未完成な放課後 文化祭のテーマソング 「録音失敗」
第78話目とての投稿作品は、カクヨムの自主企画「2000文字以内でお題に挑戦!」のお題「未完成な放課後」に対して書いた、『現代ドラマ』です。
遠い昔の高校時代の楽しい思い出話を、少しだけアレンジして書いてみましたよ。
今日は文化祭の実行委員が定期的に集まって、秋の10月末に開催される『文化祭のテーマ』と行事内容等を色々と検討したりする日だ。
いつものように、ホームルームが終了した放課後の教室に、実行委員の全員が遅れることなく集まっていた。
既に4月から自主的に参加登録した文化祭の実行委員が毎週定期的に集まって、何度も何度も様々な議論を重ねている。
文化祭の実行委員長が「文化祭のテーマソングを作詞作曲して、出来れば皆で歌いたいんだよ」って言い始めたのは数カ月前の話。
今年の文化祭のテーマは、既に『今が挑戦するときだ!』と決まったいたので、それに合わせた歌詞を2番までを皆で結構悩みつつ考えて、先月やっと作詞だけはなんとか完成した。
作曲については、言い出しっぺの実行委員長が、実行委員長の友人でバンドグループでキーボードを演奏しているらしい方にお願いをしてくれていて、ついでにキーボードで演奏した音源まで用意してもらえた。
これで文化祭のテーマソングをキーボードで演奏した音源に合わせて、実行委員全員でコーラスで歌って、その歌声の録音を完了さえさせれば完成らしい。
いよいよ今日は先生に許可を貰って借りた生物教室に移動して、実行委員全員でコーラスで歌って、文化祭のテーマソングを録音する予定なんだ。
何故この場所になったかって?
放課後の学校内としては、生徒があまり寄り付かないかなり静かな行き止まりの場所に生物教室があるってことが、ここを選んだ理由らしいが、本当のことはよく判らない。
ホームルームが終了した放課後の教室だと、他の生徒に観られて結構恥ずかしかったってこともあるのだろう。
文化祭のテーマソングは、今月に入ってから何度も何度も繰り返し練習しているから、歌詞も丸暗記で覚えているし、やっとコーラスも声域別に上手くバランス良く歌声が纏まるようになったので、そろそろ録音をして完成させようかって話になった訳さ。
放課後の最終下校時間も迫ってきているから、リハーサルで何度か練習をして、録音はたぶん一発勝負だ。
文化祭のテーマソングを録音する機材は、生録が大好きな趣味だと公言している先輩に相談したら、有難いことに自前の録音機材一式を貸してくれただけでなく、歌声の録音にも協力してくれることになった。
生録が大好きな先輩が「さ~本番は一発勝負ですよ~」って、ニコニコ笑って言いつつもマイクを2本セットして、録音機材の録音スイッチを押し、キーボードで演奏した音源も再生スタートさせてくれたので、感謝しつつ満を持して文化祭のテーマソングを実行委員全員で歌い始めた。
「♪♫~・・・・・」
中々上手く歌えている♡あと少しで録音も無事終了だと皆が思ったその時、いきなり「ガラっ」と生物教室入口の扉が開き、使用許可をくれた先生の「そろそろ最終下校時間だぞ!」って大きな声が響き渡った。
数名の「あ~・・・」ってため息とともに、ものの見事に録音失敗。
『只今生物教室内で歌の録音中です。お静かに願います。』って、生物教室の入口に張り紙でもしておくか、誰か一人が入口前で立っていれば良かったねって後から思ったものの、実際何も対策をしていなかったのだから後の祭り。
状況を察した先生は「ゴメン、もう最終下校時間だから早く帰れよ」って申し訳なさそうに言って、生物教室を出て行った。
念のため録音失敗した音源を再生して確認してみると、やはり先生の「そろそろ最終下校時間だぞ!」って大きな声と「あ~・・・」ってため息が、文化祭のテーマソングの終盤にものの見事に入ってしまっている。
実行委員長からの「残念だけど下校時間だから、今日は撤収しよっか・・・」って少しガッカリした声に従い、急いで後片付けをして、今日は帰ることになりました。
そして未完成となった文化祭のテーマソングは、実行委員が次週集まった時に、再度リベンジ録音することに・・・
そして翌週も借りた生物教室、誰の邪魔も入らず何とか無事に完成した文化祭のテーマソングは、毎日昼の休憩時間になると放送部により全校放送されて、文化祭を盛り上げるのに一役買ったのでした。
当時はカセットテープを使っての、アナログステレオ録音でした。
曲のイメージはなんとなく覚えていますが、残念ながら正確に曲の歌詞やメロディーを覚えている訳ではありません。
10代の当時と今現在とでは感性も感情も随分違いますから、同窓会的に皆が集まったとしても、今では同じような作品はたぶん作れないだろうとも思っています。
文化祭のテーマソングを入れたカセットテープが、今も学校内に残っているとも思えませんが、生まれて初めて作詞や歌声で関わって公開した曲なので、もし叶うことならば、もう一度聴いてみたいな~って思って、懐かしい思い出の微かな記憶を辿りつつ、この作品を書き上げました。




