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不死の魔法使いの日記  作者: DAi Master
第1章 青の魔導師
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第二話「イゾドラグク」

 最後の一段を下り、彼は空洞の中へ足を踏み入れた。


 その時、音が聞こえた。


 低く、ゆっくりと、一定の間隔で音が響いていた。その音は洞窟の壁を震わせていた。


『どうやら、近づいてきたみたいだ。』


 魔導師は音を頼りに、さらに数歩進んだ。音が響くたびに、足元まで震えているようだった。


 やがて、空洞の奥に巨大な影が見えてきた。立ちこめる蒸気の向こうに、その体の一部が隠れている。


 魔導師は足を止めた。


 暗闇の中で、青く光る二つの点が輝いていた。


「へえ。お前がそうなのか。違うか?」


 その生き物は何も答えなかった。


 吐き出された息とともに蒸気が広がり、地面を流れていった。岩も、その隙間に生えた草も、たちまち白い霧におおわれた。


 一本の足がゆっくりと動き、鋭い爪が石の上を引っかいた。


 魔導師は首を傾げ、じっくりと観察した。


 青いウロコにおおわれた体が、杖のかすかな光を反射していた。これほど離れていても、鼻先や首のウロコの間に氷ができているのが見えた。


 そのとき、魔導師はあることを思いついた。


 彼は杖を素早く前に振った。


『縮め!』


 霧が一気に晴れた。


 巨大だったドラゴンの体は、みるみる小さくなっていった。


 やがて、自分の体より少し大きいだけの岩の上で、ドラゴンは甲高い声で鳴いた。


「なんてこった……。お前も生まれ変わったんだな」


 魔導師は小さくなったドラゴンをなでた。


「俺はコスモス。お前は、なんて名前だったっけ……?」


 コスモスはローブのポケットから小さな手帳を取り出した。開くと、ページが勢いよくめくれ、やがて一ページで止まった。


「『イゾドラグク』か。でも、それは生まれ変わる前の名前だしな……。まあ、俺もあの後、名前は変えてないけど」


 コスモスは少し考えた。


「うーん……アズリタはどうだ? それともアズリト? ……いや、お前はオスだからな」


 小さなドラゴンは嬉しそうに鳴き声を上げ、コスモスの肩へ飛び乗った。


 二人は向きを変え、階段を上り始めた。


 コスモスが最初の段に足をかけた、そのとき。背後で再び霧が立ち上った。


 ドラゴンはコスモスより数メートル先を飛びながら、階段を上っていった。


 しかし、まだ問題が残っていた。コスモスが滑り落ちた坂道は、今も氷におおわれたままだ。ここを上るのは簡単ではなさそうだった。


 すると、ドラゴンが坂道を上り始めた。その体が通ったあとから、氷が消えていく。


『魔法の生き物には、魔法の生き物、か……』


 そう思ったものの、コスモスは氷が消えた理由が気になった。


 彼は坂道のそばにしゃがみ、岩の表面を指でなぞった。濡れてはいたが、氷はどこにも残っていなかった。


 ドラゴンの熱で溶けたのだろうか?


 考えられることではある。だが、あのドラゴンは氷を溶かすより、凍らせるほうが得意なはずだ。


 コスモスは顔を上げた。ドラゴンは坂道の向こう側で、彼を待っていた。


「ごめん。今の、どうやったんだ?」


 竜は首を傾げ、青い瞳で彼をじっと見つめた。しかし、返事はなかった。


「おっと、すまない。愚問だったね、アズリン?」


 少し間を置いて、コスモスは続けた。


「それとも、いきなり馴れ馴れしすぎたかな?」


 彼は立ち上がり、杖を地面に向けた。杖の先端にはめ込まれた宝石から、淡い光がこぼれた。


 コスモスは改めて岩肌を調べた。魔法を使った痕跡も、見覚えのある魔力の気配も感じられなかった。まるで、最初から氷など存在しなかったかのようだった。


「妙だな……」


 彼は眉をひそめた。


 魔法を使う魔法生物なら、これまでにも見たことがある。だが、こんな現象は初めてだった。


 もしこの竜が、自分だけの能力で氷を消したのなら、その仕組みを解き明かすことは、洞窟を訪れた当初の目的以上に興味深いかもしれない。


 コスモスはこの世界に生息する魔法生物を調べるために、ここへ来た。だが、この竜なら、まだ答えの出ていない問いにさえ、答えを与えてくれるかもしれなかった。


 コスモスは再び歩き始め、洞窟の出口へ向かう竜の後を追った。


 長い間、暗闇にいたせいで、外の光に目がくらみ、思わず目を細めた。


 洞窟を出ると、彼は足を止め、山々を見渡した。見渡す限り、山頂は雪におおわれていた。風に舞う小さな雪片は、顔に触れるたびに溶けていった。


 竜は岩のそばに身を落ち着け、翼をたたんだ。


「さて、洞窟も出たことだし、そろそろお互いのことを、もう少し知っておく頃合いだと思うんだけど。どうかな?」


 竜はコスモスのほうへ顔を向けた。コスモスは微笑み、杖に両手を添えた。


「そろそろ腹が減っているだろう? 心配しなくていい。君の食性について調べたあと、必要な材料を集めておいたんだ。家に全部用意してあるよ」


 ドラゴンは大きく口を開いた。喉の奥から甲高い声が響いた。少し耳障りではあったものの、不思議と心が和む声だった。


 コスモスは黙って、その声に耳を傾けた。


「そろそろ出発しよう。夜になる前に着きたいからね。南の国は、日が沈むと危険になるんだ」


 そう言うと、コスモスは左手のひらを開いた。呪文を唱えることもなく、二人の目の前に青い扉が現れた。


**【キャラクター紹介:コスモス・青の魔導師】**


名前:コスモス・青の魔導師

年齢:不明

身長・体重:185cm・70kg

種族:七大魔導師

魔法:空間魔法・水魔法

好きなもの:山、リンゴ、読書、動物、シールルム、料理、とんがり帽子

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