表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

アルフレリア

 イエローリバーと呼ばれた河はまさに大河だった。

 対岸が全く見えず、流れが無ければ湖か海と見間違うだろう。


 そしてその都は文字通り河の中に建っていた。


 15メートルはありそうな巨大な城壁が水面から垂直に聳え立ち、その上には巨大な風車が立ち並んでいる。

 城壁の奥にはヴァルハラがその威容を誇っていた。


 その都に出入りするための大きな跳ね上げ式の橋が川岸との間に架かっている。


「ひどいわね」

「こわれてるよー」


 2人の言った通りだった。


 橋は下りた状態だった。


 だが跳ね上げ式の橋はもう上がる事は無いだろう。

 なぜなら橋を持ち上げる巨大な二本の柱のうち一本が根元から完全に折れて河に突き刺さっている。


 壊れているのは橋だけではなかった。

 城壁もそこかしこにヒビが入り、左側の角などは完全に崩壊している。


「これも地震のせいなの?」


 青ざめた顔でサリサが尋ねる。


「たぶん……。とりあえず行ってみよう」


 

 橋の先にある城壁に作られた巨大な門は、半開きの状態で崩れかけた上部の石に押されて動かなくなっていた。

 扉に衝撃を与えないようにして、おそるおそる城壁の内部に入る。


 入ってすぐの所は広場になっていて少し先に家が立ち並んでいた。


 すぐ傍にアプラで見たのと同じ看板が傾いて立っている。

 どうやらここはランドールの乗り場としても使われているようだ。


 アプラと違いアルフレリアは切り出した石材で建物が作られていた。

 様々な形の風車がどの家の屋根にも据え付けられている。


 元々はとても美しい街だったのだろう。

 しかし今はただの災害現場と成り果てていた。

 多くの家屋が倒壊しただの瓦礫の山となっている。


 外から見た通り城壁も一部が完全に崩れて、外の河の黄色い水面が見えている。


 零慈は以前テレビで見た大地震の災害現場を思い出していた。

 だが映像で見るのと実際に見るとでは大違いだった。

 ここには嘆きと叫びと、そして死の匂いが充満していた。


「すみません。ここで何があったんですか?」


 ちょうど近くで瓦礫の撤去をしていた男にサリサが尋ねた。


「わからないんだ……。3日前、突然地面が激しく揺れだして、あっという間に街が崩れてしまった。……若は心配ないとおっしゃっておられたが、正直、また揺れないかと恐ろしくて夜も眠れないんだ」


 気の効いた事も言えず、ただ礼を言ってその場を立ち去る。


「やっぱり地震のせいみたいだな。……しかしこの状況じゃ、アルフヘイムに行きたいって頼むのは気が引けるな」


 何事かを考え込んでいたサリサが真っ直ぐに零慈を見る。


「……ねえ、もしかして零慈がヴァルハラをまわる事と、この地震って関係があるの?」


「ある……と思う。ちょうどいい、サリサもヴァルキリーなら全くの無関係って訳ではないし、此処の偉い人に説明する時、一緒にいて聞いてくれないか?」

「わかったわ。とりあえずここの若様の所に行きましょう」


 そう言うとサリサは迷うことなく、道を進み始めた。

 明らかに街の構造を知っている動きだ。


「サリサ、ここに来た事があるのか?」

「ええ、2年くらい前にね」


「へえ。その若様ってのにも会った事があるのか?」

「ええ」


「どんな人なんだ?」


 そうね、と少し考えてから、


「まあ、会えばすぐにわかるわよ」


 と、はぐらかしてきた。


「いや、それ余計に不安になるぞ」

「基本的には会いたくない奴ね。でもまあ悪い奴ではないから安心しなさい」


 それ以上はどんなに尋ねても教えてはくれなかった。


「ルチアおなかへったー」


 泣きそうになっているルチアをなだめながら、復興作業が行われている街中を進んでいく。

 この街は奥のスペースが全てヴァルハラになっていて、それに寄りかかるように街が作られているようだ。

 ヴァルハラの中腹、街の一番高い所に大きな建物が建っており、そこに向かって段々畑のように家々が建てられていた。

 面白い事に各家に取り付けられた風車は全て中腹にあるその建物に向かって設置されている。


 サリサが案内してくれたのは、その街の頂上にある石で出来た建物だった。

 3メートルほどの城壁に囲まれたその建物は、中央の尖塔がない国会議事堂によく似ている。


 建物の中では大勢のアルフ族が忙しそうに働いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ