14 都合
「えっ!?ノルアお外に出ても良いの!?!」
それを見たノルアは目を輝かせる。
「お好きになさってください。」
ダルクはそう言い、笑う。だが、その表情は笑っているのにどこか暗い表情だ。ノルアは颯爽と部屋から出て行った。ダルクは床に座り込み、ぼーっとしている。
「これで、これで良いんだ。これでノルア様もご家族に会えて静かになるだろうし、あの父親も実際に自分が幽閉した娘の様を見たら自分の行いに反省するだろう。大丈夫。これで全部上手くいく。私は間違ってない。」
ダルクの額にはひあ汗が滲んでいた。
ノルアは廊下を走り抜け、父親の部屋まで来た。これで、やっとお父様に会える!!それで、お父様に抱きしめてもらって!それで、お母様の居場所が分かった事も伝えなきゃ!お父様喜んでくれるかな?!そんな期待を胸に抱き、ノルアは扉を開いた。そこにはアハントが居た。ノルアの姿を見た見たアハントは目を見開き、驚く。
「お父様!!!お父様!!!すっごく!!久しぶり!!!ノルアだよ!!!覚えてる?」
ノルアはアハントの元へ駆け寄る。だが、アハントはノルアから距離をとり、口を開く。
「ノルア、か?お前はノルアなのか?お、お前、どうやってあの部屋から出たんだ?」
アハントは戸惑い、ノルアを恐れているようだ。ノルアはニカッと笑い、
「ダルクが開けてくれたの!!あのね!聞いてよ!お父様!!」
ノルアの言葉を遮り、アハントは言う。
「ノルア。あの部屋から出てはダメと何度も言っているだろう。それにダルクも共犯か。ダルクには罰を与えねばならぬな。ノルア!早く部屋に帰りなさい!」
アハントはノルアにそう告げ、部屋を出ようとドアノブに手をかける。
「なんでなんでなんでなんでなんで!?!!!ダルクは悪くないのに!!!どうしてノルアを閉じ込めるの!!?どうしてノルアを抱きしめて、愛してくれないの!?ノルアは部屋に戻らない!!戻りたくないの!お父様はノルアの事嫌いだから閉じ込めるの!?!!」
アハントが振り向き、ノルアの方を見ると、ノルアはその場にしゃがみこみ、手で顔を覆いこみ、泣きわめく。
「それはだな、」
アハントが返そうとした時、ノルアが言葉を遮る。
「『ノルアを守るため。』でしょ?もう何回も、何百回も聞いたよ。けどそれはノルアじゃなくてノルア以外の人を守るためでしょ?」
ノルアはそう言い、アハントを見る。
「そうでもあるが、ノルアも大切だから、ノルアも守る為にこうするしかなかったんだ。」
アハントは言い訳をするようにそう言う。
「もうその言い訳は聞き飽きたの!!!今認めたよね?お父様が本当に守りたいのは、使用人でも、国民でも、お姉様でもなくて、お父様自身を守りたいんだよねぇ?ノルアの事なんて忘れてしまいたいよね!!!!!!!!」
「いや、ノルア。違うんだ。そういう意味で言ったんじゃなく、儂は、、」
アハントはもごもごと言い訳をしようとするが言葉が続かず、口篭る。
「図星なの?もう言い訳も出来ないの?ノルアなんか死んじゃえば良かったの?ねぇ!お父様!何か言ってよ!!」
ノルアは泣き叫び、父親に問いかける。ノルアの後ろにある大きな窓の外には枠を覆い尽くすような大きく、禍々しいオーロラが浮かんでいた。それはまるでノルアの怒りを表すかのようだった。ノルアは窓の外を眺め、こう問いかける。
「ねぇ?お父様、ここ最近、ノルアの事考えた?ノルアを閉じ込めてから、少しでもノルアを愛そうと思った?」
この言葉を聞いたアハントは口を開き、何かを言いかけた所で突然、部屋の扉が開いた。なんとダルクが沢山の兵士たちを連れて入ってきたのだ。
「陛下!!ご無事ですか!?!」
ダルクはそう言い、アハントの元へ走る。そして、ノルアの周りには武器を持った兵士たちが取り囲む。
「ねぇ?みんなはなんでノルアを傷つけようとしてくるの?」
ノルアは心の底から不思議に思っているようだ。
「ノルア様!いや、ノルア!貴方はとても危険な存在だ!やはり殺しておくべきだった、陛下もこれでお分かりでしょう?ノルアという存在の危険性を!」
ノルアの危険性はこの部屋に充満している磁源、それが皆の命を削る。もちろんこの瞬間もアハントやダルクたちの命が削り取られている。皆が精霊病いや、ノルア病に掛かるのも時間の問題だ。
「え?ダルク?私をころす?どうゆう事?なんで?ダルクがノルアを出してくれたんでしょ?なんで?ノルアに危ない物を向けるの?ノルア、今までいい子にしてたのに?ノルア、危なくないよ?」
ノルアはダルクの言葉を聞き、戸惑う。
「ノルア様。申し訳ございません。少し、言い方が悪かったですね。この国と陛下のためなのです。この国の為に死んでください、!」
ダルクは剣をノルアに向け、そう宣言し、ノルアに斬りかかった。ドス。と鈍い音が部屋に響く。そして、床には赤い、血が流れ落ちた。ノルアの首元にダルクの剣が刺さっている。ノルアはその場に倒れる。
「ノルア!!!、」
声を上げるアハントの表情は複雑だ。少し安心したような、なんだか悲しいような、驚いた表情をしている。
「よし、死体を運ぶぞ。手配してくれ。」
ダルクは兵士の1人にそう言い、ノルアを運び出す準備をする。そして、ダルクはノルアに近づき、ノルアの顔を覗き込む。ノルアは目を見開いたまま、死んでいるようだ。その瞳には涙が滲んでいた。ダルクはノルアの瞼に手を置き、そっと目を閉ざす。そして、ダルクはノルアの頬を撫でる。
「ノルア様、本当にごめんなさい。」
ダルクはそう言い、ノルアの首元を見ると、なんと血が止まり、傷が回復しているようだ。まるで時が戻っているかのように体外に出た血液が体に戻っていく。ノルアの目が突然開き、ダルクの腕を掴んだ。
「ノルアを殺そうとしたの!?!!!!ダルクのこと信じてたのに!!!!」
ノルアはそう叫んだ瞬間、辺りが光に包まれた。余りの眩しさに、皆が目を瞑る。光が止み、辺りを見ると、ダルクの髪は白く変わり、その瞳は赤色に変わっていた。ダルクは意識を失い、精霊病ーーーノルア病に掛かってしまった。その様を見た皆は、時が止まったかのように、固まる。その後、兵士たちはすぐに動き出す。
「陛下!早く避難を!!」
アハントは兵士たちに連れられ、部屋を後にした。そこからは兵士たちがノルアの相手をし、見事全滅。アハントは国から逃げる事もせず、避難部屋に籠っているという訳だ。




