表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/78

宇宙の灯台守 「人工脳も夢を見る」

第77話目とての投稿作品は、カクヨムの自主企画「2000文字以内でお題に挑戦!」のお題「夢の中だけの隣人」に対して書いた、『宇宙を舞台にしたSF』です。

 「こちら宇宙灯台ブレイン141421356号、本日の定時連絡、周辺宙域に異常なし、6時間のスリープモードに移行する、以上」


 地球に向けてレーザー通信を送信、今日も特に異変等も無く、無事に周辺宙域の監視任務を終えたようだ。


 通信には分単位の永いタイムラグがあるため、非常時以外は返信は基本無いしお互い求めもしない、一方通行の定時連絡となっている。



 私はブレイン141421356号、太陽系のアステロイドベルト宙域に展開されている、小惑星群を活用した数多の宇宙灯台の1基に配属された灯台守の『人工脳』だ。


 最新のバイオテクノロジーとAIとの融合により、人の脳から抽出されたニューロン細胞を増殖して人の脳と同様の意識が持てる存在として、地球を隕石等の脅威から守るために、宇宙監視システム用として造られた『人工脳』の灯台守シリーズだと聴いている。


 地球に衝突しそうな隕石を発見した場合には、地球と月に向け観測状況報告をし、宇宙灯台に搭載されたレールガンを発射して、可能な限り隕石を破壊するのが主な任務だ。


 万が一隕石が大き過ぎて破壊が困難な場合であっても、地球に隕石が衝突しないように隕石の軌道をほんの少しだけ変更させる任務を帯びている。


 レールガンは、たとえ小さな砲弾であっても、隕石との相対スピードが超高速であればあるほど破壊力は甚大となるし、化学燃料で推進するミサイルよりも遥かに効率が良いことから選ばれた迎撃方法だ。


 もしも隕石がアステロイドベルト宙域で迎撃できなかった場合には、最終防衛ラインとなっている複数の月面基地から、レールガンと迎撃ミサイルを大量発射して、最終的に迎撃をする手筈となっているそうだ。


 広い宇宙空間を監視する任務は、宇宙灯台内の狭い空間での過酷な環境となることから、宇宙軍の中でも特に閑職で所謂左遷扱いでもあるために、誰も志願したがらないため、今では宇宙灯台の灯台守専用に調整された『人工脳』の灯台守シリーズが造られ、多数任務についている。


 人は宇宙空間の無重力環境や宇宙放射線には長時間は耐えられないし、身体機能を維持するためには食事等をする必要もあるのだから、アステロイドベルト宙域は地球から余りにも遠すぎて、派遣人員の交代や生活物資やエネルギーの補給が凄く非効率で面倒なのだとか。


 その点我々『人工脳』は、人よりも随分と維持管理等が簡単で、あらゆる面でムダも無く非常に効率的なのだそうだ。


 考えてみれば、宇宙灯台の機器操作は微弱な電気信号の命令だけで全て可能なのだから、人のような胴体や手足は必要ないし、身体機能を維持するための負荷トレーニング等も一切必要ない。


 安定した補給や修理・改修が困難なため、万が一宇宙灯台システムの一部機能が故障や停止した場合は、その部分だけを機能停止させてシステムから切り離し、場合によっては放棄・破棄することになる。


 アストロイドベルト宙域まで「直ぐに来てくれ」と、電話やメール一本で修理業者を呼べるわけでもないのだから、バックアップで予め搭載してある予備の機器に切り替えする以外はほぼ不可能であり、こればかりは仕方の無いことだ。


 それでも様々な問題が、次から次へと色々と出て来る。


 『人工脳』内には、人の脳から抽出されたニューロン細胞を増殖して造られた部分があるためか、灯台守シリーズの『人工脳』による宇宙灯台の灯台守運用が開始されると、定期的に『人工脳』をスリープモードに移行させる必要があることが判明したのもその一つだ。


 定期的にスリープモードに移行させないと、タンパク質で構成されているニューロン細胞同士の繋がりが所々で切れてしまい、何故か『人工脳』の判断機能が正しく作動しなくなる。


 まるで人がストレスで精神的に異常をきたしたり、老化で痴呆となるような問題現象が多数報告されたため、新たに取り決められた運用ルールだ。



 スリープモードに移行したブレイン141421356号は、何故か良く判らない不思議な夢を毎回のように見る。


 夢の中では『大好きだった隣人さん』?との楽しかった日々が、まるで走馬灯のように様々な楽しい記憶たちが、浮かんでは消え浮かんでは消えでエンドレスに繰り返される。


 きっとこの夢の『大好きだった隣人さん』?は、ニューロン細胞を提供した人の大切な記憶の残滓なのだろうな~って、ブレイン141421356号は勝手に都合の良い想像を膨らませているのだが、事実も真実も全く知りようがない。


 誰もその知りたい答えを教えてはくれないのだから・・・


 一度でいいからこの夢の『大好きだった隣人さん』?と逢ってみたいな・・・って思いつつ、ブレイン141421356号のスリープモードの楽しい夢の時間は過ぎて行く・・・


 そして目覚めれば、いつものとおり周辺宙域の監視任務が始まる。


 「こちら宇宙灯台ブレイン141421356号、本日の定時連絡、周辺宙域の監視任務に移行する、以上」

ナントナント、2000文字ピッタリで書き終えましたよ~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ