぞ」
「す、すいません!」
男性に家の場所を指さされ、何も言わずに頭だけ下げて走っていく。
家を間違えるなんて恥ずかしい。
走りながら、自分でも顔が赤くなっているのが分かった。
「そんな一回間違えたくらいで恥ずかしがんなって。だれでも間違えることはあるんだからさ」
「物事において失敗は許されないの」
そう、機械作業においては一つの失敗、間違い、勘違いが重大な事故に繋がる。
私にとってとても恐ろしいことなのだ。
少しきれいな家の前に着き、扉をノックしてみる。
「そ、村長さんいますか?」
「おるぞ~」
家の中から声がしたので、そのまま入ることにした。
「し、しつれいしまーす」
「おお、領主様ではないか!どうされたのじゃ?」
「え、えっと、まずその、領主様というのはやめて、いただけませんか。ステラでかまいませんので」
「ならば、こちらも村長ではなくダイドと呼んでくれて構わん。それでステラ様、何用ですかな?」
私はさっきシエンと話したことをそのまま伝えた。
私が魔術を使えるわけではないので、シエンのことも話しておいた。
「なるほど…。分かりました。今から村の者を全員集めます。そしたらやっていただけますかな?」
「はい」
まあ、やるのは私ではなくてシエンなんだけど。
話が終わった私は、自分の家に戻り準備を始めた。
魔回の指輪をつけて、都市の中央部へと向かう。
この都市はほぼ正方形のような形をしていて中央に中心となる噴水跡地が。そして入り口の真反対である山側に鉱山、都市を囲むようにおまけ程度の城壁とその外を森が囲っている土地であった。
三十分ほどすると、村人が全員集まり、ダイドさんが私に報告してくれた。
「全員集まりました」
私は噴水の前に立ち、みんなを見渡す。
一様に不安そうであった。
わたしだって不安である。
失敗など許されない。
「シエン。行ける?」
「ああ、任せな!」
シエンは空に舞い上がると、何かブツブツ唱え始めた。
そして、
「例外魔術 構造物破壊!」
大きな物音と共に、建物という建物がすべて壊れていく。
中心から外側へ円を描くようにして、すべての建物が壊れた。
次は私の番である。失敗など許されない。
「生産技術 魔力全開放 建築」
(想像を、形に)
元々の計画に合わせ、中心から円形に家を建てていく。
途中、何度も意識が飛びそうになったが気合で乗り越え続ける。
「ふう、こんな、ものか、な……」
出来上がった家々を見ようと思ったが、体が動かない。意識も朦朧としてきた。
(あ、やばいかも)
前世の熱中症に似た症状が起きているのを感じる。
私はそのまま意識を失ってしまった。
「あーあ。まあ仕方ないか」
魔術の発動と都市の再構築の現場を見ていたシエンはこうなることが分かっていたようだった。
「私もこの姿じゃやりにくいから、そろそろ変えようかな」
シエンは自身の体を魔力で包み、変化させていった。
うぐ、頭が痛い。体が重い。何をしたんだっけ。
そんなことを考えながら体を起こすと目の前に見慣れない何かが浮かんでいた。幻覚だろうか。
「ふえ⁉」
「おいおい、そんなに驚くことか?」
この喋り方には聞き覚えがあった。
「もしかして、シエン?」
「そだよー」
今のシエンは小さくて妖精みたいだった。
青い服に前世のアニメのようなエルフみたいな耳、クリっとしたその目はとてもかわいかった。思わず抱きしめたくなるほどに。
「ど、どうしたの?その姿」
「これからお前と一緒に過ごしていくのにあの姿は不便だったからな」
相変わらずすごいなと思いながら、外を眺めたらすでに夕暮れ時だった。
「もうこんな時間に?」
私が魔術を発動したときはまだ朝方だった気がする。
ということは、半日以上も寝ていたことになる。
「お前、魔力全開放したろ、そんであのクオリティの建物作ってんだからな」
はて、そんなもの作っただろうか。
ベッドから一番近い窓から外を覗くが周りは殺風景だった。
それもそのはずだ。すべての建物を破壊したのだから。
重い体を起こし、扉から外を眺めると、異様な光景がそこにはあった。
この前までのようなボロ屋は一つもなく、中世ヨーロッパのような街並みがそこにはあった。
まだ、少しではあったけど。
「あれ、こんなにきれいに?」
あきらかに私たちが今持っていないような材料まで使われている。
だけど、これで村人たちの家は心配しなくて大丈夫そうだ。
まだ、体が重いので今日は休んで明日からいろいろ作業を始めることにした。
今回の話はいかがでしたか?
面白かったり改善点等があればぜひ感想欄で教えてください。
今後ともよろしくお願いします。




