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爆発

 しばらくして米粉の袋が運ばれてきた。


「よし! じゃ、これを……」


 そう言いつつ瓦礫に開いた穴に米粉を流し込んでいく。


「貴様! 食べ物になんという事をするのだ!」

「もったいないー」


 ルチアが指をくわえて悲しそうにしている。


「確かにその通りだけど、今回は見逃してくれ」


 そう言いつつ全ての米粉を隙間から入れ終える。


「よし。ええとレスターにまた頼みがあるんだけど、この中の空気をかき混ぜて米の粉を通路一杯に充満させる事はできるか?」


「技術的には可能だ。だが男の頼み的に不可能だ。もう100年待つがいい」


 めんどくさい奴だ。

 だがそれならそれなりにこちらにも打つ手がある。


 米粉の袋を恨めしそうに振っていたルチアを手招きして呼び寄せる。


「ルチアちょっと俺が言った通りにレスターに言ってくれるか?」

「うん、いいよー」


 零慈のメッセージを受けたルチアがレスターの所に走り寄る。


「レスターおにいちゃん。つうろをかぜでぶわーっとしてほしいな」

「お安い御用です。お嬢さん」


 レスターの後ろでサリサが頭を抱えていた。


「よし。これで通路一杯に米の粉が充満したぞ」


 レスターが隙間から中を確認して伝える。


「よし。それじゃ皆、階段の所まで戻ろう」


 零慈の指示通り全員が階段の所まで戻る。


「始めるぞ。オプション、炎弾」


 サリサが不満そうな声で呟く。


「炎弾じゃ瓦礫に傷つけるぐらいしかできないわよ?」


 その声を無視して零慈が作業を続ける。


「座標、112、5、1.座標固定。発射!」


 零慈の目の前に産まれた光弾がぱしゅんと言う音と共に、瓦礫の隙間目指し突き進み、吸い込まれるように消えていった。


 次の瞬間、部屋全体を揺らがす振動と共に凄まじい爆発が起こる。


 塞がっていた入り口から炎の柱が噴出し、蓋となっていた瓦礫を吹き飛ばす。


 衝撃波と爆風は零慈達のところにまで達した。

 あまりの事にそこにいた全員が言葉を失う。


 爆発そのものは一瞬で収まり、部屋が静寂と埃に包まれる。


 しばらくして天井から落ちてきた小さな瓦礫が、かつんと音を立てた。


 その音がスイッチになり皆が我に返る。


「貴様ぁ! 我が都を破壊する気か!?」

「私たちを生き埋めにする気!? バカなの? 死ぬの?」


 2人とも凄い剣幕だ。


 ルチアだけはすごーいと喜んでいる。


「わりい。正直、俺もすげえびびった」


 レスターが憤懣やるかたない感じで尋ねる。


「一体、今のはなんなのだ?」


「ええと、たしか粉塵爆発っていう現象だったはず。空気中に一定以上の可燃物が充満した状態で火をつけると爆発的に燃える、だったかな?」


「爆発そのものだったぞ」

「聞いた話と実際に見るのでは大違いって事だな。ははは」


「ははは、じゃないわよ! どこでこんな危険な話聞いたのよ」


「たしか昔読んだ漫画で」


「まんが? なにそれ? ……ああもう。こんな馬鹿が神人なんてやっぱり何かの間違いじゃないの?」


 頭を掻きながら零慈が許しを乞う。


「大丈夫だったんだから許してくれよ。……それより作戦そのものはうまくいったみたいだぜ。見てみろよ」


 そう言って零慈がヴァルハラの入り口を指差す。


 爆発によってもうもうと巻きたてられた埃が薄れてゆく。


 そこには瓦礫から開放された入り口がその姿を完全に現していた。


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