91.秋楽は息絶えぬ
もうすぐ……もうすぐで麻里編が終わる……
(秋楽視点)
……結局、あっしは何一つ成し遂げられなかったでヤンスね……
いや、それ以前にあっしは……何がしたかったんでヤンスか?
……愚問だったでヤンス。
あっしはただ……頂点に立ちたかっただけで……
でも……力はないから……
……死獄童子様を崇拝する……"鬼"のコミュニティーに加入して……そこで四鬼にまで上り詰めて……
死獄童子様……いや……死獄童子を……裏から……操る……黒幕に……なろうとして……
……最後まで……なれなかったで……ヤンス……
わざわざ……妖の中に……別の妖の……力を……【逆転】の力で……押し込む……手段まで……開発して……おきながら……
何も……成せなかったで……ヤンス……
『……秋楽、次好き勝手したらどうなるか分かってんだよなぁ?』
これは……走馬灯で……ヤンス……か?
確か……死獄童子に……忠告された……記憶でヤンス……
『……あんたが何を企んでるかは知らないけど、あちきはあちきの計画通りに事を進めるさ』
これは……春銭太夫さんとの……記憶……
『きゃはっ!……秋楽の首、吊らせて~!』
……夏死忌さんとの……記憶……
『秋楽、一緒に団子でも食べるで候?』
……冬夜童子さんとの……記憶……
どれもこれも……どうでも良い記憶で……ヤンス……
……ああ……最期の……最後まで……あっしは……四鬼の皆さんに……仲間意識を……持てなかったで……ヤンス……
春銭太夫さんは……高慢で……鼻について……
夏死忌さんは……首を吊ろうと……して来て……
冬夜童子さんは……天然で……善寄りなのが……イライラして……
死獄童子は……あっしの……思い通りに……動かせないのが……悔しくて……
仲間意識なんて……持てなかったで……ヤンス……
……勿論……あっしが……下衆なのは……自覚してるで……ヤンス……
ただ……だからこそ……真の意味で……仲間になれなかったのが……残念なんで……ヤンスよね……
でもまぁ……この世に……未練がないのは……悪い事じゃないで……ヤ……
『おい楽邪、僕ちんにコーラ持って来い!』
何で……最期の……最後に……思い浮かべる……相手が……坊っちゃん……なんで……ヤンスか……
それこそ……会ってからの……期間なんて……他の皆さんに……比べたら……短いで……ヤンスのに……
『あ?……僕ちんに口答えする気か!?』
『はいはい、仰せのままにするでヤンスよ』
『何だそのやる気のなさは!……僕ちんのために動けるんだから光栄に思え!』
『ハァ……悪かったでヤンスよ。……これで満足でヤンスか?』
ほんと……坊っちゃんは……気楽に接せる……相手だったで……ヤンスね……
『ムキィィィィィ!……即刻クビだクビ!』
『そっちがその気なら、あっしだって宝造路財閥との関係を暴露したって良いんでヤンスよ?』
『ぐぬぬ……つ、次はないからな!』
『はいはい、そうでヤンスね~』
……何だかんだ……楽しかったで……ヤンスね……
坊っちゃんは……確かに……クズで……無能で……ヤンシたけど……それでも……あっしに……比べたら……まだまだ……可愛い……もので……ヤンス……
色々……最低な……事は……やってるで……ヤンスけど……人を殺した……事もない……悪人としては……序の口程度の……人間……
だから……無罪放免って……訳にも……行かない……クズで……ヤンスけど……それでも……
……どうせ神輿にするなら……あっしは坊っちゃんが良いでヤンス……
だから……だから……まだ……あっしは死ぬ訳には行かないんでヤンス!
……………………
……………
……
…
「……【禁術・死生逆転】」
ードクンッ!
「っ!?……あれ、おじさん……ちゃんと君の心臓を刺したよね?」
……ああ、成功したんでヤンスか……
「ごふっ!……ま、あっしはそう簡単には死なないって事でヤンスよ」
「……いや、死んでたよね?……おじさんの結界も解けちゃってるし……」
「そうとも言えるでヤンスね」
「そうとしか言えないけどね……」
……【禁術・死生逆転】……
"死"を"生"に、"生"を"死"に【逆転】させるあっしの秘密技……
ま、今はあっしにしか使えないでヤンスが。
「……とはいえ、どうしたものでヤンスかね~。……このまま戦っても、勝ち目はないでヤンスし……」
「そうだね。……でも、おじさんも困っちゃったよ」
「ん?」
「その復活、1回限りじゃないんでしょ?」
やっぱり、勘が鋭いでヤンスね~。
……あっしも、今回が初使用でヤンスから確証は持てないでヤンスけど……まあ、行けるでヤンショう。
「多分、その筈でヤンス」
「……うん、やっぱりだ……君、さっきまでと何か違うと思ってたんだけど……成っちゃったか~」
「成る?……何を言ってるんでヤンスか?」
意味が分からないでヤンス。
あっしはあっしのまま。
何も変わったり……
「いいや、変わったよ。……さっきまでの君は自分のためって感じがしたけど、今は誰かのために動いてるって感じかな……」
「誰かの……でヤンスか」
「でもさぁ、おじさんとしては考え直した方が良いと思うよ?……いくら君が下衆な悪人だからって、アレを守る対象にするのは……」
「……確かに、他の奴等からしたら馬鹿らしいかもしれないでヤンスね。……それでも、あっしが楽しめるのは坊っちゃんくらいなんでヤンスよ」
あっしが1番楽しいと思えたのは、坊っちゃんで遊んでる時でヤンシた。
……下衆とクズじゃ、碌な組み合わせじゃないでヤンスけど。
「ふ~ん、そっか……」
「……じゃ、あっしはもう行くでヤンス」
「おじさんが逃がすとでも?」
「終わりがない戦いに挑む程、馬鹿じゃないでヤンスよね?……それに、もうあんた達に危害を加えたりはしないでヤンスよ」
何というか、割に合わないでヤンスからね。
「……何というか、おじさんとしては複雑だね~」
「あっしを1回殺しておいて何を言ってるんでヤンスか!……ま、神の子孫たる天邪鬼を舐めてかかった罰でヤンス」
「天邪鬼の起源にあたる女神……天探女って、大した逸話もない下級神の筈なんだけどね……まさか、死すら覆しちゃうなんて……おじさん驚いちゃったよ」
「……それもそうでヤンスね」
……にしても蓮業さん、結構柔軟な人でヤンスね~。
自分達に仇なすかもしれない相手と、こんな呑気に話すとか……
「あ~あ、これはおじさん怒られちゃうかな~。……って、噂をすれば……」
「……秋楽、俺様を忘れたとは言わせねぇぞ?」
「ん?」
……あ、宗雪さんじゃないでヤンスか。
「……秋楽、何か変わった様に見えるんはウチの気のせいかいな?」
「えぇ……春銭太夫さんと夏死忌さんはミスったんでヤンスか?」
……綾香さんが無事なのを見て、あっしは思わず天を仰いだでヤンス。
「あ~……正確に言うと、春銭太夫がウチの人生を見るんにハマったとか何かで……」
「……寝返ったんでヤンスね?」
春銭太夫さん、あっしが言えた義理じゃないでヤンスが何してるんでヤンスか……
「それはそうと秋楽、今度こそ俺様の手で……」
「あ、それ無理だよ?」
「……ハァ?」
「何かおじさんがトドメ刺した瞬間に覚醒しちゃって、不死身になっちゃった」
「ハァ!?」
「……信じられへんわ……」
……さてさて、向こうが話してる隙に現状把握でヤンス。
ふむふむ、"五獣の宝玉"だけじゃなくて坊っちゃんまで捕捉出来なくなってるでヤンス……
「……坊っちゃんを捕まえたんでヤンスね?」
「あ?……ああ、そっちの部下が裏切ってくれたお陰でな」
「……そうでヤンスか……ハァ……今回はあっしの負けでヤンスね」
部下の内面を見ず、戦力差をきちんと把握しなかったあっしのミスでヤンスね……
意外と行けると思ったんでヤンスけどね~。
「言っとくが、"五獣の宝玉"もあの馬鹿も萌音の幻術で隠してるから……」
「分かってるでヤンスよ。……ひとまず、坊っちゃんはしばらくそっちに預けとくでヤンス。……今のままじゃ、碌なお出迎えも出来ないでヤンスしね」
「ハァ?……いったい何を……」
……取り敢えず、お喋りはこのくらいにしとくでヤンス。
「じゃ、あっしはこれで。……今後は四鬼としては活動しないつもりでヤンスし、そっちに迷惑もかけない予定で居るから放っておいて欲しいでヤンス」
「ハァ!?……おい、何言っ……」
「【逆転】でヤンス!」
「待っ……」
ーギュイン!
そうしてあっしは【逆転】を駆使し、八笑院家から単身抜け出したでヤンス。
……さ、一刻も早く坊っちゃんを迎え入れられる様に準備しないとでヤンスね~。
ご読了ありがとうございます。
秋楽は元々ここかもう少し先の展開で死なせる予定でしたが、生存させて裏社会でドンパチさせるのも良さそうだな……となって生存させました(後悔はしていません)。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




