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8 観測者

「そういえば、君たちは、高樹の森に向かってるんだっけ?」

セイレナはそう聞いてきた。

「そうそう。その高樹の森に住んでいるリピティーに会いに行くんだ。」

「えっ!リピティー母様に会いに行くの!?」

セイレナはそう言う。

私達は驚いた。

「母様!?」

「高樹の森は私が昔リピティー母様と住んでいた森でね。リピティー母様は私を創ってくれて、大事に育ててくれたんだ。」

セイレナは思い出を噛み締めるように微笑む。

「そっか、良い母親だね。あ!もし良かったらリピティーが居るところまで案内してくれない?」

「もちろん。良いよ。」

セイレナは快く引き受けてくれた。

そして翌日。私達は出発の準備を整え、セイレナが用意してくれた馬車に乗り込んだ。

「よし!じゃあ出発だ!」

セイレナが合図し、馬車が動き出す。

空は青く澄んでいて、眩しい。だが、遠くに見える高樹の森は、霧がかっていて、どこか暗い。

「あっ、そうそう。これ渡しとかないとね。」

セイレナは私達に小さな丸いガラスのような透き通った物を差し出してきた。

「これはなんだい?」

ハイビスカスは不思議そうに眺めている。

「これはね、磁源薬だよ。これを1粒服用するとね、1日磁源に耐性が出来るんだよ。」

「ほほぅ。随分と便利なものじゃのう。これ、リピティーが創り出した産物の1つじゃろ?」

ミクトはそう言い、薬を飲み込んだ。

「そうだよ。よくわかったね。さすが変化のミクト!」

「ふふん。流石妾じゃな。」

ミクトは自画自賛する。私もそれを横目に薬を飲んだ。

馬車は、2時間程進み続け、ようやく高樹の森のすぐ近くまでやって来た。

「やっと、高樹の森に入れるよ。」

私は安堵のため息を着く。

「けど問題はここからなのじゃ。」

ミクトは面倒くさそうにそういう。

「え?」

「この先は霧が濃くて、迷いやすいんだよ。」

ハイビスカスは辺りを見回す。

「そうなんだよ。こんなに霧が濃いと、流石に迷うね。」

セイレナでも迷子になるらしい。

馬車はそれから1時間、2時間とはしり続けるが、まだリピティーに出会えない。

「あれ?道は合ってるはずなんだけどなぁ、」

セイレナも困っているようだ。

「これさ、意図的に目的地に着けないようになってるんじゃね?」

私はふと、そう思った。だって、こんな霧に、迷いの森。ゲームだったらよくある展開だ。

「いやいや、そんな訳ないよ。だって、そもそもそんな事出来る訳無いじゃないか?」

ハイビスカスは私にそう言う。

「いや、一理あるかもしれぬぞ。リピティーほどの技術力を持っておる存在だとのう。それにこの霧、異常なほどの濃さじゃろ?」

確かに。霧は濃く、森の奥どころか、木すらまともに見えない程だ。そして、そんな迷いの森の攻略法と言えば、霧を晴らす!

「ねぇ?ミクト!この霧晴らせない?なんか、良い感じの、飛べる動物とか!そんな感じのに変身して!」

「全く、人使いが荒いやつじゃのぅ。」

ミクトはため息をつき、馬車からヒラリと降りた。そして、ミクトは眩い光に包まれ、発光した。眩しさで思わず、目を瞑り、目を開けると、目の前には、大きな翼に、輝く鱗、そして、ミクトを彷彿とさせるオッドアイ。ミクトは龍に変化した。

「さっすがミクト!すごい!でね、その大きな翼で霧を吹っ飛ばして欲しいの!」

「全く。この姿、結構疲れるのじゃぞ?」

ミクトは口ではそう言うが、翼を羽ばたかせ、霧を晴らした。しかも馬車が揺れないよう、蛇のような身体で抑えててくれた。

「流石、変化の祖。」

ハイビスカスは驚いている。

ミクトは元の姿に戻った。

「ふっ、どうじゃ?美しかったじゃろ?これは妾のとっておきじゃぞ!」

ミクトはドヤ顔だ。私達も馬車から降り、外に出る。私は肺いっぱいに空気を吸う。空気がとても澄んでいる。

「変化のミクトすごいね、僕の翼じゃ、霧を晴らす事、できないよ。」

セイレナはどこか悔しそうだ。

「ねぇ!レイ!建物があるよ!」

ハイビスカスは大きい木の上を指さす。見上げると、なんとそこにあったのは、オシャレなツリーハウスではなく、長方形の石のような素材で出来た建物だ。ただの正方形、それが異質さを掻き立てる。この世界には、まず正しい真っ直ぐなど存在しない。定規ですら曲がっているし、これほど磨かれ、ヒビひとつ無い壁も、それに、こんなに平らで垂直な壁、まるで私の世界の建物に良く似ていた。ロワールの町の建物とは明らかに文明が違う近代的な建物だ。

「ここだよ!ここが私のお家!」

セイレナは嬉しそうに翼を広げ、ツリーハウス?いや、建造物まで飛び立った。

「え、私達飛べないんですけど、」

私達は取り残される。

「安心して!」

セイレナは建造物の入口まで辿り着くと、壁にあるスイッチのような物を押した。すると、ゴゴゴと音がなり、なんと階段が出てきたのだ。

「文明進みすぎでしょ。」

私は驚いてつい、そうつぶやく。これは下手したら私の世界よりも文明が進んでいる。私達は階段を上る。階段の素材は鉄のような、コンクリートのような、石のような、変わった素材だ。そして、私達は異質すぎて、不気味にすら思える建物の中へと進んだ。

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