縁切り亀 「絶対に振り向かない、後戻りしないために・・・」
第75話目とての投稿作品は、カクヨムの自主企画「2000文字以内でお題に挑戦!」のお題「水槽に沈めた指輪」に対して書いた、『フィクションな現代ドラマ作品』です。
「チャポ~ン」
とある片田舎の地元ではチョットばかり有名な縁切寺、境内の片隅には亀の姿をした水槽があります。
元々は朽ちた井戸で、災害時非常時用の井戸に復活する予定だったのですが、検査をしてみると何故か化学物質が検出され、結果水質が飲用に適さなかったため、境内の庭園への散水用として雨水を溜める水槽に改造したのです。
水槽としてはそれなりの深さもあり、子どもたちが境内で遊んでいて落ちたら危険との判断から、安全のためにと住職が茶目っ気で業者に依頼し、口を開けた大きな亀の像を水槽の上に被せたのです。
ところがこの亀の口の中に、指輪を納めると上手く縁が切れるって噂が、何時の間にか巷に広がり、通称『縁切り亀』があるお寺として有名になってしまいました。
これは『お賽銭箱』にお賽銭を入れるのと同じ喜捨の精神と作法で、自らの執着を手放すこと、要は修行の一環なのですからって、住職も仕方なくそんな都合の良い理由をこじつけることにし、この『縁切り亀』の前に参拝作法を表示しました。
今日もまた一人、この『縁切り亀』の口の中に、左手の薬指から外した指輪を「さようなら」とか「絶対に二度と会いませんように」とかの別れの言葉と共に、音を立てずに手を添えて納めるように入れている。
前だけを見て進む歩き出す勇気と、絶対に振り向かない、後戻りしないためにって万感の願いを込めて・・・
疲れ果ててやつれた顔をした薄幸そうな人の姿を、少し離れた本堂からその姿をそっと見つめ見守る住職は、静かに手を合わせてご本尊に祈願します「あの方にも幸せが訪れますように・・・」と。
でも中には、偶にですが「先日『縁切り亀』の口の中に入れた指輪を、もしも可能なら返して欲しい」って、願い出て来られる方も居たりします。
だから住職は『縁切り亀』の口に入れられた指輪を何時でも返せるようにと、全ての指輪に日付のダグを付けて、大切にご本尊の中に入れ保管しています。
これも『縁切り亀』の口の中に指輪を入れた方が、色々と悩んだ末に選んだ幸せの形なのですから、それはそれで良いのです。
でも指輪をお返しするときには、一言だけ願いを込めて申し添えます。
「この指輪で間違いありませんか。では、お預かりしてから毎日の祈祷で、仏様のご加護が籠った指輪をお返しします。幸せになってくださいね」と・・・
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この不定期連載中で他の投稿サイトで開催の自主企画向けに書き下ろした作品集、『様々なジャンルの短編集』以外の他の作品の宣伝です。
今のところ毎日更新中(そろそろ不定期更新になりそう・・・)のエッセイ『日常生活よもやま話集』、不定期連載中の『撮影旅行よもやま話集(撮影旅行で私が写した風景写真付き)』、それ以外にも『遠い昔の学校の思い出話』完結済みや、近未来SF的な『 閃光 衝撃 轟音 の記憶 』完結済みや、現代ファンタジーの『彼方からの年賀状 「明けましておめでとう、皆元気だぞ」』完結積みが、【小説家になろう】内に投稿してありますので、気が向いたら読んでみてね~




