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異世界転生  作者: MSZ-006
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「フォンファさん、これって動きを止めるだけじゃなくて、操れますよね?」


俺の言葉に、フォンファさんは少し驚いたように目を見開いた。


「リョウさん、よく知っていますね。ええ、その通り。お札は、ただの足止めじゃないんです」


フォンファさんが、黄色い紙に赤い墨で『勅令 陏身保命』と書かれたお札を一枚、指先でスッと空中に掲げた。


「この札の裏に主となる者の名を記せば、一時的にこちらの盾として動かすことも可能です。もっとも、それにはちょっとしたコツと、強い精神力が必要になりますけどね」


そう言うと、フォンファさんは屋台の奥から小さな鈴を取り出して、チリンと澄んだ音を響かせる。


「料理と武者修行も兼ねて、九龍エリアにデリバリーに行くんです。荷物持ちにキョンシーを使えば、狭い路地裏もスイスイですよ」


「キョンシーを、荷物持ちですか?」


ユカさんが絶句している。


想像するとシュールだが、九龍エリアでは、最強の運搬手段かもしれない。


いつ行く事になるか、分からん。


それなら、俺とユカさんの分を買ってしまおう。


「フォンファさん、桃木剣と銭剣、霊符のセットを、俺とユカさんの分で二つずつ貰えますか?」


「はい!有難う御座います。では、お会計は・・・」


冒険者応援価格とは言え、なかなかにいいお値段だった。


桃木剣に銭剣、それに霊符の束を眺め、これらが支払った額よりずっと価値があることを、今は祈るしかないな。


そう言えば今、何時なんだろう?腹が減ったなと考えると、目の前に光学パネルが現れ、現在時刻とプレイ時間を表示している。


丁度、昼時だな。


「ユカさん、お昼にしませんか?」


「そうですね。ずっと動いていて、お腹すきました」


「ピィ!」と、ユカさんに抱かれている黒い子豚が、お昼ゴハンと聞いて嬉しそうに鳴く。


「クァ〜!」と、白い烏も賛成だと言うように声を上げた。


「そっか、お前たちも賛成か」


俺は、肩に止まった烏を撫でながら「買い物ついでに、食事もお願いします」と、フォンファさんに注文する。


「はい!有難う御座います。では、席に掛けてお待ち下さい。メニューは

上にありますからね」


席に座り、上を見るとメニューの書かれた紙が下がっている。


本格的な中華料理だな。


中華と言ったら、やっぱりアレだよな?


「俺は、チャーハンと小籠包で。ユカさんは、決まりましたか?それと、お前たちはどうする?」


「ピィ〜!」


「クカァ〜?」と、何やら相談中。


「私は、ジャージャー麺とエビチリにします」


烏が俺の肩から飛び上がり、メニューを嘴で器用に突いて俺を見る。


「ユーリンチーに、チンジャオロース、それに点心セットか?」


俺が尋ねると、二匹は「ピィ!」「クァ〜!」と、元気に鳴く。


どうやら相当、お腹が空いているらしい。


「分かった。点心セットは、2つで良いのか?」


「クァ〜!」


「ピィ!」と、二匹は元気に返事する。


「よし。フォンファさん、注文お願いします。チャーハンと小籠包、ジャージャー麺にエビチリ。それから、この子たちにユーリンチーとチンジャオロース、点心セットを2つ」


「はい! かしこまりました!」


フォンファさんは頼もしい返事とともに、さっそく奥の厨房で中華鍋を叩き始めた。


注文して思ったが、どっちがユーリンチーで、どっちがチンジャオロースを食べるんだ?


・・・共食いか?


「そう言えば、この子たちまだ名前が無いですね。名前が無いと呼び辛いですよね」


名前が無いと呼び辛いというユカさんの言葉に、俺も頷き二匹をじっと眺めた。


「白い烏と言えば、瑞鳥だよな。瑞(みずき)で、どうだ?」


俺が白い烏に話し掛けると「それ、いいと思います」と、ユカさんは賛成してくれる。


「クワァー!」と、白い烏は羽根を広げて盛大に返事する。


「じゃ、このコの名前はポポにします。丸くて可愛いから」と、ユカさんが子豚を抱き締めると「ピィ!」と、嬉しそうに返事する子豚。


「リョウさんって、本当に不思議な人ですよね。瑞鳥なんて言葉、よく知ってましたね」


「・・・あ、えぇ、まぁ、施設の皆さんが話してるのを聞いたんですよ。宜しくな、瑞、ポポ」


「お待たせしました〜。その子達には、丁度良いテーブルを持って来ますね」


フォンファさんが、両手に料理を乗せて運びながら、瑞(みずき)とポポを眺める。


さて、注文した料理が並べられ、ポポと瑞のために俺たちの足元へ、低いテーブルが置かれた。


すると、ユーリンチーの前にポポが、チンジャオロースの前に瑞が陣取るではないか。


良かった、共食いじゃないんだな。


それぞれの料理が並び、とても美味しそうな匂いが鼻を擽る。


「いただきます」


そう言って俺は、チャーハンを口に運ぶ。


美味い。


口の中で、ホロホロに砕ける米のパラパラ感。


そして、熱々の肉汁が溢れ出す小籠包。


ユカさんも、それに瑞とポポも、とても美味しそうに食べている。


そう安堵したのも束の間。


瑞(みずき)とポポはお互いの皿を突き合わせると、仲睦まじく料理をシェアし始めたではないか。


結局、共食い発生。


「美味しい?」と、ユカさんがポポと瑞に話し掛ける。


「クァ!ピピィ!」と、嬉しそうに返事する二匹。


うん、美味いなら良いか。


「ご馳走様でした。とても、美味しかったです」


「ご馳走様です」


「ピィ!クカァ!」と、それぞれ感想を述べる。


さて飯も食い終わったし、此れからどうしようか?





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