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4 ハイビスカス ロワール

男の子は声を荒らげて、

「おい!貴様!無礼だとは思わないのか!?この、ハイビスカスロワールを攫うなんて!」

男の子は以外と可愛らしい声をしていた。

男の子が声を荒らげて、人攫い達を睨む。するとーーーバチン。

狭い馬車で、バチンと音が響き、周りの少女たちは、怯える。男の子は人攫いに殴られた。

「うるせーよ!お前が王族なら、なんで俺らに捕まってるんだよ。バーカ!それにそのハイビスカスって名はお姫様の名前だろ?お前は男の子じゃねぇか?ま、来てる服は上物だし、顔も良いから、まぁまぁの値段で売れるだろうな。」

人攫いの男はそう言い、ニヤリと笑う。

「〜〜〜!痛っぁ、初めて人に殴られた。」

ハイビスカスは頬を手で抑え、目を潤ませている。

「おい、顔は傷つけるなよ。価値が下がる。」

もう1人の人攫いが外を警戒しながら言う。

「あぁ、すまないな。じゃあ身体なら大丈夫だな。」

人攫いは、そう言い、ハイビスカスを蹴る。

この光景を見て、私は思わず息を飲む。

馬車は大きな建物に入っていった。

「ここは?」

「ここは奴隷市場だ。ここでこれからお前らの値段を決める。」

建物の中はなんだか甘ったるい匂いがして、ずっと居たら具合が悪くなりそうだ。それに、周りには沢山の檻があり、中には全裸の少年少女、女性男性が入れられている。泣いている子もいたり、叫んでいる人もいる。まるで地獄絵図だ。私達は馬車を降り、カウンターみたいな所まで来た。

「お前ら早く服を脱げ。」

人攫いの男が言う。周りの子達は躊躇っているようだ。

(えぇ、変態過ぎるでしょ。そりゃあ年頃の女の子達は回りを気にして脱げないでしょうよ。ここは私が先陣を切るか。)

そう思い、私はパッと服を脱いだ。

「お前は女としてのプライドが無いのか?これじゃあ高く売れなさそうだな。」

人攫いに言われてムカつくが、余計な事を言ったら殴られそうなので。黙っておこう。それから、私達は、檻の中に入れられた。1つの檻に2人ずつ入る感じだ。檻の中は不潔で、床は湿っぽく、冷たい。私と同じ檻に入ったのは、ハイビスカスだ。ハイビスカスは、さっきまでの威勢はなく、シュンとして、うずくまっている。男の子だし、裸を見られるのが恥ずかしいのだろうか?それか、私に配慮してくれているのだろうか?それとも、怖いのだろうか?その背中は痣だらけで、私は見て居られなくて、

「えっと、ハイビスカスさん?さま?大丈夫だよ。きっと助けが来るって。君は王族なんでしょ?王様とかが助けてくれるよ!きっと!」

私は根拠の無い綺麗事を口にした。本当にハイビスカスが王族なのかも分からないし、ハイビスカスって名前も本当なのかも分からない。ハイビスカスは目を見開いて、こっちを見た。綺麗な顔だ。

「君は、こんな状況でも、笑っていられるのかい?」

ハイビスカスは驚いたようにそういった。だが、

ん?ちょっと待て、なんか。下。ついてないんだけど。え?

私は普通に困惑した。下半身にあれがついてない。つまりーー

「ハイビスカスって、女の子だったんだね。」

私は、超びっくりして、そう言ってしまった。ハイビスカスは顔を赤くして、

「〜〜〜!!そうだよ。」

小さくそう答え、また、うずくまってしまった。

「おい、お前らはこれを着ろ。」

いきなり男が服を檻に放り投げてきた。ドレスが黒と白色2着ある。

「ねぇ、ドレス2種類あるけどどっち着る?」

私はとりあえずハイビスカスに聞いてみた。

「私は別にどっちでも良いよ。はぁ、どっちにしろ僕の人生は終わってるし。」

ハイビスカスは俯き、ため息をついた。

「じゃあハイビスカスはこっちね。ハイビスカスには黒色が似合いそうだし。」

私はハイビスカスに黒色のドレスを渡した。

「僕にドレスは似合わないよ。だって、身長高いし、肩幅も広いし、男みたいじゃないか。」

ハイビスカスはドレスを握りしめ、しゃがみ込んだ。

「いやいや、身長高い事は羨ましいし、顔も綺麗だから似合わないはずないから。1回着てみなよー!」

そんな事を話していると、遠くから声が響いてきた。

「みなさん!今回も奴隷市場に来て頂き、誠にありがとうございます!!さぁ!今回の商品を紹介致しましょう!!!」

すると、私達の周りの檻達は移動し、奥のステージ裏まで行ってしまった。

「最初は!!村娘のアッシュとリンダ!!!!」

始まった。いずれ、私達の番が来てしまう。私はここでやっと状況を飲み込んだ。

「続きまして、57番目!ハリッシュ!!!これはノルア病に掛かっておりますが、生き延びた生命力の強い商品です!ですが、いつまで持つか分かりませんので、観賞用としておすすめ致します!」

やばい。次で私達だ。どうやら私達で最後のようだ。不安でお腹が痛い。指先も冷たくて、手が震える。ふと、ハイビスカスの方を見ると、目には涙が溜まり、カタカタと小刻みに震えていた。

「さて、最後の商品となりました。では!本日の目玉!世にも珍しい黒髪の少女レイ!と王族の血筋、ハイビスカスロワール!!」

ガラガラと私達が入っている檻が動き出す。ステージの光がカッと目に入る。客席は眩しくて見えない。

「さぁさぁ!セットのお値段、1億ローナから!」

オークションが始まった。1億から、2億、2億5000万、3億とトントン拍子に数字が上がって行く。怖い。私達のこの先も。どうしてこの状況下でこの大人達は笑っていられるのかも。分からない。ハイビスカスも同じ気持ちだろうか?逃げ出したいのに、逃げ場はなく、すぐに捕まってしまいそうで、立っているしかできなくて、逃げようと思うことすら、諦めようと思う。息もうまく出来なくなる。震えが止まらない。助けて。誰でもいいから。そう思ったとき、足元にネズミが居た。

「おぃ、助けに来てやったのじゃ。これから逃げるぞ。」

ネズミが喋った!ミクトだ!

「ミクトー!!ありがとうー!!助けに来るって信じてたよー!」

私は小声で喜んだ。

「でさ、どうやって逃げるのさ?」

「それは簡単じゃ。」

ミクトは檻の隙間から外に出て、いきなり虎になった!

キャー と客席からは悲鳴が響き、観客たちは逃げ惑っている。ミクトは、司会者が持っている鍵を奪い取り、檻の方に投げ込んできた。私は鍵をキャッチした。

ミクトは追い打ちをかけるように、客席の方へ飛び出した。

「え?何?いきなり、何?この生き物は?」

ハイビスカスは驚いて固まっている。

「ハイビスカス、逃げるよ。」

私は檻の鍵穴に鍵を差し込む。が、上手く入らない。手が届かない。すると、

「僕に任せて。」

ハイビスカスは、鍵を開けた。

私より、スタイルが良いため、腕も長いのだ。

「すごい!よし!逃げるよー!」

私はハイビスカスの手を取り、ステージを降りた。

「ミクト!出れたよ!」

「よし。よくやったのじゃ。では、わらわの背中に乗れ。」

ミクトは馬の姿に変化した。

「もしかして、貴方は、変化のミクト?」

ハイビスカスは、ミクトを知っているようだ。有名なのかな?

「いいから乗るのじゃ。ハイビスカスロワール。」

「なぜ僕の名を知っている?」

「おまえはアハントの娘じゃろ?顔を見れば分かる。ほれ、さっさと乗れ。」

私達は、ミクトの背中に乗り、建物の外に出た時、

バン。

銃声と、衝撃が響き渡った。

「え?何!?」

私は一瞬、何が起きたかわからなかった。次の瞬間、ミクトの身体が崩れ落ちた。

「ミクト!!!」

ミクトの方を見ると、ミクトはお腹を撃たれて苦しそうだ。腹からは血がドクドク出ている。私達は銃声がした方を見た。そこに居たのは。シルクハットを被ったさっきまで司会をやっていた男だ。

「お前らのせいでめちゃくちゃだ!!!どうしてくれるんだ?それにお前らが逃げたらこの建物は国に見つかっちまう。お前らのせいで大赤字だよ!」

男は私達に銃のようなものを向ける。ミクトは腹を抑えながら、男を睨む。

「ミクト!大丈夫?」

「安心しろ。すぐに治るのじゃ。」

もう一度バンと銃声が響く。男はもう一度ミクトに向けて撃った。

「ミクト!!!」

ミクトは頭を撃ち抜かれて、倒れた。

どうしよう。どうしよう。ミクトが死んじゃう。私はミクトを抱き抱える。まだミクトは暖かい。それに息もしてる。大丈夫まだミクトは生きてる。だが、このままだと、失血死するだろう。頭と腹からは大量に血が出ている。今までで嗅いだことのない、鉄臭い匂い。ミクトが死んでしまう。私が俯いていると、ハイビスカスは、私の肩に手を置き、立ち上がった。

「大丈夫だ。ミクトなら。なんてったって、あの、変化のミクトだからね。死にはしないよ。君は戦えるのかい?」

私は首を横に振る。

「そうか。わかった。じゃああの男は私が殺す。」

ハイビスカスはそう言い、手を空に掲げた。

「ふざけるな!この王族モドキがぁぁ!!死ね!!」

男はハイビスカスに向けて、銃を撃つ。

だが、ハイビスカスに攻撃が届く前に、男は突然赤い閃光に焼き貫かれた。

焦げ臭い、言葉では表せない、初めて嗅ぐ刺激臭が鼻を突く。

!?!?私は何が起きたか、分からず困惑した。魔法だろうか?異世界ならありがちだが。あまりに一瞬過ぎて。

「は、ハイビスカス、今のは?」

私は真っ黒に焦げた男を眺め、そう聞いた。

「ん?あぁ、今のは陽術だよ。」

「陽術?」

「陽術は、あの空にある陽体から出てる陽源を使う術の事だよ。今の炎を出す物以外にも、光を出したりとかも出来るよ。」

ハイビスカスはニコニコしながら教えてくれた。陽体とは太陽の事だろうか?

「ねぇ、この人もしかして、死んだ?」

「うん。死んだんじゃないかな?」

「、、、。」

私はこの言葉を聞いた途端に、冷や汗が止まらなくなった。

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