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92.終わり良ければ……

何だかんだで麻里(マリー)編も終われそう……

(一条院 宗雪視点)


秋楽が八笑院家を去ってから1時間後……


「いだだ……オレだけ重傷って、何だか納得行かねぇなァ……」


「……まあ、何というか……ドンマイっす!」


俺様は、全身包帯まみれになりながらも悪態をつく桜に対して夏芽が慰めの言葉?を贈る姿を眺めていた。


……と、そんな俺様の横に綾香がやって来て……


「……宗雪はん、今回は何とも言えへん決着になってもうたなぁ……」


「そうだな……結局、秋楽を取り逃がしちまった……」


今回の事件の首謀者……その1人とも言える秋楽を取り逃がしちまったのは、俺様としてもかなり悔しい出来事だった。


折角、箱根でやられた事の復讐が出来るかと思ってたんだがなぁ……


「……ま、ウチの方も春銭太夫が覚醒してもうたし、お互いどうにかせんとあかん相手が出来てしもたってところやなぁ……」


「……どっちも1回死んで甦ってるが、まさか他の奴等も同じとかねぇよな?」


一応、事の経緯は蓮業先生から聞いたが、未だに信じられねぇってのが俺様の感想だ。


そもそも、本来なら秋楽は1回殺せば死ぬ筈の相手だったんだが……俺様が原作ゲームから運命を逸脱させまくった結果か、まさか秋楽が金太を気に入っちまうとは……


……いや、だからってほぼ不死身になるのはいくら何でもおかしいんだが……


「……今は何とも言えへんわぁ……ウチの記憶にある限りでは、そんな能力あらへんけど……それ言い出したら秋楽も同じやったし……」


「だよなぁ……」


まあ、こんな事を考えても仕方ねぇ。


……あ、それと当の金太は萌音と栄螺(サザエ)鬼・変が想像以上にボコボコにしていたので、病院に搬送された。


きっと、金太が目覚める頃には警察も重い腰を上げて逮捕に踏み切るだろう。


その障害となり得る宝造路財閥の方も、このまま行けば金太をトカゲのしっぽ切りとして見捨てるのが目に見えている。


どれだけ大切な孫だとしても、ここまでの騒動になっちまったらどうしようもねぇからだ。


……こういう時、優秀な経営者は身内の情よりも組織の今後を考えて行動するってのは本当なんだな。


「……それはそうと、あの馬鹿に大した警備も付けへんで良かったん?……あの様子やと、確実に秋楽に回収されるで?」


「させたら良い。……権力さえ失っちまえば、あの馬鹿は大した驚異じゃねぇからな」


「呑気やわぁ……」


「寧ろ、金太脱走の混乱に乗じて宝造路財閥に捜査のメスを入れられるしな」


この状況で金太が秋楽に回収されれば、1番に逃走先として疑われるのは宝造路財閥だ。


勿論、実際にそこに逃げるなんて愚かな事はしねぇだろうが、捜査のメスを入れる口実としては充分だ。


「……ま、秋楽と組んどったくらいやし、他にもバレたらマズい事はあるやろなぁ……」


「それを抜きにしても、世間からのイメージダウンは避けられねぇ。……これは、宝造路財閥が俺様達に手を出した罰だ」


今回の襲撃が宝造路財閥トップの意向か金太の独断かは知らねぇが、もしトップの意向じゃなかったとしても俺様達が警告していた上で金太を自由にさせてたのは事実だ。


充分、報いは受けて貰う。


「ほんま、怖いわ~」


「……さて、こんな話は終わりにして、楽しい話でもしねぇか?」


「楽しい話って何や?」


「例えば……向こうで麻里(マリー)相手に正(・)座(・)さ(・)せ(・)られてる(・・・・)天(・)五(・)獣(・)君(・)の話とかどうだ?」


俺様はそう言いつつ、八笑院家の庭で麻里(マリー)相手に正座している天五獣君の5人を指差した。


「……ほ、本当に軽率だったっピ……」


「……許さない。……あ~しの性格なら、あの馬鹿に執着されるより皆を喪う方が嫌だって分かるじゃん!」


「それはそうだっピが……」


「……本っ当に馬鹿ばっかり……あ~しがどれだけ心配したか分かってる!?」


「か、返す言葉もないっピ……」


……全てが終わった後に美乱御前と華弧さんが連れて来た天五獣君は、やけに大人しかった。


曰く、最後は逃走を図ったところで美乱御前に気絶するレベルの攻撃をぶつけられたとか……


それを聞いた俺様としては、抵抗を捨てて逃げたら美乱御前にやられるに決まってるだろ……と言いたくなっちまった程だ。


なお、冬夜童子はここに来る途中で別れたとの事。


まあ、冬夜童子も完全に俺様達の味方になったって訳じゃなさそうだしな……


「とにかく!……当分は5人とも、あ~しが嫌な事はマジでしないで!」


「わ、分かったっピ……」


「……それと、5人とも今後はあ~しの式神になって貰うからね!」


「「「「「えっ!?」」」」」


突如として麻里(マリー)が天五獣君に告げた、式神になって貰うという話。


……それを聞いた天五獣君が、その反応になるのは分かるが……


「拒否権はないから!……以上だっつ~の!」


「え、いや……」


「つべこべ言わない!」


「は、はいっピ……」


……ま、終わり良ければ全て良し、って事にするか……


「あ、宗っち!」


「ん?」


「後で二人っきりになりたいんだっつ~の」


「……分かった」


……さて、これで麻里(マリー)が金太と婚約させられる危険は完全に消え去ったが……俺様達の婚約は、果たしてどうなる事やら……


そう考えながら、俺様は物思いにふけるのだった……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(怪良視点)


「……美乱御前様、今回はお疲れ様だケラ」


「良いんでありんすよ。……ただ、天五獣君が昔のわっちに見えたのは辛かったでありんすが……」


「そ、そうケラか……」


いや、話には聞いてたケラが美乱御前様の過去って相当闇が深いんケラな……


「……華弧ももう帰っちゃったでありんすし、わっちもそろそろ……」


「あ、そういや……美乱御前様は、秋楽が今後どうすると思ってるケラ?」


……私がそこそこ気になってた事。


それは、今回取り逃がした秋楽が今後何を企んでいるのかだったケラ。


「う~ん……わっちもそれは分からないでありんすけど、あの蓮業って男に話した言葉を信じるなら……八妖将とは縁を切りそうでありんすね……」


「そうケラか……」


これで秋楽が改心してたらまだ良かったんケラが、あいつ下衆なまんまなんケラよね……


「……とはいえ、その後の行動までは予測出来ないでありんすね。……最悪、"裏(・)"に潜られる事も想定しておく必要が有る位でありんす」


「それって……あの"裏"ケラか?」


「そうでありんす……あの、人間の法はおろか妖の法すら適用されない場所と言われる"裏"でありんす」


「……いつ聞いてもヤバい場所ケラね……」


私ですら美乱御前様からの又聞きでしか聞いた事がない場所、"裏"。


半端な実力しか持っていない者が入っても長生き出来ない程には危険な場所らしいケラ。


「……あそこには、女だけで構成されたフリーの殺し屋妖集団で有名な"葬殺九妖衆(そうさつくようしゅう)"や、堕ちた祟り神の巣窟と噂される"荒魂一座(あらだまいちざ)"、更には麻薬や武器なんかのヤバい商品を売り歩く"楽争商会(らくそうしょうかい)"に、"裏"の治安維持組織を務める"汚泥會(おでいかい)"……他にも色んな危険組織が乱立してるらしいでありんすし、よっぽどの馬鹿じゃない限りは行かないと思うでありんすけどね……」


「でも、あり得ない話じゃないケラ」


「それはまぁ……そうでありんすけど……」


……現状では何も言えないとはいえ、あり得ないとは断言出来ないのが嫌ケラな……


でも、私にはそれより気になった事があるケラ。


「ところで前々から気になってたんケラが、美乱御前様は"裏(・)"に(・)つ(・)い(・)て(・)誰(・)か(・)ら(・)聞(・)い(・)た(・)んケラ?」


「ん?……そんなに引っかかる話ケラか?」


……美乱御前様は本質的にはお人好しのアホだケラ。


だからこそ、何も疑問を抱かなかったんケラな。


「……本来、"表(こっち)"で活動している八妖将の1人が、そこまで"裏"について知ってるのはおかしいんケラよ!……特に、さっき言った組織の殆んどは"表(こっち)"では全然知られてないケラ!」


実際、宗雪ですら"裏"については殆んど知らなさそうだケラし……


なのに、美乱御前様の所まで情報が渡って来ているとなると……


明らかに、何かあるとしか思えないケラ!


「……わ、わっち含めた八妖将の上層部に"裏"の事を教えたのは、空旋坊(・・・)でありんすけど……」


「空旋坊……未だに大きな行動を起こしていない八妖将ケラな……」


空旋坊が、"裏"についての知識を持っていた……


この情報だけで答えを導き出すのは難しいケラが、それでも私は空旋坊が何かを企んでいる気がしたケラ。


……そして、それが現実になる事を……この時の私は知らなかったケラ。

ご読了ありがとうございます。


ここで新たな概念、"裏"を出します。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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